リフォーム解体新書~マンション現場で吊り戸棚を外したら梁が出てきた

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第3回 洗面所リフォーム(前編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回紹介する事例の中でも事例3の「浴室入り口の敷居がフカフカだった」は、敷居から水がまわりこんで床の構造躯体まで腐っていることもあり、予想しなかったような大きな工事につながることもあります。油断せずにしっかりと事前調査をすることが大切です。



《事例 1》
マンション現場で吊り戸棚を外したら梁が出てきた

新しい洗面台が梁に当たって納まらない

マンションの現場で洗面台上の吊り戸棚を外したら、裏に躯体の梁が隠れていた…というケースです。壁から壁まで吊り戸棚が付いていると梁が見えないため、見逃してしまう危険があります。

洗面所の床から梁下までの高さを測ると1850mm。新規に取り付ける予定の洗面化粧台の高さが1900mmだったので、設置しようにも梁に当たって背面を固定することができません。新しい洗面化粧台はすでに現場に届いているし、さあどうしようという事態になってしまいました。


【解決策は?】ミラーキャビネット交換か壁をふかす

梁対応(H寸法が低く設定されている)のミラーキャビネットが選択肢にある商品であれば、ミラーキャビネットのみ交換することもできますが、そのような化粧台が少ないのが現状です。もし化粧台の前面に余裕がある場合は、壁から出ている梁の幅に合わせて壁を前にふかし、キャビネットを固定することもできるでしょう。施主に状況を説明の上、早急に対策を決定する必要があります。


【どうすれば事前にわかる?】図面で天井が下がっている部分の有無を確認

図面で梁の有無を確認します。ラインは、イラストのように点線で表示されています。ただし竣工図であっても図面通りではないこともあるので、実際に目で確認しましょう。吊り戸棚を開けてみて、梁欠き加工で奥行きに段差がないかチェックします。梁型がある場合は床から梁下までの高さを測った上で洗面化粧台を選びましょう。また浴室のユニットバスとセットで交換工事をする場合は、ユニットバスの天井点検口から洗面所の梁も見えるかと思います。

▲梁のラインは点線で表示されている



【用語解説】梁欠き加工

梁欠き加工とは、箱物の家具やユニットの一部を梁の大きさに合わせて切り欠くことです。梁自体の寸法については、H寸法を「はりせい梁成」、W寸法を「はりはば梁幅」と呼びます。ちなみにマンションの室内に出ている「梁」は、建築用語では「下がり天井」と言います。コンクリートの梁があるために下がっていても、換気ダクトを通すために下がっていても、天井の一部が下がっていれば「下がり天井」ということになります。



リフォマガ2023年7月号掲載



⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓

年間購読(毎月15日発行・購読料8,800円)のお申込はコチラ

バックナンバーのご購入はコチラ

リフォマガのご案内はコチラ

リフォマガ

『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

0コメント

  • 1000 / 1000