リフォーム解体新書~ユニットバスなのにシロアリがいた

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第7回 浴室リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回は浴室リフォームについてです。ホテルや集合住宅で採用されていたユニットバスが、戸建て住宅でも急速に普及するようになったのは1990年頃。当時施工された戸建て住宅のユニットバスは、すでにリフォーム時期に突入しているといえるでしょう。

当時の「ユニットバスは、気密性が高いので断熱材は不要」「水が浸み出ないからシロアリの心配はない」と誤った解釈をして、施工されていることもあります。解体後は不具合がないかしっかり確認しましょう。



《事例 2》
ユニットバスなのにシロアリがいた

在来浴室と違って水が漏れないはずなのに…

木造戸建て住宅のユニットバス解体工事の現場で、壁のパネルを外したところ、木部に何かもじゃもじゃと動くものがありました。「うわっ!シロアリ!」と思わず声を上げてしまいました。

ユニットバスは在来工法の浴室のようにタイルのヒビなどから水が漏れることがなく、シロアリ被害はないものと思っていたため、このようなことは全く想定外のことでした。

柱の付け根あたりと土台の一部がシロアリ被害ですでにスカスカの状態でした。「工程が詰まっているのにどうしよう」と頭の中がそれこそ真っ白になってしまいました。



【解決策は?】工程の組み直しと専門業者の手配

施主に報告の上、工程を組み直さねばなりません。まずはユニットバスの納品と組み立てを延期して、シロアリ駆除の業者の手配を。活動中のシロアリが洗面室などにもいる可能性があります。シロアリの駆除では他の箇所の被害がないか、床下を点検してから薬剤を散布します。薬剤散布の際は、他の職人が作業できないことに注意して工程を組み直します。

▲シロアリ駆除の手配を


【どうすれば事前にわかる?】ユニットバスだからと安心せずに事前調査を

床下はベタ基礎で土の露出がなく、しかも浴室はユニットバスだからシロアリの心配はない…という油断は禁物です。確かに在来工法の浴室のように内部からの水漏れの心配は少ないですが、土間コンクリートの亀裂や接合部分から水が入ってくることもあります。また水気が無くても、水分を持ち込んで乾燥した木部を湿らせてから食べる「イエシロアリ」もいるので安心できません。中に入り込んだシロアリは、蟻道を作りながら木部に向かって進んでいきます。ユニットバスでもシロアリを疑って、事前に床下に蟻道が無いか確認する必要があります。



[用語解説]蟻道(ぎどう)

蟻道とは、シロアリが地中の巣から地上のエサ(住宅の木部など)にたどり着くまでのトンネルです。シロアリは外気や光を嫌うため、コンクリート基礎の中を通って木材にたどりつきます。この際、土や木材のカスにシロアリの排泄物・分泌物を練り合わせたトンネル状の通路を作ります。これが蟻道と呼ばれるシロアリの道です。

蟻道はシロアリの種類によって違いがあります。「ヤマトシロアリ」は比較的細いぎどう蟻道を作り、いざという時は頭で入り口を塞ぎますが、水を運ぶ能力があると言われる「イエシロアリ」の蟻道は太さもあります。

▲コンクリートの接合部の隙間からでも侵入する



リフォマガ2023年11月号掲載



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