今月の輝く!リフォームセールス~リピーター率7割!「良い面も悪い面も提示し、信頼してもらっています」


今回登場するのは、エコロジーなライフスタイルを衣食住の観点から提案しているecomoのリフォーム営業・田口幸宏さん。確かな建築知識と物腰の柔らかな明るい営業スタイルで、多くのリピーターを獲得している。

▲ecomo(神奈川県藤沢市)マネージャー、一級耐震技術認定者、電磁波測定認定者

田口幸宏さん(50)



第三者としてアドバイス良い点・悪い点を伝える

田口幸宏さんが営業をする上で大切にしているのは「第三者的な話をすること」。

「営業トークというよりも、アドバイス的なお話をしています」と田口さん。例えば、建物を全体的に見て、この部分を先にリフォームした方が良いと思うことがあればアドバイスしている。

その一つが水回りの工事。昔ながらのタイル貼りのお風呂の場合、水が浸透して土台が痛んでいる場合がある。

「土台が腐っていると、家全体の耐震性も弱くなっていることがほとんどです。耐震性を気にされているお客様なら、先にそちらのリフォームを提案することもあります」

他にも、造作家具を希望する顧客には、メリットとデメリットの両方を説明する。造作家具は間取りに合わせたサイズで作ることができるが、高価格になること、後々動かせないなどのデメリットもあるからだ。

「弊社が勧めている自然素材の建材についても、メリット・デメリットをちゃんとお伝えして、お客様に選んでもらうようにしています」

▲田口さんが手掛けた案件の1つ。中古戸建てを購入しフルリフォームした施工例。1階がリビングとダイニングキッチン、2階に2部屋と浴室。リビングには施主の念願だったオープン階段を設置した

▲2階の床に明かり取り(FRPグレーチング)を設置し、リビングを明るくした

▲出窓にはベンチを取り付け、くつろげる場所に



バイクで颯爽と訪問 時には自虐ネタで笑わせる

冬場以外はバイクで顧客先に行く田口さん。学生時代からバイクが趣味で、仕事用のスクーター以外にもマイバイクを所有している。

「バイクだと渋滞を気にしなくていいですし、お客様の家の前に駐車できることが多いので、駐車場探しに苦労しません。それにお客様から『バイクで来られたんですか?』と意外性に驚いてもらえることもあります。バイク好きのお客様なら、バイク話で盛り上がりますね」

他にも釣りが趣味の田口さんは、顧客の家に釣竿があるとその話題を振るなど、リフォーム以外の会話も大切にしている。

「結局、相見積もりを勝ち抜く必勝法はないと思うんですよ。僕の提案を選んでいただくには、どこまでお客様に信頼してもらえるかが重要。建築の知識を伝えることで信頼されることもあれば、趣味の話から信用してもらうこともあります。そこは僕のキャラクターを汲み取ってもらっているのかなと思います」

ぽっちゃり体型の田口さん。床のリフォームなどでは「僕が乗っても大丈夫ですよ!」と自虐ネタを使うこともあるのだとか。堅苦しくない愛嬌のある営業スタイルが受けている。



こまめに写真を撮影 クラウドで情報共有

そんな田口さんだが、顧客からお叱りを受けることもあった。田口さんと職人、現場監督らとのコミュニケーションが不足し、スイッチが間違った場所に設置されてしまい、やり直しになったと言う。

田口さんは今、なるべくiPadで写真を撮影。そこに注意書きを書き込み、クラウドにアップ。工事に関わる人間全員がそのクラウドにアクセスすることで、情報を共有できるようにしている。

「リフォーム前の写真も撮影しますが、工事当日、家具などが撤去された状態も撮影しておきます。何もない状態の部屋の写真だと、新しく入る棚の位置やコンセントの場所などを記入しやすいですね。クラウドを活用するようになってから、伝え漏れがなくなりました」と田口さんは話す。

▲現場監督や職人と情報を共有できるよう、田口さんは写真に注意事項を書き込み、クラウド上にアップ。そうやって指示を伝えることで、伝え漏れをなくしている



カタログもネットで 荷物が劇的に減少

同社ではクラウドのシステムをコロナ禍の前に導入していた。そのおかげでリモートワークにもスムーズに移行ができた。また、どこからでも資料の取り出しができるため、営業に持って行く荷物を減らすこともできた。

「以前は旅行に行くようなバッグに、カタログや施工事例、価格表もファイルに入れて持って歩いていました。今はカタログもiPadでネットで見られるので、荷物は劇的に減りましたね。逆にカタログも古いものを持っていってしまうと、同じ建材でも定価が変わっていたりするので、ネットで見る方が確実です」

▲クラウド上では施工事例の写真を「ウッドデッキ」「キッチン」「サイディング」「トイレ」などの場所ごとに分類。iPadで顧客に提案する時に、さっと色々な事例を紹介できて便利



約7割がリピーター
クレームからリピーターに

同社はリピーターの顧客も多い。10件リフォームの依頼があったら、その内約7件はリピートの顧客だ。田口さんはクレームをもらった顧客をもリピーターに変えている。

ある顧客は当時30代の夫妻で小さなお子さんがいた。中古マンションを購入しての全面リフォーム。無垢材の床に珪藻土の壁など自然素材にこだわっていた。しかし、打ち合わせ内容と工事内容が一部違ったことでクレームに発展。その後、田口さんは時間が許す限り現場に足を運び、フォローを続けた。最後まで責任を全うしようという田口さんの姿勢に顧客の気持ちも柔らかく変化。今では壁の塗り直しや断熱工事など、何度も依頼をしてくれるリピーターになってもらうことができた。



不足しているものを補っていきたい

今後、田口さんら同社はリフォームのパッケージ商品を提案できないか、と考えている。「お客様からの質問で一番多いのが、『これやったら、どのくらいかかるの』というもの。弊社らしい自然素材のリフォームのパッケージ商品を提案できたら、お客様にわかりやすく説明できるのではと思っています」

田口さん個人としては「自分に不足しているものをもっと補っていきたい」と話す。

「見積もりの精度を上げたいし、現場への引き渡し資料をもっとしっかり作りたい。まだまだ足りない部分は多いと思います。向上心というほどのものではないのですが、会社のためにも自分のためにも続けていきたいと思います」



田口さんが愛用している道具

1 iPadに装着できるカメラのレンズ。クリップで挟むタイプで、広角レンズとマクロレンズの2種類。室内全体を撮影する時に広角レンズは重宝している

2 消毒液

3 iPad

4 名刺入れ

5 懐中電灯

6 ドライバーセット

7 下地探し

8 打診棒

9 レーザー距離計

10 六角レンチ

11 メジャー

12 スマホ簡単な電気工事もできる田口さんはドライバーや六角レンチを常備。打ち合わせ時に簡単な修理はサービスで行うこともある



リフォマガ2021年5月号掲載

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