リフォーム解体新書~洗面化粧台を撤去したら、壁がカビだらけ

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第4回 洗面所リフォーム(後編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

洗面所は湿気や水はねが特に多い場所なので、クロスを剥がしたら石膏ボードがカビで真っ黒になっていたという現場もたくさんあります。そのままではクロスを張れない場合や、中には洗面台を固定できないほど傷んでいることもあります。傷みの程度によって処置の方法にも違いがあるので、現場に応じた判断と迅速な行動が求められます。



《事例 4》
洗面化粧台を撤去したら、壁がカビだらけ

もしかしたら石膏ボードも傷んでる?

洗面化粧台を撤去したところ、クロス張りの壁がカビで黒ずんでいました。クロスを剥がすと、石膏ボードにもカビで黒ずみが。さらに確認すると、クロスの切れ目から水がしみ込んだ様子で、石膏ボードの下の方がふやけて少しふくらんでいます。このままクロスを張り替えてよいものか考え込んでしまいました。「カビだらけのクロスさえ張り替えればきれいになるだろうし、新しく張るクロスは防カビ仕様なので問題ないはず…」。でもやはり心配です。


【解決策は?】石膏ボードまでカビが侵食していたら、そのままにしない

石膏ボードにまで侵食しているカビをそのままにして上から新しいクロスを張ると、あとからクロスに黒ずみやめくれが出てくる心配があります。石膏ボードのカビが繁殖し、新しいクロスに影響を及ぼしてしまうからです。石膏ボードに侵食したカビの量により対処方法も変わってきます。カビの除菌で対応できる場合もありますが、カビを削り取り、防カビパテで平滑に均すこともあります。状態が悪ければ、石膏ボードの部分貼り換えが必要になります。

またクロスの切れ目などから水分が入り込んで、石膏ボードの下の方がふくらんでしまった場合は、そのままではクロスがきれいに張れないばかりか、壁面が平滑でないため洗面台をしっかり固定できない場合もあります。洗面台設置のための下地工事をする際に、一緒に石膏ボードの部分交換をして、しっかりとした下地を作りましょう。


【どうすれば事前にわかる?】洗面化粧台と壁の間は防水処理されている?

洗面所は湿気が多く、カビが発生しやすい場所です。更に換気扇が無い、窓が冷気で結露を起こすなどといった悪条件が重なると、天井や壁がカビで真っ黒になってしまいます。しかし今回のケースでは、洗面台を撤去するまでカビに気が付かなかったとのこと。これは洗面台と壁の間の隙間(クリアランス※)に水はねや湿気が入り込んだことが考えられます。今ではこの隙間にシーリングを打って防水処理をするのが一般的ですが、リフォームの現場ではシーリングを打っていないケースが多いので、現場調査の時にはそういったところもチェックしましょう。

▲カビが発生しやすい環境



[用語解説]クリアランス

「クリアランス」というと、真っ先に一掃バーゲンセールを連想する人もいるでしょう。建築用語では設置の「ゆとり」「隙間」という意味で使われていますが、「建物内部の空間」を指す用語としても使われています。

施工要領書に「洗面台のクリアランスは片側5mm」と書かれていたら「壁から片側5mmの隙間を確保して洗面台を設置する」ということです。この隙間は水や湿気が入り込まないようにシーリングを打って防水処理をします。もしこの隙間(クリアランス)が大きすぎる場合、シーリングが切れやすくなるのでクリアランスの寸法を守って施工しましょう。

▲洗面化粧台と壁の間にクリアランスをとり、防水処理をする



リフォマガ2023年8月号掲載



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