ワンランク上の見積書大研究!
いかに顧客から契約を取り付け、粗利を確保するか。そんな各企業の哲学が詰まっているのが見積書だ。この特集では、実際に見積書を作成し、現場で使用している営業マンたちに取材を行った。トラブルを回避するための作成の工夫から、提出のタイミングや値引き交渉への対処法など運用面まで、各人のノウハウを明らかにする。
独自の基幹システムで徹底管理し粗利35%の確保に成功!
ワイドアルミ(神奈川県横浜市)
以前はどんぶり勘定で最終的な収支が把握できず、利益率も低かったという「ワイドアルミ」。
巾竜介代表は一念発起し、5つほど使っていたシステムを集約したオリジナルの基幹システムを開発。営業マンの専門性を高めて見積もりの精度も上げ、見積書の利益率を実行予算でも維持する体制をつくり上げた。
営業マン個人の専門性を高めることで精度もUP
「どんぶり勘定のせいで、以前は利益率が低かった」と話すワイドアルミの巾竜介代表。原価70万円と想定し100万円で見積もったものの、あちこちから請求が来て利益は10万円に満たないということもざらだった。調べると、値決めた金額でメーカーが請求してきていなかったり、項目の入れ忘れがあったりと、原因も様々だった。遠方の仕事も受注していたことで、移動時間が長くガソリン代がかさむといった問題もあった。
そこで同社では、2015年に数百万円をかけたオリジナルの基幹システムを構築。現場台帳に見積もりを紐づけて、見積もり、発注、売上、人工、ホームセンターでの購入や駐車場代など現場で生じた出金、現場写真などを一元管理する。
粗利35%以上というルールの下、個々の営業マンが見積書を作成。粗利35%未満の時は申請が必要だ。共通の見積もり作成画面では、粗利額や率を詳細に出してサポートする。また、発注額と納品額の差異が出ないように事務担当が管理し、実行予算との金額のずれは都度検証するという徹底ぶりだ。
「外構は特に現場ごとの状況が違うので、テンプレートは怖いという意識があります。基幹システム上のデータや見積書は誰でも閲覧でき、掲示板で様々な告知をして情報共有を徹底。見積もり担当の営業マン個人の専門性を高めることに注力して、精度を高めています」。
【見積入力画面】
1. 1項目ごとに原価と粗利が表示され調整しやすい
テンプレートはなく個別入力の形をとるワイドアルミ。見積額と原価(仕入れ)を入れると、1項目ごとに粗利額と粗利率が算出されるので、目安の35%以上に調整しやすい。
2. 税抜・税込の見積額と原価、粗利率、粗利額を表示
見積もりの総額も細かく分けて表示される。
①税抜・税込の見積額、②税抜・税込の原価、③総粗利額と全体の粗利率、が一目でわかるので、客観的にデータを捉えやすい。
【見積書】
専門性を生かして営業担当が詳しく見積もる
窓や外構に特化し、営業マン6人全員の専門性を高めることで、実行予算とのずれの少ない、精度の高い見積書を作成。「総合リフォーム会社だと、現調と別でサッシ屋が来て二段階になるところを、その場で寸法を取って、翌日には見積書が出せるのも強み」(巾代表)。
リフォマガ2021年5月号掲載
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