顧客満足度を高め、リピートにつなげるために重要となってくるのが「施工品質」だ。
「どのような頻度で現場に顔を出すのか」「現場に行った際に気を付けるべき点」
「職人たちとのコミュニケーション術」「よくある落とし穴の回避法」等々。
現場管理の達人を取材し、すぐに取り入れられるようなテクニックを大小含めて20個紹介する。
丁寧な現場進行で優秀な職人たちが集まる
現場の輪を大切にするのは、平林建設(千葉県大多喜町)リフォーム事業部の、大工出身の宮田正幸さんだ。着工日は朝一で現場に赴き、職人たちを現場へ案内。作業について説明し、半日~1日滞在して丁寧に進行を管理する。工程表は宮田さんが組むが、手順を変えたいという職人には柔軟に対応する。
顧客に喜ばれるのが、キッチンをなるべく使えるような大工の工程組みだ。ぎりぎりまでシステムキッチンを使ってもらい、床を張り直したら古いキッチンをいったん戻して使ってもらうという。この手法だと、
3〜4日使えない予定が1日だけで済むこともある。「施主のことを思ってくれる職人さんは、労を厭わずにこんなこともしてくれるんです」。
職人との信頼関係を重視する宮田さんは、自分の仕事だけをさっさと終えたいというような職人は1回だけ仕事をして終わりにしてしまうという。
水平・垂直・高さから実際に納まる寸法を出す
平林建設は年配の依頼主が多く、築40~50年の家もザラ。そのため、家の水平や垂直が傾いていることも多い。けれど、水平・垂直を正そうとすると、1部位のリフォームのはずが家全体に影響を与えてしまう。そのため、「今までやってこられているので、このままでいきますか?」と宮田さんは毎回必ず確認をとる。
初回の現調では水平・垂直を必ずチェックし、設備が実際に納まる寸法を割り出す。高さも足りない場合があるので併せて確認が必要だという。「別件であるお宅に伺ったとき、洗面室から一段下げてユニットバスが入っていた。おそらく高さが足りず苦肉の策で下げたんだと思います」。
《テク13》輪を大事にする職人を揃える。
元大工の平林建設の宮田さんは、自分の仕事をだけをさっさと終えたいというような職人は1度きりにし、輪を大切にしてくれる職人を揃える。労を厭わないある大工は、床を張り直したらいったん古いキッチンを戻して使えるようにしてくれ、施主に大いに喜ばれた。
《テク14》水平・垂直、高さのチェックを怠らない。
平林建設の宮田さんは初回の現調で必ず水平・垂直をチェックし、設備が実際に納まる寸法を割り出す。柱が6㎝傾いていた家でも、寸法を割り出し小さめのユニットバスをぴたりと納めた。ユニットバスには高さが足りない場合もあるので、併せて確認が必要だという。
《テク15》初日は朝一で現場に行き、職人たちを案内。
平林建設の宮田さんは、初日は朝一で現場に赴き、現地集合の職人たちを現場へ案内する。その場で作業について説明し、半日〜1日滞在して丁寧に進行を管理する。工程表は宮田さんが組むが、手順を変えたほうがいいという職人には柔軟に対応もする。
《テク16》現場にほぼ毎日顔を出し、施主にも挨拶。
自社のリフォーム案件を一手に引き受ける平林建設の宮田さんは、同時進行するのは2〜3件になるように調整して、ほぼ毎日顔を出し施主にも挨拶する。そこで、あの押し入れも直したい、この壁も直したいといった追加の要望が出てきたら、こまめに対応している。
▲無垢の木の色をなくし明るくしたいという要望を受け、真壁や格天井の重々しい雰囲気の和室2間を、白ベースのひと続きのLDKにした。宮田さんお抱えのベテラン職人衆が腕を振るった。
お話をうかがったのは…
平林建設(千葉県大多喜町)
昭和46年設立。新築木造住宅事業、エクステリア事業、浄化槽工事業などを展開し、リノベーション・リフォーム事業は、元大工で2級建築士・電気工事士でもある宮田正幸さんが一人で担う。
リフォーム事業部 宮田正幸さん
20~26歳の時、設計事務所でハウスメーカーの図面描きなどを担当。その後、実家の工務店で大工として20年間働く。そこで同級生の平林社長の仕事を手伝い始め、約10年前に平林建設に入社。新築・リフォームの営業、設計、現場管理などを経て、現在リフォーム専任。
リフォマガ2023年5月号掲載
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