リフォーム解体新書~廊下側のニッチが邪魔でユニットバスをサイズアップできない!

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第7回 浴室リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回は浴室リフォームについてです。ホテルや集合住宅で採用されていたユニットバスが、戸建て住宅でも急速に普及するようになったのは1990年頃。当時施工された戸建て住宅のユニットバスは、すでにリフォーム時期に突入しているといえるでしょう。

当時の「ユニットバスは、気密性が高いので断熱材は不要」「水が浸み出ないからシロアリの心配はない」と誤った解釈をして、施工されていることもあります。解体後は不具合がないかしっかり確認しましょう。



《事例 3》
廊下側のニッチが邪魔でユニットバスをサイズアップできない!

浴室側のデッドスペースに奥行きのあるニッチが付いていた

既存のユニットバスは1216サイズ。浴室内のデッドスペースを有効活用して新規ユニットバスは1317サイズを入れる予定です。ところが解体すると、予期せぬものが出てきてびっくり‼

廊下側のニッチが浴室側にはみだしていたのです。施主に聞いたところ、DIYで奥行き15センチほどの飾り棚を取り付けたとのこと。「なるほど、浴室のデッドスペースの活用ですね」と感心したものの、これがあったらユニットバスを大きくすることができません。


【解決策は?】壁の厚みの中に収まるものに交換を

奥行きが深いニッチが必要なら、ニッチを廊下側に数センチ出す形で取り付け直すしかありません。しかし廊下に出っ張りがあると通行の妨げになってしまいます。奥行きは少なくなりますが、壁の厚みの中に収まる飾り棚や収納に交換することをお勧めします。壁の厚みの中に収まる壁厚収納は、飾り棚やちょっとした収納スペースになります。

▲ユニットバスを大きくするならニッチを外すしかない


【どうすれば事前にわかる?】埋め込み収納は奥行きを要チェック

ユニットバス交換工事では、浴室のデッドスペースを活用して1方向のサイズアップや2方向のサイズアップをする例が増えています。現場調査ではユニットバス天井の点検口から浴室内の寸法を測りますが、盲点となるのが隣接する部屋の壁から浴室側に突出したニッチ(埋め込み型の収納)です。多いのが洗面所と浴室の間に取り付けられたものですが、廊下壁に取り付けられたものは調査時にうっかり見落としがちです。図面になくても、施主がDIYで取り付けていることも多いので、奥行きを測って工事に支障がないか確認しましょう。



[用語解説]壁厚収納

「壁厚収納」とは、壁の厚みを有効活用した収納や棚のことです。また「ニッチ」は壁をくりぬいたくぼみのことで、そのくぼみを利用した収納はニッチ収納と呼ばれています。

壁厚収納は、壁自体の厚みによって奥行きにも違いが出ます。マンションの壁と戸建て住宅の壁では厚みに違いがあるため、活用できる奥行きが違います(戸建て住宅でも構造や柱の太さにより違いがある)。例えば奥行きが70mmしか取れない場合でも、洗面所に取り付ければ歯ブラシや歯磨き粉などの小物を置くことができます。最近はDIYで取り付けることも多いようですが、筋交いを切って取り付けたり、外壁面の断熱材を破ってしまうことがないようにしなくてはなりません。さらに遮音性の低下にも注意が必要です。



リフォマガ2023年11月号掲載



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