同じリフォーム営業でも、新人・中堅・ベテランと、営業歴によって「クリアしたい課題」は違うもの。
自分の強みを生かしながら、着実に課題を乗り越えることで営業力をアップさせたい。
今回は大ベテランの浦木裕さんのステップアップ術を紹介する。
《35年以上家造りに携わった大ベテラン》
フィディア(鳥取県米子市)ホームデコ境港店 浦木裕さん(62)
なんでも相談できる「家のお医者さん」
鳥取県米子市出身。大学の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに就職。山口県岩国市で現場監督を8年務め、200棟ほどの新築工事を担当。1998年に米子に戻り、総合住宅展示場での営業職に転向。その後、大阪でリフォーム会社の営業を経験。定年退職後の2022年1月にフィディアに再就職。ホームデコ境港店に配属される。月に最低10件は受注を取り、年間の売り上げは約8000万円。
【営業に転向後 課題は?どう解決した?】
提案するのに必要なお客様の情報をうまくヒアリングしたい!
現場監督から営業になったばかりの頃は、住宅展示場の中を案内しながら、お客様の情報(職業・家族構成など)を聞き出すことがなかなかできませんでした。これまでは職人さんとのやりとりがほとんどで、建築の知識はあるのですが、初めての接客で苦労しました。
営業の仲間同士で営業とお客様役に分かれ、展示場内をロールプレイングをしながら、ヒアリングの方法を教えてもらいました。
例えば、お客様の職業を聞く時は、当てずっぽうに「公務員ですか?」「医療関係ですか?」などと聞いてしまいます。すると、だんだん的が絞れてきて、職業を聞くことができます。
また、鳥取県は共働き率が高いので、奥さんの職業も世帯年収を推測するのに重要なポイント。小さなお子さんがいれば「お仕事中は親御さんが面倒をみているのですか」と聞くこともあります。親御さんだったらパートタイム、保育園ならフルタイムかと想像でき、どのくらいの金額まで提案できるかの目安にしていました。
【現在 課題は?克服するためにしていることは?】
家電量販店やホームセンターなどの競合店に勝ちたい
今の課題は、家電量販店やホームセンターなどの競合店にどう対抗するかです。
セット売りや特別価格を打ち出している大手と価格競争をしても負けるだけ。それ以外のところで勝負することが大事だと考えています。
セット売りではできない、プラスアルファの提案をして活路を見出しています。
例えば、トイレ交換だったら、バリアフリーのドアや断熱性の高い窓などを提案する。お風呂のリフォームなら、ユニットバスに交換するだけでなく、浴槽や入口の位置を変える間取りや、洗面脱衣所のコンセントの位置、照明、タオル掛けまで、お客様の使いやすさを考え尽くした提案をします。
すると、見積もり価格が高くても「浦木さんにお願いしたい」と、何度も相見積もりを勝ち抜くことができました。
【未来 これから身につけたいことは?取り組んでいることは?】
電気工事士の資格を取得したい
今、電気工事士の資格を取ろうと勉強をしています。
お客様のお宅を訪問すると、昔ながらの小さなスイッチを使っていて、どこの照明のスイッチなのか分かりにくいことがよくあります。その度、ワイドスイッチにしてネームを付けたら、お客様のストレスがなくなるのでは、と思うのです。
営業に行ったついでに私が工事できれば、別の日に工事を組む必要がなく、お客様の負担も減ります。電気工事ができるようになるのが、今後の目標です。
浦木さんの強みはスピードと手先の器用さ
パパッと修理で、お困りごとを解決
私はいつも工具やネジ、クギ、戸車などを持ち歩いています。お客様の家で「扉がガタガタする」と言われたら、金具を交換したり、建具を削ったりすることもあります。その場で修理できることは修理する。このスピードが大事だと思っています。
以前、カーテンレールの付け替えをしたお客様から、玄関や洗濯物干し場の手すりの設置など、次々と1年間に7回もご依頼をいただいたことがあります。最近ではお風呂のリフォームも依頼され、トータルで数百万円の受注に繋がりました。
お客様から「浦木さんはお家のお医者さんみたい」と言われた言葉が、私の宝物です。
▲浦木さんがいつも車に積んでいる「七つ道具」。ネジの本数だけでも数百本もある
リフォマガ2024年4月号掲載
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