リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第14回 壁紙リフォーム(後編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
壁紙工事では、下地の状態を事前に把握することが重要なチェックポイントです。下地の異常があれば、その原因を明らかにしてから工事を開始しないと、「開けてびっくり」事件が起きてしまうかもしれません。また壁紙工事時に依頼されることが多いコンセントやスイッチの移設・増設工事についても要注意。壁下地の状態で見積もり金額が大きく変わることがあります。そこで今回は下地にまつわる失敗事例をいくつか紹介します。
《事例4》
便器横の壁紙が黄ばみ、下地の石膏ボードが膨らんでいた
子供のおしっこが右にカーブしている?
トイレ工事で壁紙を張り替える作業中、職人が「この壁、下地のボードを張り替えなきゃだめだね」と言ってきました。見ると便器の右横の壁紙が黄ばんでいて、その下の石膏ボードが膨らんでいます。便器のすぐ右横で見づらい場所だったと言えば言い訳になりますが、事前に現場を確認した時に膨らみには全く気が付きませんでした。
施主に尋ねたところ、「息子のおしっこが右にカーブしてしまうの」とのこと。どうやら子供のおしっこが常に右の壁に当たり、壁紙の継ぎ目から石膏ボードにしみ込んで水分を含んで膨らんでしまったようです。確かにこのままでは壁紙をきれいに張ることができない状態です。
【解決策は?】部分的な下地補修で済むか確認を
まずは被害の範囲を確認します。石膏ボードの一部だけ補修すれば済むのか、壁を支えている木部まで被害が及んでいないか、また必要があれば床下も見てみましょう。子供のおしっこがかかったくらいでは表面的な傷み程度と考えられますが、念のため石膏ボードを切り取って周囲の状態を見てから必要な資材を準備します。壁紙職人が大工作業もできる職人であればスムーズに作業が進みますが、それでも追加工事になる上、トイレを使えなくなる期間が長くなるため、まず施主に状況の報告を。トイレが1カ所しか無い場合、外した便器を再設置して、翌日工事を再開せざるを得ないこともあります。
【どうすれば事前にわかる?】トイレ内のアンモニア臭が気になる時は特に注意
小さな男の子の中にはおしっこが真っすぐに飛ばないお子さんもいます。便器の横は見えにくい箇所ですが、重要なチェックポイントです。最近は座って用を足す男の子が増えたのか、このような例は少なくなったようですが、それでも調査の時にはトイレブラシや汚物入れなどをどかしながら隅々まで確認することで、このような事態を防ぐことができるでしょう。また現地調査の時にトイレ内のアンモニア臭が気になる時は、どの辺りから臭うのか注意しましょう。
▲いつもおしっこが横にカーブしてしまう…
[こんな現場もあります]
ペットのマーキングで壁下地が傷んだ
「ペットがマーキングで同じ個所に繰り返し尿をかけて困っている」という話が出ることがあります。特に壁紙の継ぎ目に尿がかかると、壁下地の石膏ボードにまで尿がしみ込み、臭いがつくため下地の交換を検討する必要があります。もしも近くにコンセントがある場合はコンセントの差し込み部分にも尿がかかっているかどうか確認しましょう。もしコンセントに水分がかかった場合、電源プラグの接続部で火花が発生し、出火する恐れがあります(トラッキング現象)。そのため壁工事と同時にコンセントを交換し、再び尿がかからないように、カバーをつけるなどの対策を考えなくてはなりません。
▲ペットの尿は壁を傷めるだけでなく、コンセントにかかると危険
リフォマガ2024年6月号掲載
⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓
0コメント