リフォーム解体新書~雨漏れのシミかと思ったら、コウモリのフンから出たシミだった

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第14回 壁紙リフォーム(後編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

壁紙工事では、下地の状態を事前に把握することが重要なチェックポイントです。下地の異常があれば、その原因を明らかにしてから工事を開始しないと、「開けてびっくり」事件が起きてしまうかもしれません。また壁紙工事時に依頼されることが多いコンセントやスイッチの移設・増設工事についても要注意。壁下地の状態で見積もり金額が大きく変わることがあります。そこで今回は下地にまつわる失敗事例をいくつか紹介します。



《事例5》
雨漏れのシミかと思ったら、コウモリのフンから出たシミだった

「2階の天井のシミが気になる」という話をきっかけに、戸建て住宅の内装工事を請け負うことになりました。2階洋室の天井にはうっすらとグレーのシミがあり、「きっと暴風雨の時に雨が入り込んだのでしょう。新しい壁紙が同じようにならないよう、解体初日に天井を開けて調査しましょう」という約束になっていました。

さて解体初日。天井の壁紙を剥がしにかかった職人が、「えっ臭い!これ、雨漏れではないんじゃないか」と慌てています。「木が腐った臭いでもないし、天井を開けると何かが出てきそうでいやだなあ」ということで解体はそこでストップしてしまいました。



【解決策は?】異物が鳥獣のフンであれば、専門業者を呼ぶことも検討する

鳥獣被害対策のポイントは、不用意に屋根裏に入ったり、フンを触ったりしないということです。鳥獣が住みついている空間には雑菌や病原菌が蔓延していると考えて行動しましょう。同じ個所に固まってフンがある場合はコウモリかネズミのものと考えられます。コウモリのフンは水分が少ないため、天井にシミが出ているなら山ほどのフンが堆積しているかもしれません。素人でも注意すればコウモリの追い出し・掃除・殺菌・侵入口の特定と封鎖まで可能ではありますが、ちょうじゅうほごほう鳥獣保護法に抵触せずにこれらの工程をこなすことを考えて、専門業者に任せるかどうかの判断を。

▲不用意に屋根裏に入ったり、フンを触る行為は危険です


【どうすれば事前にわかる?】シミを雨漏れと決めつけずにヒアリングと調査を

壁紙を張り替えている時にコウモリ被害を発見した…ということもあるようです。天井ばかりではなく「壁の中にぎっしりとコウモリがいて、フンが腰の高さくらいまで堆積していた」という話もあります。現場調査の時に、なんとなくドブ臭いとか、住んでいる人から「パタパタと音がする」などと気になる話があればコウモリ被害を疑いましょう。天井裏を確認する時は、ヘルメット・ゴーグル・マスク・ゴム手袋を装着して雑菌を吸い込まないように注意することが大事です。

▲屋根裏を確認するなら完全装備で



[鳥獣保護法とコウモリ対策]

ちょうじゅうほごほう鳥獣保護法は、鳥類及び哺乳類に属する全ての野生動物を勝手に捕獲や殺処分することを禁止するというものです。どのような目的であっても、捕獲する場合は自治体や環境省の許可が必要です。

ちなみに家屋で見られるコウモリはほとんどが「アブラコウモリ」で、「イエコウモリ」とも呼ばれています。日本全国に生息し、身体が小さいため、家の隙間から中に侵入してきます。夏は蚊も食べるためヒトにとって良いこともありますが、衛生上人体に悪影響を及ぼすこと、家屋を傷めること、臭いや音で安心して住めない等々の問題があります。コウモリをライトの光で誘導するなどして追い出し、侵入口を塞ぐと同時に忌避剤で再度侵入しないようにするくらいのことなら「鳥獣保護法」に触れることはありません。しかし追い出す際に菌を吸い込むなどの危険を伴うため、有料ですが、捕獲の認可を受けている専門業者に依頼するのが安全といえるでしょう。



リフォマガ2024年6月号掲載



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