新型コロナで進化したリフォーム店たち~テレワーク~

新型コロナの影響で通常の対面営業が困難になった事をきっかけに、働き方を進化させたリフォーム店がある。テレワークやオンライン商談により、コロナ下において感染予防を図るだけでなく、業務効率や営業力をアップさせる事にも成功した各社の取り組みを詳しく紹介していこう。



コロナで完全テレワークを実現した工務店が
1年間でやってきた事

従来から非常事態に備えテレワーク化を推進していた高崎テクノ(群馬県高崎市)では、新型コロナによりさらに環境を整備。完全テレワーク化への道のりを詳しくレポートする。


まずは〝どこでもネット〞の環境整備から

「今回のコロナ感染拡大は大打撃ではありますが、デジタルシフトに向けては良いカンフル剤になったと思います」と話すのは、デザイン住宅・リノベーション・ガーデン事業を手掛ける高崎テクノの目黒秀樹代表だ。以前から、水害や地震に備えたBCP(事業継続計画)の一環で、非常事態下でも顧客へのサービスを継続出来るよう、テレワーク化が必須と考え準備を押し進めていた目黒代表。

「これから来るIOT時代で当社が生き残るには、他社に先駆けてそれもスピード感を持って取り組んでいく必要があると思いました。給与や福利厚生では大手企業に勝てませんが、仕事のやり方だけは一流にしたいという思いがあり、過去1年間は投資もしました。」

目黒代表がまず取り組んだのが、スマホ支給。

「どこでもネット環境を実現するために、まずはパート・派遣社員含めた9名の全スタッフにスマホを支給しました。」

次にパソコンを全て持ち歩き出来るラップトップに入れ替え。教育の時間を使い、スマホを使ったデザリングで、どこにいてもネットにアクセス出来るよう練習をスタートした。これによりペーパーレス化が実現。

「当時は社内でも何でこんな事をするの?という雰囲気がありました。しかし、ミーティング時に紙による報告を一切なくした所、ペーパーレスの効果を実感したのか、社員間でも、出力した瞬間に過去の情報になる紙は無駄という気付きが生まれました」

さらに、データベースをクラウド化。勤怠管理もクラウド化させ、テレワークに必須の社内インフラを整えていった。

2月頃に中国で新型コロナの報道が出始めると、毎週少しずつZoomの練習をスタート。全員でZoomに参加する所からはじまり、ヘッドセットの使い方、オーナーとなって会議を招待する方法をレクチャー。つまずく人がいればその都度手取り足取りフォローした。今では全員がホストとなって、ミーティングを開催出来るまでになった。

4月初旬には、ここまで準備が整っていたため、政府の緊急事態宣言と同時に、社内でも完全テレワーク宣言に至った。


「よく頑張ったで賞」は存在しない
アウトプットが評価の基準に

テレワークの一番の成果は、なんとなく顔を合わせていた頃よりも、かえってスタッフ個々の「業務の見える化」が進んだ事だ。

同社では現在、毎日の朝礼や日報を施工管理アプリ・ANDPADのチャット機能を使って行う。朝礼では、今日行う業務の宣言、日報では実際に行った業務を報告し合う。上司だけではなく、全スタッフが見られるので、誰が何をしているのかが一目瞭然だ。

「言い方は悪いですが、やる事のない人は、毎日タスクのコピペで具体的な案件がない事が丸見えになってしまいます。時間ではなく、基本的にどれだけアウトプットできたかが評価の基準です。そのため、タイムカードを押して時間で管理していた頃にあった〝参加賞〞〝よく頑張ったで賞〞的な評価はもうそこにありません。ある意味、厳しい働き方になりました。」

また、働き方改革で有給取得率を上げるにはスタッフ間の相互サポートが必要なため、業務の見える化はとても重要だった。

ただ、テレワークになると話す相手がおらず孤独になりがちだ。そこで目黒代表が作ったのが「クラウド休憩室」だ。

「他愛のない雑談が出来るクラウド上の空間です。テレワークはどうしても効率とアウトプット追求型の働き方になってくるので、息抜き出来るようなコミュニティを作らないとスタッフが疲弊してしまいます。」

テレワーク化によるメリットは、出勤時間の節約、コロナ過の今は社員や顧客、取引先たちの安全確保が出来た事だ。またITリテラシーの高い顧客の場合は、Zoomでの打ち合わせが歓迎されるため、顧客宅への移動時間が節約でき、画面共有等を使えば対面より打ち合わせの質が向上する。ただ、対面での人間的なふれあいを好む顧客もいるため、臨機応変に対応していく。

また、総務系の業務はテレワーク化が難しいと考える。

「社内決済に関しては、シャチハタのクラウド決済に移行しようと計画中ですが、請求書や注文書、印紙、判子など、郵便局や銀行等との紙の処理や、リアル店舗での手続きが必要な業務がある限りは出社が必要です。こればかりは取引先を含む世の中の流れが変わるのを待たなければなりません。」

「今後1〜2年は、どの企業も〝安全と経営の両立〞が課題になると思っています。安全とは、感染症や災害から身を守るというだけではなく、経営者側から見れば雇用を守り、安心して働ける環境を整えるという意味もあります。雇用を守りながら利益を出し続けるためにテレワークという道具を使いつつ、環境変化への対応力を高めていく事が今もこれからも課題だと思っています。」



社員に支給したアイテム

ノートパソコン

ペーパーレス化に必須。スマホを使ったデザリングの練習時間も設けた。


スマホ

ガラケーの廃止。「1人でも例外があると改革が実現しない」ため全員に支給。


Bluetoothのヘッドセット

Zoomを全員で練習した際に、雑音が入り実用的でないと判断し、全員に支給。



クラウド朝礼&日報で業務を見える化

業務管理もクラウド上で行っている同社。個々のアウトプットが「見える化」されるため、ごまかしが利かない。

1 毎朝「今日やる事」を宣言

ANDPADのチャットグループで朝礼を行う。各スタッフが今日行う業務を宣言。上役だけでなく、スタッフ全員で共有する事がポイント。


2 日報では「行った業務」を報告

別スレッドは日報専用に。その日遂行した業務を箇条書きする他、現場写真や、プランシートなど成果物の画像も添付する。


3 息抜きが出来る『クラウド休憩室』

テレワークでは、会話をする相手がおらず孤独に陥りがち。漫画やお菓子の話など他愛のない会話が出来る場所も作った。



高崎テクノで使用しているツール一覧



お話をうかがったのは…

▲高崎テクノ(群馬県高崎市) 目黒秀樹代表



リフォマガ2020年7月号掲載

 

 

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