リフォーム解体新書~天井廻り縁を外したら、大きな隙間があった

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第13回 壁紙リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回は壁紙工事の現場でありがちな事例を集めました。壁紙の張り替え工事は、解体するといっても壁紙を剥がすだけなので「開けてびっくり」ということは少ないように思いがち。しかし、「施工前の注意を怠ったがために再施工になってしまった」という話が多いのもこの壁紙工事です。図面で施工数量を計算するだけでなく、現場の状況を確認することが大切です。



《事例2》
天井廻り縁を外したら、大きな隙間があった

廻り縁を無くして天井と壁の壁紙を突き付けにしたいのだが…

ある戸建て住宅の壁紙張り替え工事で起こった「開けてびっくり!」の話です。天井と壁が接している部分にぐるりと取り付けられた「廻り縁※」。これを外して天井と壁の取り合いの壁紙を突き付けに仕上げる予定でした。それまで廻り縁は部屋のアクセントでつけられていると思っていたのです。なぜなら自宅のマンションにはこのような廻り縁がありません。施主には「廻り縁が無い方が空間の広がりを感じられるため、この機会にとりませんか」と説明していました。ところが、廻り縁を外した天井を見上げて「えっ」と声を上げてしまいました。「壁のボードが天井まで届いていない!」つまり、天井と壁の間に隙間がある状態だったのです。


【解決策は?】隙間を埋めれば突き付け仕上げも可能

天井と壁のボードの間に隙間があると、突き付けに仕上げられないということはありません。ただし手間がかかることと、突き付け仕上げにした際に、下地の仕上がりが良くないと、壁紙がよれてしまうなどの不具合が起こるため、きちんとした下地をつくる必要があります。

隙間には下地になるような材料を充填します。職人により使う材料に違いがありますが、クラックに強い充填材がよく使われています。下地ができたらメッシュテープを貼り、パテで仕上げます。手間がかかる他、下地の乾燥のための時間も必要なので、予算と工期の調整をしながら工事を進めましょう。

▲壁紙に不具合が生じないように下地を作る


【どうすれば事前にわかる?】廻り縁を外す場合は取り合い補修のリスクを考慮

廻り縁は部屋のアクセントになるため、装飾を施したものなど様々な種類があります。しかし廻り縁の大きな役割として、材料同士の取り合いで生じた隙間や、壁紙をカットした端の部分を隠すことが挙げられます。中にはこの例のように、壁の石膏ボードと天井との隙間が大きく開いているケースもあります。廻り縁を外す場合は、外したあとの処理を考慮して予算や工程の計画を立てないと、工事が始まってから慌てることになりかねません。



[用語解説]廻り縁(まわりぶち)

天井と壁を見切る方法にはいくつか方法がありますが、一般的に多く用いられているのが「廻り縁」と呼ばれる見切り材で取り合い部分をカバーする方法です。種類が豊富で、デザインにより室内を豪華に演出することもできます(イラスト左)。

また天井と壁の取り合いをシンプルに見せる方法として、天井ボードに埋め込む見切り材を使用している現場も多くあります。これはカタカナの「コ」のような形の塩ビジョイナーを天井・壁のボードが接する部分に取り付けるというものです(イラスト右)。塩ビの一部が室内から見えますが、容易に外せないことに注意しましょう。



リフォマガ2024年5月号掲載



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