提案ワザを学ぼう!私の推し建材
特にこだわりはないけれど、いつも同じメーカー、変わらないカタログ…商品選定が偏りがちな方は必見。業界現場で働く営業・プランナーが愛用している設備建材「推し建材」をご紹介。使っているからこそ知っている、推しポイントや顧客に響く提案ワザを聞いた。「何を、どんな風に薦めれば喜ばれるか」を知り、自身の提案でも実践してみよう!
「YH090 蒲芯半割(ナイロン糸編)」(横山竹材店)
部分使いで一歩上の古民家リフォーム
提供:横山竹材店
湿地帯に生息する蒲の芯部分を乾燥させベニヤに貼った製品。蒲(ガマ)は生け花として床の間に飾られる事も多く、また和室の内装材としても昔から重宝されている素材。
和の雰囲気を出したい際に
特に古民家リフォームなど、昔ながらの雰囲気を残したいときや和のテイストを出したいときに提案します。同じような柄のクロスで仕上げることもできるかもしれませんが、しっかりとした梁にクロスだと味気ないですよね。その点、本物の蒲芯は風合いがあり、反射光の質感などが圧倒的に異なります。
蒲芯とは植物の蒲を原材料にしたもので、この商品はベニヤボードに加工したパネルになっています。知らないお客様がほとんどですので、家の雰囲気に合いそうだな、と思った際には積極的にこちらから提案しています。実物もですが、過去事例が一番イメージが伝わりやすいので、見せられるようにしています。
【提案ワザ】ローメンテナンスな天井材として
細い植物を寄せ集めているので、表面は凸凹しています。そのため縦に貼ると埃がたまりやすい。なので、壁ではなく天井材として用いるようにしています。
【提案ワザ】全体ではなくアクセント
天井でも全体に施工してしまうと重たくなりすぎるのと、費用的な面でもハードルが上がるので一部使いをしています。
《こんな時にピッタリ!》
築100年以上のお宅でした。藁葺き屋根の雰囲気を出すために、天井裏で使われていた木材を再利用し、ガマ芯でアレンジ。新しさと昔の良さをうまくミックスできたと思います。
オススメしてくれたのは…
カスケホーム(岡山県倉敷市)仁科和之さん
不動産賃貸やハウスメーカー勤務を経て、リフォーム営業12年目。5年ほど前に1級建築士の資格を取得し、設計にも携わる。大型リノベーションをメインに担当。自分の提案したものが形に残り、喜んでもらえるリフォームにやりがいを感じる。
「グリーングルー」(サンゴバン)
アメリカ生まれの塗る遮音材
提供:サンゴバン
2003年にアメリカで発明された防音材料。薄緑色の粘弾性の液を壁・床などのボードに塗布して使う。ボード2枚に挟みこむことにより薄く均一に伸び、時間が経つと、ゴム状の物質になる。この物質が壁の振動を吸収、音を防ぐ。ホルムアルデヒド不使用。
施工が楽で狭い場所にも使える
他の遮音材に比べて施工がシンプルなので、施工が短時間で済むほか、狭い場所でも使えます。「夜間にトイレの水を流す音がうるさい」というご相談を頂いた事例では、トイレの中の壁に施工。隣接する寝室の壁にもグリーングルーを使って、トイレの音に悩まされることのない寝室にしました。
▲塗って使うので小回りが利く
【提案ワザ】サンプルで防音効果実感
提案の際は、サンプルを使って音の違いを伝えています。用意するのは2枚の石膏ボードをただ重ねたものと、ボードの間にグリーングルーを塗ったもの。これらを実際に叩くことで、音の違いを実感して頂いています。石膏ボードだけではキンキンと甲高い音がしますが、グリーングルーを塗った方はポコポコとこもった音。響き方の違いを実感してもらえます。
▲グリーングルーの有無での防音効果実験
提供:サンゴバン
《こんな時にピッタリ!》
マンションのリフォームを手掛けることが多いのですが、エレベーターや外部の通路に面した部屋の防音に提案しました。クロスを張り替える際に一緒に施工することができます。
また、壁だけでなく、天井に施工することも。マンションの上の階の騒音が気になっていたお客様でした。石膏ボード3層の間にグリーングルーを2層塗りました。引き渡し後、「本当に音が小さくなった」と喜びの声を頂きました。
オススメしてくれたのは…
水と木工房(東京都国立市)北川恵子さん
リフォーム業界24年目のプランナー。営業、見積もりからプランニングまで一貫して手掛ける。デザイン関係やハウスメーカー勤務などを経て、現在所属するHGプランニングの立ち上げから参加。素材にこだわり、お客さんに共感してもらえるモノづくりを心掛けている。
リフォマガ2021年12月号掲載
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