リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第4回 洗面所リフォーム(後編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
洗面所は湿気や水はねが特に多い場所なので、クロスを剥がしたら石膏ボードがカビで真っ黒になっていたという現場もたくさんあります。そのままではクロスを張れない場合や、中には洗面台を固定できないほど傷んでいることもあります。傷みの程度によって処置の方法にも違いがあるので、現場に応じた判断と迅速な行動が求められます。
《事例 5》
巾木が壁に埋まっていて取れない!
巾木が取れないと洗面台を壁にぴったり付けられない
壁付けの洗面器を洗面化粧台に交換する工事でのトラブルです。「この巾木、壁に埋まっていて取れないよ」と職人から言われてしまいました。「え、取れないと困るよ」と大慌て。巾木が取れないと洗面化粧台の背面が壁にぴったりと付かないため、キャビネットを固定することができないからです。これは、巾木を先に床に固定してから溝に石膏ボードを差し込んで壁を作る「先付け巾木」というものだそうです。のみで壁から出ている部分を削れないか尋ねましたが、「壁が崩れるから無理」と断られてしまいました。
【解決策は?】のこぎりで巾木を切り取り撤去する
洗面化粧台の背面を壁に固定するため、巾木が壁から出ている状態のままだと支障があります。巾木の上に乗せる形でパネルなどを入れて壁を付加したり、中には洗面化粧台のキャビネットの方を巾木が当たる分だけ削るということもあるようですが、基本は巾木を撤去することです。先付けの巾木を撤去するには、壁を一部開口して巾木をざっくりと切り取らなければなりません。大工の手が必要です。開口した部分は補強をしてボードで塞ぎます。
▲壁を開口して巾木を切り取る
【どうすれば事前にわかる?】壁と巾木の隙間に薄い金属板を差し込んで調べる
壁と巾木の隙間に金属板を差し込んで、どこまで差し込めるか確認する方法。先付けの巾木なら差し込んですぐに溝の底に当たります。一般的な後付けの巾木なら、下まで差し込むことができます。巾木には細かい間隔で隠し釘が打たれているため、釘を避けて差し込みましょう。身近な道具としてカッターを差し込むこともあると思いますが、折れるとケガをするためなるべく他の道具を使うようにしましょう。
▲先付け巾木なら金属板が下まで届かない
[用語解説]先付け巾木
「先付け巾木」とは、石膏ボードで壁下地を作る前に取り付ける巾木で、溝にはめ込まれた石膏ボードをしっかり支えているものです。
戸建て住宅に限らず、少し前までは集合住宅でも先付け巾木が使用されていました。
石膏ボードを貼ったあとに取り付ける後付けの巾木が主流となった今でも「先付け巾木」を好んで採用することも少なくありません。それは後付けの巾木には無いメリットがあるからです。
先付け巾木のメリットとは…
- 壁が無い状態で巾木を取り付けるため、巾木の上からしっかりと留めることができる。
- 床材と巾木がしっかりと固定されるため、木が痩せてきても空き間ができにくい。
リフォマガ2023年8月号掲載
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