キーワード抽出→コンセプト提示でプランの説得力が段違いにアップ!

コレで決まった!プレゼン資料大公開

プレゼンは顧客の期待が最高潮に達し、受注を決定づける大切なシーン。最前線で活躍する設計士や営業マンは、日頃どんなプレゼンを繰り広げているのか。5人のプロフェッショナルに、各人の工夫が詰まった資料を公開してもらい、プランを魅力的に伝える見せ方の秘訣やトーク術について教えてもらった。



キーワード抽出→コンセプト提示でプランの説得力が段違いにアップ!

「第一ステップの要望整理が大切。ビシッと筋道をつけて提案することでその後はマイナーチェンジで済みます」と語る建築家の謡口志保さん。要望からキーワードを抽出し、コンセプトを提示したうえで、1案だけプランを出すという丁寧なステップを踏むプレゼン術について聞いた。



思考の過程を共有するとプランの意図が伝わる

謡口さんが最も重視するのは、「リフォームしたらその家でどんな生活を送れるのか」をプレゼンで伝えること。「どんなに格好いいプランでも、施主が自分の生活に結び付けて捉えられなければ意味がないと思うのです」。その想いは、暮らし方込みの提案をする手描き図面によく表れている。

プレゼンでは、なぜそのプランに至ったかというプロセスも丁寧に伝えていく。プランニングでまずは要望や条件をよく精査して、キーワード7、8個に集約させる。そこからリフォームのコンセプトを定め、プランの詳細を詰めていく。「このステップを踏むと、要望の矛盾点や予算に合わない点が整理できて、施主の真の要望が明確になります」。この過程をプレゼンシートにまとめて全て見せる。すると施主にプランの意図が伝わりやすく、大事に考えてくれたのだと感じてもらえる。

こうした信頼を積み上げた結果、現在依頼の半数は紹介になっているという謡口さんだ。



《事例 「夏の家 冬の家」》

二世帯で暮らす隣の母屋が手狭になり、倉庫の離れを息子世帯の家にリノベーションしたいという依頼。2階は個室としてそのまま利用し、土間の1階に新たに床を設け、LDKと水回りをつくることになった。土間を生かして夏は1階全体を使って大きく、冬は断熱した暖かい空間でコンパクトに集まって暮らすプランを謡口さんは提案した。

【point 1】要望を7、8個のキーワードに集約させる

施主の要望や建築的要素など、全ての条件を一度並べ、そこからエッセンスとして7、8個のキーワードを絞り出す。本質的な要望を明らかにし、コンセンサスを取るための第一ステップ。


【point 2】コンセプトを定め、シンプルな図解にする

事例では、大枠の「夏の家」にコンパクトな「冬の家」を入れ込むというコンセプトを掲げた。大きな動線を示すゾーニング図(右下)も入れて、次ページのプランにスムーズにつなぐ。


【point 3】暮らし方を提案するイラスト入り手描き平面図

手描きの平面図には、随所に家の使いこなし方が伝わるイラストを入れている。例えば「玄関には自転車が2、3台停められる」「ダイニング横は少し広いので子供が床でお絵かきできる」など。


【point 4】平面図にコンセプト図を落とし込む

手描きの提示プランの平面図にコンセプト図を重ねて入れ、「夏の家」と「冬の家」の範囲が一瞬でわかるようにした。



お話をうかがったのは…

▲ウタグチシホ建築アトリエ(愛知県名古屋市)謡口志保さん

鳥取県出身。2002年に名古屋大学大学院を修了後、INA新建築研究所に入社し4年間勤務。海外留学や転職を経て、2008年にウタグチシホ建築アトリエ設立。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの第36回住まいのリフォームコンクールで、『窓辺の家』が優秀賞を受賞。



リフォマガ2021年1月号掲載



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