施工品質アップテク20~施工前のダブルチェックで品質を均一化

顧客満足度を高め、リピートにつなげるために重要となってくるのが「施工品質」だ。

「どのような頻度で現場に顔を出すのか」「現場に行った際に気を付けるべき点」

「職人たちとのコミュニケーション術」「よくある落とし穴の回避法」等々。

現場管理の達人を取材し、すぐに取り入れられるようなテクニックを大小含めて20個紹介する。



施工前のダブルチェックで品質を均一化

5年後、10年後の施工品質維持を目指す

2年前から、長期的な施工品質アップに取り組んでいるのが、外装リフォームをメインで扱うエース・リフォーム(長野県高森町)だ。

同社では、トラブルなく施工が完了し、完工時の見た目は問題がなかった事例でも、5年後、10年後にアフターフォローに訪問すると、大きな不具合が見つかることがあった。それを未然に防ぐために、アフターフォロー担当のメンテナンス部がそもそもの施工前から携わる体制に変えたのだ。


メンテナンス部が塗料の発注書をチェック

具体的にはこうだ。施工で用いるエース・リフォームのオリジナル塗料。これまでその発注は外注である職人に任せてきた。職人たちはいったんその塗料代を支払い、後で相殺する仕組みだ。そこでまれに、塗料を薄めて使ったり、不適切な塗料に変更してしまうといったことが起きていた。

そこで2年前から、職人から発注書が届いた段階でメンテナンス部が内容をチェックすることにした。発注は1カ月に70~100件ほどあり、軽微なものも含めるとそのうち約20件で不具合が見つかる。

「その20件の中に、塗料違いや大幅な缶数違いなど、後々トラブルを引き起こしそうな発注が1、2件紛れているんです」とメンテナンス部を取り仕切る宮尾光博課長は話す。

「営業としては、受注後の発注フォローをメンテナンス部に任せられ、新規開拓に集中することができるというのも大きなメリットです」(野中優営業統括部長)。



《テク1》発注が的確かをダブルチェック。

エース・リフォームでは、職人に塗料の発注を任せていたら、まれに塗料を薄めて使ったり、不適切な塗料に変更してしまうといったことが起きていた。2年前から、これを未然に防ぐために、職人からの発注書が仕様に合っているか、メンテナンス部で全てチェックしている。


《テク2》大型案件の仕様をダブルチェック。

エース・リフォームでは、大型案件はそもそもの仕様についてもメンテナンス部が目を通す。実際に、塗装予定の屋根材が塗装してはいけない材料だと気づき、未然に防げた例もある。

知らない材料があったら、社内で気軽に聞ける風通しの良い環境づくりも大切だという。



お話をうかがったのは…

エース・リフォーム(本社●長野県高森町)

長野で6拠点、岐阜、山梨、東京で各1拠点を展開。オリジナル塗料を使用する、外装リフォームをメインで取り扱う。近年、トラブルを未然に防ぐ新たな施策を次々に取り入れ、体制づくりを強化している。


営業統括部長 野中優さん

ホテルのコックとして10年間働き、拘束時間の長さから転職を考える。営業職に向いているという妻の意見もありエース・リフォームに入社。すぐに頭角を現し、営業→支店長→営業部長となった。「頑張った分だけ、業績にも評価にもつながるのがリフォーム業界だと思います」。


松本支店 メンテナンス部課長 宮尾光博さん

工場勤務と内装業のダブルワークを経て、約8年前にエース・リフォームに入社、メンテナンス部に配属される。「怒りたくて怒っている施主はいない。ただ困っているのだ」と気づき、そのニーズを見極めて改善することに重きを置く。2級建築施工管理技士、雨漏り診断士。



リフォマガ2023年5月号掲載



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