クレーム対策のオキテ~毎朝15分の朝礼でアクシデント共有 サポートスタッフが現場の質アップ

起こさない!怒らせない!クレーム対策のオキテ

リフォームの営業担当が避けて通れないのがクレームの問題。いかにクレームを予防し、発生してしまったらどれだけ迅速に解決するか。この2つが肝だが、個別性が高くなかなかマニュアル化しづらいのが実情だ。それでも独自の対策を編み出し、クレームの抑え込みに成功している4社に話を聞いた。後半では、編集部で集めたリフォームトラブル事例についての分析も掲載している。



毎朝15分の朝礼でアクシデント共有
サポートスタッフが現場の質アップ

三ツ星ハウジング(本社 埼玉県児玉郡)リフォームアドバイザー 今村大輝さん

クレーム防止には普通のことを普通に行い続けることが重要なのはわかっていてもそれが難しい。三ツ星ハウジングでは凡事徹底のための営業へのサポートやルール、仕組みでの業務改善が、高いリピート率につながっている。



凡事徹底をコツコツと簡単なことからスタート

クレームの原因のほとんどは簡単なことや当たり前のことをしっかり行えていないこと。約束を守る、期日を守るなどの凡事徹底こそがクレーム防止のためには重要と今村さんは語る。

とはいえ、簡単なことをしっかりやり続けるのは難しいし、急にできないことをできるように変えることが難しいのも事実。今村さんは簡単なルールが大事だと考えている。「そもそも約束をきちんとしていないこともあります。競合他社で『1週間位で見積もり出しますね』と言っていても、期日が曖昧で結局出てこない。お客さんに催促されて見積もりを慌てて提出するようなケースですね。私達は次のアポイントの約束を必ず日時をはっきり決めて取るようにしています」(今村さん)

「クレーム発生時にはあらゆる業務に優先して対応する」というシンプルなルールも有効だという。個々人が顧客対応のルールを明文化するだけでも顧客対応の質を上げることは可能だといえる。



朝礼は貴重な情報共有の場

毎朝、9時半から15分間行われる朝礼はクレーム対策にも効果が大きい。1つは社員が経験したアクシデントを簡潔に報告すること。小さなトラブルから大きなトラブル、技術的なことから接客面のことまで社内全員に共有することで、似たような事態に直面したときに参考になる。コストの掛かる大きめのアクシデントはネット上でデータとして残している。

「解決策がわからないときには、周囲の人間がアドバイスもしてくれます。朝礼は毎日行われるので、常に最新の情報が共有できます」(今村さん)

もう1つは基本中の基本である挨拶の練習。クレームの原因となるのは当たり前の基本的なことがしっかりできていないケースが多く、接客の基礎となるしっかりした挨拶が行えるように毎日練習を行う。



サポートスタッフが現場キレイに貢献

三ツ星ハウジングは現在営業6名の体制。6名が営業に少しでも専念できるように現場サポートスタッフを4名程度が支援する。サポートスタッフは現場に午前中に必要な建材や資材を搬入し、午後には廃材や不要な資材を回収する。

現場に物が多いだけでも、施主にとってはストレスになる。それが整頓されていなければなおさらだ。サポートスタッフは毎日2回現場に入るため、施主と職人の間を取り持つ役目も果たし、クレームに繋がる小さな不満や不具合も拾うことができるという。



完工後アンケートの一工夫
営業に気兼ねしない葉書でもらう

完工後のアンケートは葉書で貰っている。営業に気兼ねせず、忌憚ない意見をもらうことができる。

▲アンケート葉書でもサポートスタッフへの評価の高さがわかる



三ツ星ハウジングが取り組むレベルアップのための環境改善

今村さんが推進担当となって同社の施工やサービスなどの業務全般の品質アップを実現しつつあるのが「環境改善」の取り組みだ。これは現場の整頓などを始め、仕事のしやすい環境を整えることで、仕事の品質を高めていくもの。専門のコンサルに入ってもらい、2年前から実施している。

特徴的なのは、簡単にできる小さなことからスタートしていくこと。例えば、50cm四方の範囲の床だけを剥離剤を掛け、綺麗にしてからワックスを2度塗りする。これだけのことだが、小さな部分の床がきれいになると周りも綺麗にしたくなる。こうした良い習慣を少しずつ社内に定着させていくことがクレームの防止にもつながる。

「業務の効率化で、今までだったら5分も探すのに掛かっていた必要な工具や資材が1分で見つけられて工事を開始できる。これだけでも業務の効率化には大きいですし、不思議なことに仕事に余裕が出てくるとお客さんの微妙な心の変化などにも気づきやすくなります」(今村さん)



リピート受注7割を支えるアフターフォロー体制

三ツ星ハウジングのリピート受注の割合は全体の7割。営業スタッフではなく、ショールームスタッフ4名が手書きの葉書や電話かけでアフターフォローを行う。

ショールームスタッフは30~40代の女性で、コミュニケーション力も高く、営業の立場からすると、非常に助かっていると今村さん。

【1ヶ月フォロー】工事完了から1ヶ月

ショールームスタッフが宛名、コメントを手書きした葉書を送付。

【定期フォロー】工事完了から3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月

ショールームスタッフが電話をかけて不具合や経過を確認。



お話をうかがったのは…

三ツ星ハウジング(本社 埼玉県児玉郡)リフォームアドバイザー 今村大輝さん

美容・販売系の仕事を経て、7年前に三ツ星ハウジングに入社し、まったく未経験だった建築業界に。営業としての業務に加え、社内の業務改善などにも積極的に取り組む。



リフォマガ2022年5月号掲載



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