起こさない!怒らせない!クレーム対策のオキテ
リフォームの営業担当が避けて通れないのがクレームの問題。いかにクレームを予防し、発生してしまったらどれだけ迅速に解決するか。この2つが肝だが、個別性が高くなかなかマニュアル化しづらいのが実情だ。それでも独自の対策を編み出し、クレームの抑え込みに成功している4社に話を聞いた。後半では、編集部で集めたリフォームトラブル事例についての分析も掲載している。
「実力不足」と「怠慢」に分けて要所を押さえたクレーム対策を行う
Robin(本社 岐阜県高山市)取締役/岐阜支店店長 田方雅之さん
同じクレームでも、「実力不足」に起因するものと「怠慢」が引き金になるものは全く質が異なる。両者を明確に分けて対策を行うRobinの田方雅之取締役に、その手法について詳しく伺った。特に大きくなりがちな「怠慢クレーム」は、営業担当1人で案件を抱え込まないシステムにすることで避けられるという。
ブラックボックス化を避けることに注力
Robin(ロビン:岐阜県高山市)では、イメージ違い、誤発注、職人の腕の問題など「実力不足」によるクレームと、約束の時間に来ない、見積もりを持って来ない、直前に連絡してきたなど「怠慢」によるクレームは分けて考える。
「お施主様も、実力不足か怠慢かはよくわかっています。実力不足の場合はまだ挽回の余地があり、怠慢の場合のほうがこじれやすいです」と田方取締役は話す。怠慢によるクレームは、営業担当30名中3、4名に集中していた。その対策強化のため、経営管理本部で工事完成アンケートの分析を行うと、特に注意すべきポイントが2つあった。
1つ目は、引き渡しが疎かになりがちなこと。やり直しなど残工事が残っているのに、営業担当が自己判断で工事完了処理をしてしまい、工事費用の振り込みがなくて発覚することも度々。そこで施主のサイン入り「引渡書」の提出で、初めて工事完了の扱いになるようにした。
2つ目は対応の遅れやモレ。これは毎日夕方に営業担当と上司によるアフターミーティングを行うことで、ブラックボックス化を防ぐようにした。
実力不足によるクレームに対しては、勤続年数や規模によって積算部隊が事前に図面・見積もりをチェックすることで防ぐようにしている。掃除や養生も人によって感覚が違うためクレーム化しやすく、最近「ロビンとしての定義」を設けたという。
怠慢クレームを防ぐ仕組み
●工事完了時の引渡書提出を徹底
最後の清掃と取り扱い説明をし、引渡書に施主から確認のサインをもらうことを必須とした。
●上司と毎日行うアフターミーティング
毎日、上司が各案件の状況を把握し、次のアポイントや対応を促すことで放置を防ぐ。
実力不足を補う事前の図面・見積書チェック
浴室リフォームのつもりが水回り3点に発展したなど、新人が実力以上の現場を担当する場合、住宅事業部の積算部隊が一緒に現調に入り、図面や見積もりもチェック。フォローの有無は勤続年数と金額で決まる。
ロビンの養生の定義
以前はどこまで養生をするかが曖昧で、それがクレームにつながりやすかった。そこで「例」と断りつつ、写真入りで養生の定義を施主に見せることで、養生の品質の均一化を図った。導入して1カ月だが、今のところクレームは起きていないという。
ロビンの清掃の定義
定義を設けることで、バラバラだった清掃の品質が一定化した。施主に必要以上に清掃を迫られることも減り、社員を守ることにもつながっている。
お話をうかがったのは…
Robin(本社 岐阜県高山市)取締役/岐阜支店店長 田方雅之さん
大学卒業後、新卒でRobinに入社し20年。自分を含め4名のみだった創成期から6店舗まで拡大した現在までを知る。1年目は現場に張り付き、2年目から営業として活躍。現在は取締役として、クレーム対策のための顧客アンケート分析なども担う。
リフォマガ2022年5月号掲載
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