屋根の現場調査

外装リフォームの教科書 Vol.9

屋根の現場調査

屋根の現場調査は危険を伴うため、高所カメラやドローンを使用して調査をすることが多くなっています。しかし屋根下地の劣化状態の確認や雨漏れ調査のように屋根に上がらないと判断できない場合もあります。調査目的や工事計画に応じて屋根診断士等に同行を依頼するなど、会社のルールを守って安全に調査するようにしましょう。



調査のチェックポイント

《屋根調査》

屋根のチェックポイントは工事の内容や屋根材によって違いがあるが、基本的な箇所は押さえておこう。見落としやすい部位もあるので確認漏れがないようチェックシートを活用しよう。

1 太陽光パネルやアンテナの有無

不要なアンテナがついている場合は工事の時に撤去を勧めたい。撤去費用は見積もりにも反映しよう。太陽光パネルや太陽熱温水器がついている場合は脱着の必要があればその費用と仮置きのスペースが必要となる。


2 劣化状況

屋根材の劣化状況の確認なら高所カメラでの撮影で対応できる場合が多い。屋根下地の劣化状況の確認が必要なら屋根に上って強度などを確認する。


3 雨樋

雨樋が曲がっていないか、落ち葉で集水桝が詰まっていないか高所カメラで確認を。大きく曲がっている場合は大雪による被害であることが多い。雪害で火災保険の対象になることもあるので施主に思いあたることがないか聞いてみよう。


4 寸法

屋根の面積は、外壁の寸法に軒の出を足した数字と屋根勾配で計算する。屋根寸法は工事の見積もりを出す上で必要な情報だ。立面図と平面図があれば算出できる。「屋根伏図」という屋根を真上から見た図面が書かれていればわかりやすい。


5 屋根勾配

イラストのように「さしがね」を使って屋根勾配を出すことも多い。屋根勾配は面積計算を出すためばかりではなく、屋根足場の必要性を確認するためにも重要なチェックポイントだ。6寸以上(イラスト参照)の急勾配では工事の際に屋根足場が必要となる。逆に勾配が緩い屋根の場合は葺き替えできる屋根材が限定されるため注意が必要だ。

▲勾配によっては屋根足場が必要


6 雪止め金具の位置と範囲

葺き替えや重ね葺きをする場合は既存の雪止め金具の位置と範囲、段数をチェックしよう。新しい屋根材が既存の屋根材より滑りやすければ積雪が落下する危険が増すため段数を2段・3段と増やしたり、範囲を広げる検討が必要だ。




《小屋裏調査》

小屋裏調査のリスク

熱中症

特に夏場は温度が50度前後まで上昇するため熱中症にかかる心配がある。内部に潜入することは避けよう。


天井板を突き抜ける危険

小屋裏は暗く、足元には断熱材が敷き詰められているためうっかり足を踏み外すと天井に穴を開けてしまう。


電気配線を踏む危険

小屋裏は電気配線や換気ダクトが通っている。うっかり踏んでしまったり、足をひっかけてしまう危険がある。



小屋裏の入口

2階に押し入れがある場合、天井の板をずらして入るのが一般的だ。板をずらす時にゴミが落ちてくることもあるので目に入らないよう注意しよう。イラストのように天袋を足場にして中の様子を見ることができる。またクロス貼りの天井にある点検口は開ける時にドライバーを使うので忘れずに。1階の下屋と外壁の取り合いも雨漏れしやすい場所だ。必要に応じて点検口を取り付けて中を確認することもある。


リフォマガ2021年5月号掲載

 

 

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