リフォマガ編集部スタッフ総出で、身近なリフォームトラブル体験談を収集。特集でも話を伺ったエース・リフォームの野中優さんと、Robinの田方雅之さんのお2人に、これらのトラブルはなぜ起きたのか、どうすれば防げるのかを分析してもらいました。
《体験談 5》仕上がりイメージの共有不足
畳敷きの和室の寝室を、フローリングにリフォームすることに。大きい押し入れには新たにクローゼット用の扉を付けました。でも、部屋にあったもう1つの小さい押し入れと、出入り口の引き戸にはクロスを張っただけ。なので、せっかく洋室にしたのに、取っ手に和室の名残が残ってしまいました。
後から相談したのですが、追加料金がかかるとのことで諦めました。
Fさん(秋田県、戸建て、築約70年)
【解説】
仕上がりの予想を伝えリフォーム詳細を詰めるべきだった
契約時にどこまでやるかは難しいが、3Dパースなどビジュアルを用いてイメージの共有を図るとよかった。そこまでできなくても、既存部分との境目や、どんな仕上がりになるかの予想を伝えれば、どこまでやるかを詰めていくことができたはずだ。ヒアリングスキル不足が原因と言える。
エース・リフォーム 野中優さん
イメージパースを出す際にはあくまでイメージと一言添えて
小規模な工事でも図面の提出は大切。イメージパースも出したいが、最近専用ソフトによるパースの精度が上がりすぎて、逆にトラブルが増えている。顧客がイメージと思わずに、細かい納まりまでその通りになると思い込んでしまうのだ。現状と違わないかしっかりチェックし、「あくまでもイメージなので、こんなに綺麗に納まらないかも」という一言を添えたい。
Robin 田方雅之さん
《体験談 6》下請けのせいにして責任転嫁
中古住宅を購入し、水まわり、床などを某大手リフォーム会社でリフォームしました。
3年ほど経ったある日、換気扇の掃除中に、壁の中で換気扇の配管ダクトが途中で半分外れているのに気づきました。当時の担当者に連絡しましたが、特に謝罪の言葉はなく「現場を担当した工務店がちゃんとやってなかったんですね。すぐに行かせます」と言われました。
工務店の方は謝罪のうえ現状を確認してくれました。が、「こういう場合、点検口を付けて直し、蓋をする方法になります」とのことで、他の選択肢はなし。壁紙を張り替えると周りとの差が出るから仕方ないでしょ?という態度で、見栄えとかこちらの気持ちは一切考慮してもらえず…。
下請けの会社のせいにして、自分たちの非は認めないリフォーム会社に対しても不信感が募りました。
Dさん(神奈川県、戸建て、築20年)
【解説】
どんな裏事情があるにせよまずは謝罪しなければならない
とても安くやった。利益を削ってまで、たくさんわがままを聞いた末の、担当者のこの反応だったのかもしれない。だが、どんな裏事情があったとしても、担当者はまず「すみません」と言い、自分ごととして対処すること。それを肝に銘じておきたい。
エース・リフォーム 野中優さん
下請け会社に対応させず元請けとして前面に出ること
100%下請けのミスだったとしても、当人を生かせてはいけない。元請けが責任を持って出ていくべきだ。当社では、やり直し工事が生じた場合、別の協力会社にやってもらう。ただし、その分の費用についてははじめの会社にきちんと負担してもらっている。
Robin 田方雅之さん
《体験談 7》フローリングにワックスをかけられて施工業者と大もめ
ノンワックスのフローリングなのに、ワックスをかけられたんです!リフォームでは全面フローリングの上に、大きなキッチンや造り付けの本棚や食器棚をつくりました。そこで、フローリングをやり直すとなると、造作を全て壊さないといけなくなるからか、業者が非を認めてくれませんでした。
施工業者・メーカーが一緒になって「えーこんなもんでしょー」なんて口裏をあわせられる始末。結局、裁判になりましたが、月日が経っていたので示談に。言いがかりのように言われ、最後はひどい言葉で捲し立てられました。
その後、剥離材で2回ワックスを落としましたが、元々のコーティングが禿げてしまい汚れやすく、足跡も目立つ……。地域の小さな会社だったのですが、少し高くても名前の通った大きな業者に頼めば良かったと後悔でした。
Kさん(福岡県、マンション、築28年)
【解説】
担当者と職人の打ち合わせ不足が原因
担当と職人の打ち合わせ不足が原因と思われる。営業担当が間違えて「ワックスをお願いします」と言ってしまうこともありうる。だが、そこで無垢のいい木だったりすると「間違いでは?」と言ってくれる職人さんもいる。いい協力会社さんを持つことも大切。また、会社の大小は関係なく、非を認めないのはリフォーム会社の体質の問題。
エース・リフォーム 野中優さん
赤字を出そうともやり直す一択しかない
担当が常に現場に張り付いていられるわけではないので、そこまで言っていないのに、職人が勝手にワックスをかけてしまったということもありうる。この場合はやり直す一択。ただ、顧客が言っていることがおかしい場合もあるので、そういう時は裁判も辞さない姿勢は必要。
Robin 田方雅之さん
《体験談 8》担当者変わったとたんに不満がボロボロ
新築のマンションを購入し、入居前に壁紙、エコカラット、造作家具、収納棚など簡単なリフォームをしました。担当者は感じのいい方でしたが、転勤のため別の担当者に変わることに。
引き継ぎが曖昧だったのか、新しい担当者は内容を全く把握していないようで一から説明し直し。「スケジュールがパンパンで、火曜、水曜は休みなので」と言われ、こちらが予定を合わせる感じに。それにも関わらず、打ち合わせに毎回10~15分遅刻して「スケジュールがパンパンで、すみません」と繰り返すだけ。
質問にも即答できない、「確認しておきます」といって連絡も遅い、新築の採寸にも道に迷って遅刻して、案の定、現調も雑で手際も悪かったです。
極め付けは、最初に納期を確認していたのに、現調後になって「納期には間に合うかどうかわからないけど、今からやってくれる業者を頑張って当たってみます」と一言。え?となりましたが、悪びれることもなく同じ主張をするのみ。
悩んだ末、契約前だったので、お断りしました。会社の知名度で安心していたのですが、やっぱり「人」大事ですね。
Tさん(大阪府、マンション、新築)
【解説】
実力的に上の者が引き継げば問題は起きにくい
途中で担当が変わるという場合、前任者と比較をされてしまうのが常。後輩が引き継いだりすると、施主が落差を感じてしまいトラブルのもとになる。そのため、なるべく実力が上の担当を付けるのが基本。勤続3年の前任者だったらさらに勤続年数が長い人、ベテランの前任者だったら店長クラスが担当するなど。
Robin 田方雅之さん
リフォマガ2022年5月号掲載
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