社員がグングン育つ会社の新人営業の指導術
4月は新人社員を迎える季節。新人は元より、初めて後輩を持つ社員にとっても大きな成長のチャンスだ。指導する側・される側、双方のやる気を引き出し、能力を高め合うためにはどのように向き合えば良いか。研修内容やコミュニケーションの取り方など、互いに好影響を与える社員教育の方法を聞いた。
若い社員に指導させ成長促す
三和ペイント(大阪府大阪市)
外壁塗装を手がけ、全国に20拠点を展開する三和ペイント。中でも大阪支社は、入社1、2年の社歴の浅い社員が配属され、新人育成に注力する店舗だ。その支社長であり、現在8名の指導にあたっているのが石原さんだ。
同社では内定者研修でビジネスマナーや営業の基礎知識を学び、入社前に3ヶ月ほど、アルバイトとして研鑽を積む。訪問営業のためのアポ取りから同行訪問まで、正社員と同じ環境で働く。先輩につきながら、アポ取り、訪問と段階ごとに正しく理解しているかテストを行い、習得できていないとステップアップできない。
石原さんは、入社1、2年目の社員も指導の前線に立たせている。理由は「教えるということは、物事をきちんと理解し、習得していないとできません。自分が身につけたことを言語化し、後輩に教えることで本人の成長につながります」と話す。こうして入社する頃には、営業の大きな流れはつかんでいる状態だ。
自信を持ち、プラス思考でいてほしい
大阪支社では、月に1度、30分〜1時間半ほど石原さんのマンツーマン面談を行う。内容は、働く目的・成長像、長期・中期・短期目標、目的と目標の紐付け、現在の課題と解決、いつ誰と・どのように実施するか、といった風に、段々と具体的な話に絞っていく。
「新人のうちはつまずくことも多いです。目の前のミスばかりに囚われると働くことが嫌になってしまう。なので、定期的に初めの頃抱いていた働く目的を思い出してほしいんです」と石原さんは言う。自信形成のために、情報・知識をインプットする機会を増やした。物件の情報収集、電話の掛け方、現場管理と、カテゴリごとに掘り下げてのレクチャーだ。その際も、目的・課題・何をどうするか、具体的に伝える。面談で個人の課題が見えているので、弱点を重点的にフォローできる。
また、ミスした際はまず内容をヒアリングし、問題の特定と解決策を本人に考えさせて実行、このPDCAを繰り返す。すぐに正解を提示せず、自分で考え得られた経験こそが、成長の糧になるからだ。
「ミスすることは当たり前、ただし、1年目だからこのレベルでいいか、という基準を下げるようなことは、成長を妨げるのでしません。自分の限界を決めず、視野を広く持っていて欲しい」(石原さん)成長するほど目標とのギャップを感じる一方、プロ意識も芽生え、入社半年ほどすると、自発的な質問が増え、意欲的になってくるという。
「何事もうまいことやろう、と狙って考えるとと失敗します。真正面から向き合えるコミュニケーションを大事にしていきたいです」と石原さんは話し、言いにくいことでも誤魔化さずに伝えるよう心がけている。
▲マンツーマン面談の様子。寄り添いつつも自立できるよう、メリハリのある指導を心がける
「2を目指す奴は2以下しか結果を出せん」
先輩に言われて、意識を変えさせられたひとことです。
新人の頃先輩に言われた。2の結果を出すなら3を目指せ、上の目標を抱けとの意味でした。自分の目標設定の仕方を変えるきっかけになりました。自分を客観視できるようになったのも「謙虚じゃないぞ」という先輩の言葉があったからだと感じています。
動画研修を積極的に取り入れる
営業における、マインドやTELアポ、商談の内容の要点をまとめている10~15分程度の動画を現在33本用意。YouTube上で社内限定公開している。新人営業はこの動画と専用の穴埋め式テキストを活用しながら、セールスの要素を学ぶ。
▲同社代表の木原社長自ら解説を行う
お話をうかがったのは…
三和ペイント(大阪府大阪市)
営業部 大阪支社 支社長 石原雄大さん
リフォマガ2022年4月号掲載
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