達人たちに聞く!ステップ別現場のダンドリ術~その1~

着工前に何をしておけば安心なのか、工程組み&職人手配のポイントや、発注と納品のコツは?また、現場以外にも多数の案件を抱える営業マンたちは、現場進行中にどんな動きをしているのか。さらに、クレームが発生した時にはいかに収めているのか。各社で活躍中の営業マンたちに聞いた。


《01 着工前》
事前のダンドリが勝敗を分ける

中村さんは、現調時から施主に丁寧な説明をして、イメージのすり合わせを行うように心がけている。また、工事は非日常なので始まったら必ずストレスが溜まってしまうと話す。特に工事の音がうるさそうな日を示し、家にいないほうがいいかもとあらかじめ伝えているという。

大工経験もある松本さんは、工事の2週間前に職人全員を集めた工事前打ち合わせを必ず行う。大工、電気、水道、キッチン、バス、サッシなど6、7業者が集結する。そこで松本さんがざっくりと組んだ工程表やバスルームの大きさなどを確認してもらい、営業と職人によるダブルチェックでミスを防いでいる。

「コンセントの設置位置を変えては?など、細かいところまで指摘してもらえて助かっています」(松本さん)。商品の発注は工事前打ち合わせ後に行う。

近隣に挨拶回りをし、何かあったら会社に連絡してもらうようにお願いすることも忘れずに。



《02 工程組み&職人手配》
小規模だったら短工期に。大規模工事は余裕を持たせる

3社とも付き合いの長い職人に依頼。中村さんは職人全員にヒアリングしてから、エクセルを用いて工程表をつくる。「大規模リフォームだと、大工工事は職人が言った日数に、1週間程度余裕を持たせて設定。こうすると、イレギュラーなことが発生しても遅れを吸収できます」(中村さん)。

松本さんと鳥羽さんは施工管理アプリで工程表を組み、後から職人に確認してもらう形を取る。「特定の作業の工数を抽出して予測できるようになったため、アプリを導入して組みやすくなりました。電気や水道は2、3日のバッファで仮組みし、大工と直接調整してもらっています」(鳥羽さん)。

キタセツは①1か月以内の短工期のリフォームは自社の工事部隊が行い、②丸ごと工事を請けてもらう会社を2、3社抱え、③職人に個別発注するチームを3班ほど置いている。③に対して半年先まで工事予定を張り出して、職人のスケジュールを仮押さえし、腕のいい職人が他社の現場に行ってしまわないようにしている。「3カ月空くとほかに行ってしまうので、絶やさずに仕事を入れるよう気を配ります」(鳥羽さん)。

工程表に忘れがちなことも全て組み込んでしまったというのがアドバンス。詳しくは下記で紹介する。



工夫の詰まるアドバンスの工程表

リライト同様、3年ほど前から施工管理アプリ「ダンドリワーク」を使用し、アプリで工程表づくりをしているアドバンス。項目の立て方や記載の仕方にオリジナルのアレンジを加え、自然とミスがなくなり、現場が円滑に進むようなものに仕上がっているという。事例を見ながら詳しく紹介する。


ミスの起こらない工程表フォーマットを作成

「ダンドリワークの工程表の設定に、養生や袋の搬入などつい忘れがちな小さなことまで、全てを組み込んでしまった」と話すアドバンスの松本義純さん。毎回この工程表フォーマットを使用すれば、うっかりミスはほぼ起こらない。

各々の工事名称の横には協力業者名を入れることで、業者同士、横の連携を取りやすくしている。各メーカーの設備機器の搬入は1項目でまとめて記載しているが、搬入日に個別のメーカー名や取扱店を書くようにし、同様の効果を持たせている。同じ工程表を渡しているため、施主も毎日入る業者を事前に把握できる。

下の事例は、水回りを部位ごとに三期に分けた工事で、各期が金曜か土曜に終わるようにうまくスケジュールを組んだ。松本さんは小さな工事でも工事前打ち合わせを行い、工程表を詰めて万全の体制で現場に臨む。


1 工事名称の横に協力業者名を入れる

工事名称の横に協力業者名を入れることで、協力業者同士、誰が現場に入るかがわかりやすい。また、施主もその日入る業者名や数がわかるため、不安を感じにくい。


2 養生や袋の搬入も工程に組み込む

「養生ボード4枚搬入」「(ゴミ用の)袋搬入」と、忘れがちな養生や袋の搬入も数量まで工程に組み込んでいる。こうすればうっかり手配し忘れることもない。


3 仮設トイレも忘れがちなので入れる

2と同じく、工事本体と関係のない仮設トイレの設置も、頭から抜け落ちてしまっていることがまれにある。あらかじめ設定しておけば安心だ。


4 土曜に一期工事を終えるようにする

部位ごとに三期に分けた工事で、一期工事は前の週の土曜に搬入だけを行い、月曜に本格的に始まって土曜に終わるようにうまく組んだ。4日置いて二期工事へ。


5 三期ともゴミの回収も明記する

毎回のゴミの回収は都度明記している。現場をきれいに維持することで、工事がスムーズに進み、施主からのクレームも起きにくくなるという効果も。


6 設備機器ごとにメーカー名を書く

設備機器搬入は、ユニットバスはTOTO、洗面台はLIXIL、エコキュートは取扱店など、機器ごとに搬入の日程のところに、メーカー名や業者名を入れている。


7 クリーニングの予定も入れておく

休工前や工事終了時にも、「美装工事」とクリーニングの予定を入れておく。現場を引き上げる時には、室内はピカピカ。施主に気持ちよく過ごしてもらえる。


8 土日の小休止を挟み三期工事へ

二期の浴室・洗面所工事は金曜に終了。土日を挟んで、月曜からいよいよ最後のキッチン工事に入る。


9 大工工事は少し余裕を持たせる

一番読めないのが大工工事。いったん土曜に工事が終わり、フロア張りは月曜ではなく火曜からに設定。何かあった時には月曜に対応できるようにしている。


10 仮設トイレの撤収で工事完了!

仮設トイレの「汲み取り」「回収」の工程で工事が完了!きっちり金曜日に終わるように組まれおり、土日のお休みから施主は家族だけでゆっくり過ごせるように。



お話をうかがったのは…

▲アドバンス(本社/愛媛県新居浜市)今治店 松本義純さん

大工として7年間働いた後、アドバンスに営業職として入社し11年目になる。一気通貫体制の中で、現場知識と技術を兼ね備えたリフォーム営業として活躍中だ。


▲キタセツ(東京都大田区)営業本部/Moreform部 部長 鳥羽克夫さん

30周年を迎えたキタセツで入社29年目の大ベテラン。キッチン取り付けなどの工事担当を10年、工事部責任者を経て、リフォーム営業に。6年ほど前から営業部責任者も兼ねる。


▲サン・リフォーム(本社/山口県下関市) 営業・施工管理担当 中村 武広さん

大学と建築系専門学校を出て、リフォーム営業5年目の29歳。3年間他社で修業を積み、2年前に父親が社長を務めるサン・リフォームに入社した。スピード感のある対応がモットーだ。



リフォマガ2021年3月号掲載



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