リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第15回 間取り変更リフォーム
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
間取り変更工事をする時は、あらかじめ図面を確認した上で計画を立てることが鉄則です。しかし図面だけを頼りにしてしまうのは危険です。事例2で紹介する戸建て住宅でのハプニングのように、図面と実際の建物が違っていた!ということもあるからです。マンションにおいても、詳細が明記されていない間取り図だけで計画を立ててしまうと、事例3のように天井裏から意外なものが出てきてしまうかもしれません。今回は、間取り変更工事にありがちな事例を紹介します。
《事例3》
マンションの和室天井を開けたら換気扇のダクトが出てきた
和室をリビングと一体化したいのに、天井に段差ができてしまう
マンションのリビングを広げるため、隣接する和室をつなげる工事が始まりました。リビングと和室の間の壁を撤去しますが、天井の高さはリビングの方が5センチほど高いため、和室の天井板を撤去し、リビングの天井高に合わせて新規に天井板を取り付けることになっています。しかしここで思わぬハプニングが。天井板を外した途端、太い蛇腹が姿を現したのです。
「え、まさか換気ダクト!?」と現場は大慌て。「ダクトがあったら天井を上げることはできないよ」と工事がストップしてしまいました。この時参考にしていた図面は施主が持参した図面です。マンション販売時のパンフレットですが、そこには換気ダクトが和室を通っている情報は書かれていませんでした。
【解決策は?】天井にできる段差をインテリアに活用しよう
マンションでの間取り変更工事で代表的なのが、和室とリビングを一体化する工事です。多くの場合、和室の天井高はリビングの天井高よりも下がっているため、和室の天井を解体してリビング側の天井高さに合わせる工事が行われます。もし今回の事例のように天井裏にダクトが通っていたら、和室の天井高を既存のままにするか、または天井高は高くしてもダクトが通る部分だけ下がり壁を作ることになるでしょう。もし予算がオーバーしても大丈夫であれば、イラストのようにダクト部分に下がり壁を設け、天井面を照らす間接照明を入れる等、逆にインテリアに活かすこともできるでしょう。
▲ダクトを通すためにできてしまった段差を間接照明に活用(イラストの例はコーブ照明)
【どうすれば事前にわかる?】詳細図面で排気ルートを確認し、更に排気口がある場所をチェック
マンションのカタログやチラシに記載されている間取り図には排気ルートが記載されていないことが多いため、間取り変更工事では、詳細が書かれた図面が必要です。管理事務所など、図面を管理している窓口に問い合わせましょう。更に、現場調査のときに排気口を確認します。各部屋の換気口の他に換気扇の排気口があれば、天井裏にダクトがあるはずです。
▲各部屋にある換気口の他に、換気扇用の排気口があることを確認する
[こんな現場もあります]
天井板をはがしたら、上の階の排水管が出てきた
古いマンションの天井板を撤去したら上の階の排水管が出てきた…ということがあります。年代でいえば、1980年頃よりも前に建てられたマンションで見られるケースです。当時は排水管の勾配をとるために、排水管を床のコンクリートスラブに埋め込むように貫通させ、階下の天井裏を通すことが多かったのです。もし天井裏の排水管の存在を知らずに解体工事を行うと、管を損傷してしまう危険がありますので、古いマンションの解体には注意が必要です。
【要注意!】「スラブ上排水」と「スラブ下排水」
マンションの排水管は、床のスラブの上を通っている場合と下を通っている場合があります。前者は「床スラブ上排水」、後者は「床スラブ下排水(床スラブ貫通)」といいます。
●床スラブ上排水床スラブの上に排水管を通す方法です。床は二重床になっていて、その間を排水管が通っています。床スラブの上に直に床材が施工されているマンションでも、配管が通る道だけ床スラブを下げて配管スペースを確保しています。
●床スラブ下排水上階で使用している排水管を、床スラブを貫通して、下階の天井裏に通す方法です。排水管の勾配をとりやすいという理由から、かつて多く採用された方法です。しかし下の階への漏水や排水音等、多くの問題点があり、今では採用されていません。
リフォマガ2024年7月号掲載
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