社員がグングン育つ会社の新人営業の指導術
4月は新人社員を迎える季節。新人は元より、初めて後輩を持つ社員にとっても大きな成長のチャンスだ。指導する側・される側、双方のやる気を引き出し、能力を高め合うためにはどのように向き合えば良いか。研修内容やコミュニケーションの取り方など、互いに好影響を与える社員教育の方法を聞いた。
3年間で10回の宿泊研修
OJTとOFF-JTの合わせ技
島根電工(島根県松江市)
社会人になる3週間の宿泊研修
1956年創業以来、電気工事中心に住宅リフォームも手がける島根電工。社員を大切にする社風の同社では、社員教育にも重きを置いてきた。新人教育は初めの3年間に注力し、現場で学ぶ=OJTと、実務以外の研修=OFF JTを組み合わせて計画される。
4月に入社するとまず、3週間の宿泊研修。ここではビジネスマナー、専門知識の学習、工具の扱い方など業務に関することを学ぶ。カッター訓練(船を漕ぐ)など体を動かしチームワークを養う内容もある。講師は社員が担い、ローテーションで2、30名が指導する。
「研修の初めに荒木社長から、働くことの意義について話します。すると、どんな意識を持って臨めば良いか伝わり、講義の受け止め方も変わってきます」と山本さんは言う。行動や挨拶ひとつとっても、島根電工の社員だ、という責任感が生まれる。
▲先輩社員から工具の使い方を学ぶ
常に見本となる先輩が側に
事業所に配属されると、全員半年間は施工職の社員について現場実習を受け、各部署に正式に就く。事業所勤務になってからは、新人1人に対し先輩1人の体制ビッグブラザー(BB)制度が始まる。同じ部署内の若手の先輩社員が指導役で、適正によるがおよそ入社5年ほどで新人を任される。現場同行のほか、初めの業務報告は交換日記で行う。日報に慣らすステップでもあるが、先輩や上長からのコメント入りで新人にノートが戻ってくるため、部内の繋がりがより強固に。
これまで4人を指導してきた藤原さんは「わからないことははっきり聞いてと伝えます。ただ、3回は同じことを聞いていいけど、4回目にはなぜ繰り返すのか?を問うようにしています」と、メリハリを持った指導を心がけている。
以前、顧客を思うが故、指導が厳しすぎる、と上司に指摘された鳥谷さんも、管理者となった今では「すべてを完璧にでなく、優れている部分を伸ばしながら、型にハメすぎないよう気をつけています」と話す。事業所全体を見守る立場として、先輩後輩双方の成長をフォローする。
BB制度は、半年を目処にペアを交代しつつ3年間続く。新人の成長度合いを見ながら、フォローの仕方や関わり方を変化させていく。
並行して研修も行う。新人研修は3年間で10回、宿泊研修を実施。同期が集まり交流の機会でもあり、互いに刺激にもなる。
こうしたキャリアップの機会は新人だけでなく、営業向け、管理職向けなど幅広く計画され、社内全体で人を育てる風土が根付いている。
3年間で10回の宿泊研修
職種に応じたスキルを身につける
初回は3週間の集合研修。2回目以降は2泊3日で実施する。社会人としての人間力を高める共通科目と、各職種ごとに求められるスキルを学ぶ専門科目、大きく2つの講義があり、職種に合わせてカリキュラムが組まれる。営業職では3年間で住宅1軒まるごと扱えるようになるのが成長目標のひとつ。
▲チームビルディングや名刺交換など、研修内容を豊富に準備
研修は同期が集まり交流を深める場にもなる
現場でも座学でも、先輩社員が親身になって指導する
▲実際の交換日記「BBノート」。判子やコメントで、上長たちのリアクションが見える
お話をうかがったのは…
島根電工(島根県松江市)
本社管理本部教育課 課長 山本翔さん
松江営業所営業課 課長 鳥谷孝之さん
松江営業所営業課 主任 藤原哲也さん
リフォマガ2022年4月号掲載
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