リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第14回 壁紙リフォーム(後編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
壁紙工事では、下地の状態を事前に把握することが重要なチェックポイントです。下地の異常があれば、その原因を明らかにしてから工事を開始しないと、「開けてびっくり」事件が起きてしまうかもしれません。また壁紙工事時に依頼されることが多いコンセントやスイッチの移設・増設工事についても要注意。壁下地の状態で見積もり金額が大きく変わることがあります。そこで今回は下地にまつわる失敗事例をいくつか紹介します。
《事例6》
コンセントを移設する予定の壁がコンクリート直壁だった!
コンセントが露出配線に? なんとか隠せない?
マンションの内装工事での話です。「壁紙を張り替える時に、コンセントの場所を動かしてほしい」という施主の希望があり、コンセントの移設費用も含めて契約しました。ところが施工図面を見た職人が「え、ここのコンセントを動かすの?」と言って壁をトントンと叩いています。「この壁はコンクリートに直接壁紙を張っている壁だから、裏に配線を通すスペースがないですよ。配線が露出してコンセントボックスも出っ張りますが、いいですか?」
そばで聞いていた施主は「え、せっかく部屋がきれいになるのに、露出配線?」と大慌て。コンクリート直壁だということに気付かずに簡単に移設できると考えていました。
【解決策は?】コンクリート壁をふかして配線スペースを作る
建設当初からコンクリート直壁についているコンセントは、コンクリートに埋まっている状態です。ここから配線を移設する場合、既存のコンセントに「腰高プレート」を取り付けて電気配線を取り出し、露出モールで線を壁伝いに這わせる、いわゆる「露出配線」にすることになります。ではなく、配線とコンセトボックスを壁の中にきれいに納めるのなら、コンクリート壁に胴縁で下地を組んでコンセントを埋め込むスペースを確保することになります。石膏ボードと壁紙の厚みもあるため、既存よりも数センチ壁がふけてきますので、壁ふかしの範囲をどこまでにするか、事前の打ち合わせが大切です。
▲壁をふかして隠ぺい配線にする
【どうすれば事前にわかる?】鉄筋コンクリート造の壁式構造に注意
鉄筋コンクリート造(RC造)の建物では、こうしたコンクリート直壁に注意しなければなりません。手で叩くと簡単にわかりますので、コンセントやスイッチに移設や増設の予定がある壁が必ず事前に手で叩いて確認する必要があります。鉄筋コンクリート造の建物は「ラーメン構造」と「壁式構造」の2パターンがありますが、壁と床などの面で建物を支えている「壁式構造」の建物では、壁がコンクリート直壁になっている例が多くみられます。(近年は壁紙の仕上げの問題等から、石膏ボードで覆うことが一般化しています)
[こんな現場もあります]
壁をふかした部分を活用する
コンセントの移設などで壁をふかす場合、移設部分だけではなくその面一面をふかすことになるため、少しではありますが、デッドスペースが生じてしまいます。そこでデッドスペースを活用してインテリアのアクセントにしようという現場も多くみられるようになりました。イラストのように壁にくぼみ(ニッチ)を設け、好みのアクセントクロスを張ると部屋の雰囲気もだいぶ変わります。
リフォマガ2024年6月号掲載
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