新人営業の指導術~指導内容の定量化とコミュニケーションで新人も先輩社員も育つ

社員がグングン育つ会社の新人営業の指導術

4月は新人社員を迎える季節。新人は元より、初めて後輩を持つ社員にとっても大きな成長のチャンスだ。指導する側・される側、双方のやる気を引き出し、能力を高め合うためにはどのように向き合えば良いか。研修内容やコミュニケーションの取り方など、互いに好影響を与える社員教育の方法を聞いた。




指導内容の定量化とコミュニケーションで新人も先輩社員も育つ

不動産SHOPナカジツ(愛知県岡崎市)


指導内容を定め若手が教える側に

不動産SHOPナカジツのリフォーム部門は約120人。3年目で部下6〜8人を抱える社員もいるなど、若手の成長スピードは早い。先輩の若手社員が新入社員に教えることで、新人と教育担当の社員相互のより深い成長を図っている。

同社ではリフォーム営業と現場監督を兼ねた担当者を建築プロデューサー(建築P)、その補佐を建築ディレクター(建築D)と呼ぶ。入社時は建築Dとして働き、後輩を教えることができるようになったら建築Pと呼ばれることになる。建築P1人で建築D1〜2人を指導する。入社2年目から建築Pとなる社員が多いが、2年目以降でも指導ができなければ建築Dの立場のままだ。

「教える側の2〜3年目の社員がどれだけ準備するかで新人の成長が決まります」と杉江さん。指導の質を保つため、チェックシートで成長進捗を明確化している。新人ができるようになるべき項目を記載したもので、建築P、Dの双方が評価を入れることで成果と課題が見えてくる。項目は具体的な内容が記載されており、例えば「近隣6件にあいさつしに行ける」など、約50項目。評価には精神論やあいまいな表現は避け、「頑張ったね」ではなく「何をいつまでにどれだけできたか」とコメントする。積み重ねることで、何をすれば成長できるかが本人にも意識できる。2週間に1度、チェックシートの提出と同時に30分程度の面談を行う。面談はシートを元に進行する。

また、支店長から新人ではなく指導役に向けたコメントも記載することで、建築Pを5年目以上のベテランが支える。



成果と課題が丸見えになる!不動産SHOPナカジツのチェックシート

2週に1度、30分程度かけて記入。建築D30名分を杉江さんも毎回確認している。



チェックシートは建築D&P&支店長3つの視点から分析・コメントし合う

報告内容も具体的に記載する。上長は普段の様子も鑑みながら、アドバイスを行う。

【建築D】

良かったこと:〇〇様邸で墨出し確認を行いました。→トイレの排水芯が合わないことに気付き、即座に対処することができました。

悪かったこと:太陽光見積作成の際に、変更したところに慣れておらずうまく進められなかった。→新しくなったことや変更になったことを再確認して、スムーズに動けるようにします。


【建築P】

良かったこと:勉強会の実施から、実際に〇〇様邸での排水芯のトラブルに気付くことが出来ました。換気口の吊り戸との干渉や、洗面室パネルの見切りの未手配など、私も気付かずに仕上がりが遅れることも多々あります。この現場での経験を礎にし、これからの現場での確認業務に生かしてください。

悪かったこと:振り返ってくれたように、前回同様の時間の使い方が良くないです。事務作業の時間はある程度、一日のスケジュールの中でロックしましょう。現場を回る時間も同様です。


【支店長】

□□君は、積極的に案内同行に入ってくれており、その姿勢が素晴らしいです。商談に入ったからこそ、自分のトークスキル、案内準備、提案資料の内容精査等、課題が見えてきました。1件1件の反省を行い、次の商談の準備をしていきましょう。



仲間づくりで業務知識広げる

新卒社員は4月の座学研修後、5月から部署ごとに配属先研修を受ける。リフォーム部門では2週間かけて全7店舗をローテーションでまわり、基礎的なことを学ぶ。新人にノートを配り、学んだことをメモさせる。受け身ではなく自分で吸収したことの方が早く身につくからだ。ノートには上司や先輩がコメントを書き込む。ここでもコミュニケーションが重視されている。

「7店舗に計90人の社員がいるので、どこかには気の合う人が見つかります」と杉江さん。横のつながりを強めるのがこの研修の一番の目的だという。困ったことがあったときにも相談できる環境を作っておくことで、新人の定着率を上げる。

社内全体でも活発なコミュニケーションを促進している。ひとつは別部署の社員に同行する、既存社員同行制度。例えば、リフォーム部門の社員が不動産部門へ同行することも可能だ。他部署の業務を知ることで視野や知識を広げ、会社内のつながりも強化できる。同行の際は日報を全社員にシェアすることで、社員同士の交流も活性化できる。

建築Pと建築Dは基本的に同じ現場を担当し、別の場所にいても連絡を取り合っている。一日に十数回電話をすることもザラ。建築Dはラインワークスのメモ機能を利用して4~5行程度の日報を提出。日頃から綿密にコミュニケーションを取ることで、より業務内容への理解が深まり、問題点や課題を取りこぼさない。



お話をうかがったのは…

不動産SHOPナカジツ(愛知県岡崎市)リフォーム・リノベーション部門 執行役員 杉江純人さん

リフォーム一筋、社歴10年目のベテラン。現在の立場について5年。社員は「計画した以上には育たない」と語る。自ら計画してやってみる経験をさせることを重視して同社の社員教育を組み立ててきた。



リフォマガ2022年4月号掲載



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