リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第15回 間取り変更リフォーム
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
間取り変更工事をする時は、あらかじめ図面を確認した上で計画を立てることが鉄則です。しかし図面だけを頼りにしてしまうのは危険です。事例2で紹介する戸建て住宅でのハプニングのように、図面と実際の建物が違っていた!ということもあるからです。マンションにおいても、詳細が明記されていない間取り図だけで計画を立ててしまうと、事例3のように天井裏から意外なものが出てきてしまうかもしれません。今回は、間取り変更工事にありがちな事例を紹介します。
《事例1》
DIYで珪藻土を塗った壁解体手間が予想以上にかかった
分厚く塗られた珪藻土。硬いし埃は立つし、解体が一向に進まない!
ダイニングとリビングを一体化するため、間仕切り壁を撤去する現場がありました。そのお宅の壁は珪藻土で仕上げられていて、数年前にご夫婦でクロスの上からDIYで塗られたとのこと。壁にはご自分で穴を開けて珪藻土で塗り固めたおしゃれなニッチもありました。
問題は解体直前に起こりました。「この壁、1日で解体するなんて無茶だよ」と職人が言いだしたのです。とにかくやってみようということで解体を始めましたが、壁はカチカチに固まっていて、壊すたびに珪藻土が飛び散り、マスクをしても隙間から粉を吸い込んでしまいます。職人が言う通り、解体ははかどらないわ、ゴミは大量にでるわで、工程が大幅に狂ってしまいました。
【解決策は?】急いで解体すると既存残しの壁も傷むため、工程を調整して慎重に作業する
珪藻土が塗られている壁の解体は、防塵用のマスクが必要です。さらに破片が目に飛び込む危険を回避するため、ゴーグルなどで目をガードしましょう。作業効率のUPにもつながるはずです。珪藻土や砂壁などの塗り壁の解体はただでさえ手間がかかるのですが、DIYで塗る珪藻土は分厚く仕上がりがちで、作業は大変です。だからといって解体作業を急ぐと、残す範囲の珪藻土まで傷めてしまうかもしれません。工程を調整してでも慎重に解体作業を進めたいところです。
【どうすれば事前にわかる?】事前調査時に厚みをチェックする
珪藻土をDIYで壁に塗ったという家が増えていますが、プロに比べて素人の塗装はどうしても厚く塗りがちです。調湿効果を高める目的や手形をつけるなどの目的があって、意図的に厚く塗る人もいるでしょう。厚みを確かめるポイントは、ニッチまわりや出隅。角がR状になっていれば、分厚く塗られていることが想像できます。また、解体スケジュールを多めにとりましょう。
▲ニッチまわりや出角をチェック
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進駐軍が接収して改修した民家が大変なことになっていた
終戦後の進駐軍の接収によって、内装を洋風に改修されてしまったという家がありました。昭和10年ころに建てられたその家は、外観は洋館のようでしたが、壁は竹子舞に土壁を塗った伝統的な工法です。外壁はしっくい仕上げで、内部の壁はもともとは土壁に砂壁を塗って仕上げられていたそうです。
ところが進駐軍に占領されたのち、内装をアメリカ人好みに改修されてしまったとのこと。内壁の砂壁の上には分厚くしっくいが塗られ、更にカラフルなペンキで仕上げられていました。リフォームに伴い、この壁を撤去することになったのですが、砂壁で仕上げられた土壁を解体するだけでも大変な作業なのに、さらに分厚く塗られたしっくいが加わり、結局壁1枚を解体するのに2人で3日もかかってしまったのです。
リフォマガ2024年7月号掲載
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