リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第8回 浴室リフォーム(後編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
私は浴室解体に立ち会う時、「何も出ないでくれ・・」と祈るような気持ちでした。浴室工事はシロアリ被害以外にもドッキリすることが多々あるからです。
心配事の原因の一つは建物の構造が多種多様なこと。特に最近ではハウスメーカーの建物が多くなり、メーカーごとの浴室の特徴を把握するのは大変です。浴室にまつわる「解体あるある」はいろいろとあるでしょうが、今回は私が実際に体験したドッキリ話を紹介します。
《事例 6》
2階のユニットバスの下に床が無かった
ユニットバスのすぐ下が1階の天井裏で歩くのも怖い
戸建て住宅の2階でユニットバスを解体後、下をのぞいてびっくり!そこには床が無く、すぐ下に見えたのは、なんと1階の天井板だったのです。
解体した職人さんは「2階のユニットバスではよくあるよ。吊り架台って言って、梁に架台を付けるんだ。でも壊してみないとわからないことが多いからねえ。」と言うと、慣れた様子でユニットを支えていた架台の上をひょこひょこと移動しています。でも初めての私は1階の天井板を踏んで破ってしまわないかとハラハラしながら見守るばかり。
すでに発注済みのユニットバスは床が無いと組めないし、「え~、工事を止めるしかない?」と青ざめてしまいました。
【解決策は?】架台の上に床を作る
既存のユニットバスは一般的な床置きタイプではなく、1階と2階の間に架けられた架台でユニットの底を支えるという、吊り架台と呼ばれる方法で設置されています。この場合、ユニットバスを外すと1階の天井裏が見える状態になっています。
既存が吊り架台の方法で設置されていた場合、新規のユニットバスは同じく吊り架台にするか、新たに床を造作して床置きにするかの選択になります。もし新規も吊り架台にする場合は、架台の受け金物との相性を確認する必要があります。今回の例のように、ユニットを解体しないと吊り架台かどうかわからない場合は、ベースになる床を作ってからユニットバスを設置する方法がとられます。
▲床造作の手間を1日分ほどみて工程を調整する
【どうすれば事前にわかる?】ユニットバスの詳細図面があれば吊り架台かどうか確認を
建築時の図面に設備の詳細図面があれば、吊り架台かどうか設置方法を確認します。しかし詳細図面がない場合は解体しないとわからないということが多いようです。2階のユニットバスの真下に位置する部屋の天井を開口すればわかりますが、一部分を開けただけでは架台を受けるアングルの位置までわからないのが実情です。そのため2階のユニットバスを交換する工事では、吊り架台でユニットを支えていることを想定して、工期と費用を確保しておくと安心です。
[こんな現場もあります]
ユニットバスの下に切れない鉄骨が通っている
浴室の床を解体すると、構造上必要な躯体が通っていることもあります。特に住宅メーカーの建物では、メーカーごとに工法が違うため、構造の特徴を掴んでおく必要があります。
解体すると、イラストのように浴室の真ん中を重量鉄骨が通っていることもあります。この現場では、鉄骨が洗面室の床下まで伸びていました。新しいユニットバスを入れ替えようとしても、鉄骨を切るわけにはいかないため、床を高くしないと入りません。
他にも鉄骨の土台が邪魔して浴室を大きくできないという現場もありますが、洗面所の床よりも浴室床を上げることで大きくできるかもしれません。その家の構造を考慮しながら対処する必要があります。
▲隣接する洗面所まで鉄骨が通っていることも
リフォマガ2023年12月号掲載
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