新人営業の指導術~自発性促す導入研修 1対1の指導で双方が成長

社員がグングン育つ会社の新人営業の指導術

4月は新人社員を迎える季節。新人は元より、初めて後輩を持つ社員にとっても大きな成長のチャンスだ。指導する側・される側、双方のやる気を引き出し、能力を高め合うためにはどのように向き合えば良いか。研修内容やコミュニケーションの取り方など、互いに好影響を与える社員教育の方法を聞いた。



自発性促す導入研修
1対1の指導で双方が成長

BXゆとりフォーム(東京都豊島区)


6つのロープレでステップアップ

首都圏で38万件以上の施工実績を誇る、総合リフォーム業のBXゆとりフォーム。営業であるリフォームアドバイザーは現在153名が在籍。毎年10名前後入社する新入社員は、内定者研修でビジネスマナーを身につけたのち、入社後約2ヶ月の導入研修を受け、各店舗に配属となる。

研修では「相手の立場に立って考える」を理念とし、顧客対応を学ぶ。内容はロールプレイングやグループディスカッションなど、自分たちで考えて動くものが中心だ。雑談、ヒアリングなど6つのテーマを設けたロープレは、初めは新人同士、2回目は顧客役に武さん、3回目はテスト形式で、と徐々に精度を高める。グループディスカッションは例えば「どんな人から買いたいか?」を議題に、自分自身が営業としてどんな人物を目指せば良いかを考えさせる。

店舗配属後も、武さん指導の下月1、2回メーカーショールームでの研修、現場調査の研修を行う。より実践的な内容になり、メーカーSRではどこに注目すべきか、リフォームでの注意点など、武さん自身の営業経験を生かしながら、商品の調べ方を教える。

「初めは商品の何を見ればいいかわからない。基準を知ることで、そのあとは応用して他メーカーの勉強の仕方がわかるようになります」(武さん)

神尾さんも参加したロールプレイングの様子



先輩も新人も育つブラザーシスター制度

店舗に配属後1年間は、1人の先輩社員が指導役として付く「ブラザーシスター制度」を取り入れている。

「社内に人を育てる風土を根付かせたかった。教える側には担当者だという意識を持たせる、新人には困った時に頼れる相手を明確にし、新人が放っておかれる、という状況を無くそうと考えました」と武さんは話す。目的のひとつは当事者意識を持たせること。また、指導者側の負担が増えすぎないようにするのが今後の課題だ。

そこで役立っているのが、成長の進捗を視覚化する振り返りシート。何ができて何が足りないのか、互いの認識と課題がクリアになる。

指導役の小池さんは、神尾さんに対し普段から積極的に声をかけ、よく気にかけていた。そのため何かあった時もすぐに相談できる関係が築かれた。小池さんは「やることがなくて暇になる状態を作らないようにしました。なので、なんでもいいから仕事を与えたかった」と話す。

神尾さんには印象に残っていることがある。

「初めの頃は図面が全然書けなくて。それを見た小池さんは細かく注意するわけでもなく、トイレ大きくない?とさり気なく言うような感じで(笑)。その後、他の先輩の資料を書き写して送っておいて〜と、仕事として何度も練習の機会を与えてくれました」(神尾さん)

失敗を恥ずかしがったり落ち込む暇を与えず、伸ばすことに注力してくれた先輩の存在は憧れだ。

忙しい時に小池さんが口にする「一個ずつ一個ずつ」という口癖は、仕事の多さに焦った時も、自分も一つずつこなせば良い、と励みになった。

こうして先輩の背中をみて育った新人が指導役を担うことで、よかった経験を自然と次世代に繋いでいく。


【Check!】ブラザーシスター制度とは?

新入社員1人に対し、1人の先輩が指導役として、業務上の指導や悩み相談など幅広くフォローする制度。新人の成長と、先輩のマネジメント能力も同時に鍛えられることから近年注目されている。

▲毎週の日課「振り返りシート」



ロープレ×ディスカッション× 実地研修

《ロープレ編》ロールプレイング6つのテーマと目的

1. 雑談

商談の入り口となる雑談に慣れる。意識しているのは話題のきっかけ作りに役立つ「木戸にたてかけし衣食住」

2. チューニング

共通点を見つけ出し、情報を拾い出す。

3. ヒアリング

用意したキッチンの写真などをもとにヒアリングを行う。

4. 議事録

打ち合わせをしながら、議事録を正確に取る。

5. お客様カルテ

顧客情報を記入する同社のツール「お客様カルテ」の使い方を学ぶ。

6. 質問

何を聞き出したいのか、顧客に悟られないように話を進める。話しながら内容を組み立てる、露骨に金額を聞き出したりしない練習になる。

▲ロープレの設定資料。目的や注意点なども併記。顧客設定は細かく決めてあり、ヒアリングも深堀りできる


《ディスカッション編》

▲自分だったらどうするか?相手の立場にたって考える柔軟性を養う


《実地研修編》

▲施設を利用して現場調査の研修を実施。実物を用いて測り方などをレクチャーする

▲設備建材が部位別に分かれたオリジナルのマニュアル。現調でのミスしやすいポイントや、顧客への説明が必要な専門用語など、実際の営業でそのまま使えるように工夫されている



お話をうかがったのは…

BXゆとりフォーム(東京都豊島区)

営業企画部 武翔太さん

2013年入社。現場で営業経験を積み、5年前から新卒採用・教育に携わる。いずれも困りごとに対して改善策を出すという考えで、人との関わりを大切にしている。

指導者:柏店 リフォームアドバイザー リーダー 小池あゆみさん

2011年入社。母親の実家が工務店で建築を身近に感じており、どんな現場でもお客様と近い存在で接客できるリフォームにやりがいを感じる。

柏店 リフォームアドバイザー 神尾陽香さん

2020年7月入社。文房具メーカーの営業職を経て、直接お客様の顔が見えることに惹かれリフォーム業に転身。入社後に小池さんの指導のもと知識を習得。



リフォマガ2022年4月号掲載



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