図面連動型システムで素早く、モレのない見積書を作成!

ワンランク上の見積書大研究!

いかに顧客から契約を取り付け、粗利を確保するか。そんな各企業の哲学が詰まっているのが見積書だ。この特集では、実際に見積書を作成し、現場で使用している営業マンたちに取材を行った。トラブルを回避するための作成の工夫から、提出のタイミングや値引き交渉への対処法など運用面まで、各人のノウハウを明らかにする。



図面連動型システムで素早く、モレのない見積書を作成!

えん賃貸管理(福岡県福岡市)

中規模以上の「リフォーム」と「賃貸物件の原状回復」でそれぞれ別のシステムを使用し、見積もり作成の早さと正確性を両立させているのが、福岡市を中心に1万戸以上の管理物件を持つ有力管理会社の「えん賃貸管理」だ。まずは図面連動型で、自動積算によって見積書を作成するリフォーム案件の運用術について紹介する。



【リフォーム】

テンプレート化により施工店の代行で見積作成

マンションオーナーに対する、設備の入れ替えなどの中規模以上のリフォームやリノベーションの提案で、えん賃貸管理が使用するのが、5年前に導入した安心計画の3DプレゼンCADソフト「Walk in home Plus」と、CAD連動型の減算式見積もりシステム「カンタン見積計画」だ。

見積もりシステムで単価設定しておけば、CADソフトで間取りを描くだけで、自動積算され見積書が出来上がる仕組み。以前は各施工会社から見積書を出してもらっていたが、各社の原価などのテンプレートをつくり、代わりに見積書を作成。その見積書でオーナーと交渉まで済ませてから、施工会社に依頼するようになった。施工会社側も事務処理の手間が大幅に減るためメリットは大きい。

「利回りや収支にかかわるので、追加が出ないよう細かく見積もることが大事。図面で拾うため、項目の出し忘れはまずありません」とリフォーム部の人見徹チームリーダーは話す。



3DプレゼンCADソフトで図面とパースを簡単作成

3DプレゼンCADソフト「Walk in home Plus」で図面を描くと、3Dパースが自動で出来上がる。住宅設備や建材などの商品を選択するだけで、リアルな商品イメージもパース上に反映される。ビフォーの商品画像も準備されておりリフォーム前後の変化が想像しやすい。


プランの積算データが連動し、自動で見積書が完成!

図面を描くと自動で積算が行われ、あっという間に見積もりが作成される。

「見積もりシステム上に、工事を依頼する施工会社ごとのテンプレートがつくれるので、各社に適した見積書を簡単に作成できる。リフォーム部の誰がやっても、同じ見積もりになるから明快なんです」(人見チームリーダー)。



【賃貸物件の原状回復】

年間2200件の原状回復は
オリジナル退居アプリで超効率化!

賃貸物件は、家賃収入が入らない期間をできるだけ短縮することが肝心だ。「えん賃貸管理」では、原状回復の現調時にリアルタイムで見積もりを提出でき、進捗管理もできるオリジナルの「退居アプリ」を開発。工事箇所の画像を必須にするなどの工夫で、管理品質も大幅にアップさせている。


退居から次入居まで1〜2日の短縮に成功

約1万戸の賃貸物件管理を行い、年に2200件の退居を扱うというえん賃貸管理。同社では退居にまつわる煩雑な業務を軽減させ、次の入居までの期間を短縮させるために、オリジナルの「退居アプリ」を開発。平均で退居1週間後入居だったのを、1〜2日短縮させることに成功したという。

流れはこうだ。入居者から1か月前までに退居予告が来ると、えん賃貸管理が協力会社である施工会社に担当案件を振り分ける。各施工会社はアプリ上で物件詳細や入居者情報、立ち会い予定の有無、退居日などをいつでも確認できる。

現調はアプリの点検項目に沿って行うので点検漏れが生じにくい。工事箇所は写真を撮ってアプリで共有。その場で見積もりをえん賃貸管理に即時提出することもでき、承認を得られれば当日でも工事に入れるという、超速実現システムなのだ。


退居ウェブ(クラウド)

大量のデータ管理はクラウド上で行う

スマートフォンのみの運用だと、端末にデータが貯まってしまうため、クラウド上でデータを管理するウェブシステムを導入。アプリ上で撮影するとデータは直接クラウドに保存されるため、撮影枚数に制限をかけずに済む。「退居時写真」「工事後写真」もここで一括管理する。


退居アプリ(スマートフォン)

スマホを用いたリアルタイム見積もりを可能に

退居にまつわる業務をアプリで一元管理。「施工会社による見積もり→提出→承認→施工」のスピードを格段にアップさせることに成功した。


1 退居アプリトップ画面

退居アプリのスマートフォン上トップ画面。提携する原状回復の施工会社がログインして使用する。


2 退居予定一覧

退居予定物件がずらりと並ぶ。物件名・部屋番号とともに、「退居日」「(入居者の)立ち会い日時」「次入居日」などが確認できる。


3 退居予定詳細

2で物件名をタップすると、物件詳細に飛ぶ。住所や間取り、平米数、精算区分などが一目瞭然で、立ち会いの場合は入居者情報も表示。


4 点検項目の入力画面

玄関から順に表示される点検項目に沿って点検し、レ点でチェックしていく。工事内容も選択制で、必要に応じて自由記入もできる。


5 見積もり作成画面1

見積書と同じ体裁で確認できる「見積もり作成画面」。項目が統一されているので、施工会社ごとに単価のばらつきが生じにくい。


6 見積もり作成画面2

右上の「見積即時提出」をオンにすると、その場でえん賃貸管理に送って確認を依頼できる。アプリ上で承認を得たら即日の工事も可能だ。


アプリだけで完成した「見積書兼発注依頼書」。施工会社にとっても大幅な事務処理の軽減につながる。



リフォマガ2021年5月号掲載



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