リフォーム解体新書~既存の窓が低すぎて浴槽にあたってしまう

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第8回 浴室リフォーム(後編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

私は浴室解体に立ち会う時、「何も出ないでくれ・・」と祈るような気持ちでした。浴室工事はシロアリ被害以外にもドッキリすることが多々あるからです。

心配事の原因の一つは建物の構造が多種多様なこと。特に最近ではハウスメーカーの建物が多くなり、メーカーごとの浴室の特徴を把握するのは大変です。浴室にまつわる「解体あるある」はいろいろとあるでしょうが、今回は私が実際に体験したドッキリ話を紹介します。



《事例 5》
既存の窓が低すぎて浴槽にあたってしまう

洗面所床と浴室床をフラットにすると既存の窓が低くなる?

戸建て住宅のユニットバスを解体していた職人さんが、「新しいユニットバスは洗面所床とバリアフリーにするの?この窓をそのまま使うなら浴槽に当たっちゃうんじゃない?」と声をかけてきました。要するに、ユニットバスの床が10cmほど上がるため、床から既存の窓までの高さがその分低くなるということです。

「あ、そうか」と気付いたものの、窓を上に上げるとなると外壁の補修が入るし、費用と時間がかかってしまいます。ユニットバスの組み立てを一旦ストップして対策を練らければならない事態になってしまいました。


【解決策は?】工事完了後にカバー工法で窓を小さくすることも可能だが…

外壁を触らずに窓を小さくするには、部分的にパネルを入れたサッシ※をカバー工法(既存のサッシ枠に新しいサッシ枠を被せる工法)ではめ込む方法があります。またイラストのように窓枠セットを追加して既存窓をそのまま使用することもあります。

今回紹介した現場のように、サッシ納品までユニットバスが組めないとなると、入浴できない期間が長くなって施主も困るでしょう。窓をそのままにユニットバスを組んで入浴してもらい、後日パネル付きのサッシを外側から取り付けるということも可能ですが、そうならないよう、事前のチェックが大切です。

▲既存サッシをそのまま使用したらこんな感じに


【どうすれば事前にわかる?】浴室の床高が上がることを想定して現場調査をする

新しいユニットバスの床を洗面所の床に高さを合わせてバリアフリーにすると、既存の浴室床の高さより上がることになります。もし既存のサッシをそのままの位置で変更しなかった場合、床が上がることで床から窓下までの高さが低くなってしまいます。現地調査の時にはこのことを念頭に置いて窓の高さについてもしっかりチェックする必要があります。

また、住宅メーカーの建物で、独自のユニットバスを採用している場合、例え既存のユニットバスの床と洗面室の床の高さが同じであっても、浴槽の縁までの高さが低く、それに合わせて窓も低くなっていることがあります。この場合、浴室の床高が変わらずとも、他のメーカーのユニットバスを入れると浴槽の縁に窓が当たることもあるので注意が必要です。

▲既存の床の高さが高くなると窓の位置は低くなる?




[用語解説]パネル入りサッシ※

 既存窓枠に新規の枠を被せる、いわゆる窓カバー工法ですが、部分的にパネルを組み込んだパネル入りサッシを使うことで、外壁の補修をせずに窓を小さくすることができます。浴室や洗面所などで用いられています。

イラストのように、窓の下の部分を塞ぐ使い方の他、浴室の横幅がある窓の半分にパネルを組み入れれば、シャワーと鏡を取り付けることもできます。洗面室に鏡を取り付ける場所が無い時にも応用できます。

▲カバー工法だから外壁の補修をせずに窓を小さくできる



リフォマガ2023年12月号掲載



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