リフォーム解体新書~マンション和室の畳の下から大量の砂が出てきた

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第12回 床リフォーム(後編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。今回紹介する事例は、現場調査時にしっかりと確認すれば「開けてびっくり」という事態を防ぐことができたものばかりです。事前に現場の問題点を把握していれば、床を開けてから工事をストップするようなことが起こらなかったでしょう。床工事で工事が中断すると、住む人が安全に生活できなくなります。戸建て住宅なら床下の確認を、マンションならコンクリートスラブの状態を把握することが大事です。




《事例4》
マンション和室の畳の下から大量の砂が出てきた

畳の下は発泡スチロールだけだと思っていたが…

マンションの和室の床をフローリングにする現場での話です。工事前の現地調査で畳を上げて下地を確認したところ、畳の下には発泡スチロールが敷かれていました。「コンクリートスラブの上に防音と断熱、高さ調整を兼ねて発泡スチロールを置いているんだな」と思いました。

そして解体時、畳下地の発泡スチロールを持ち上げたところ、靴の裏に違和感が…。「な、なんだこの砂は!」発泡スチロールの下に、なぜか大量の砂が敷き詰められていたのです。その厚みはおよそ2~3㎝。「一体どのくらいの量になるのだろう。砂を撤去しないことには工事が始まらない。費用もかかってしまうなぁ」と頭の中が真っ白になってしまいました。


【解決策は?】砂を撤去するため追加予算と工程の延長を

 砂を撤去せずに2重床を作れないか…と考えてしまいますが、砂が残っている状態では床のコンクリートスラブに床下地を密着することができないばかりか床鳴りの原因にもなりかねません。砂をきれいにしてからフローリングの床下地を施工することになります。砂の袋詰めや運搬費、廃棄費用をプラスした追加予算が必要になります。注意したいのは、エレベーターが無い建物です。エレベーターが無い団地や低層マンションでは階段をリレー形式で運びだすこともあります。階数により人工手間を考えなければなりません。建物の状況によっても追加金額が違ってきます。

▲撤去作業の人工手間の他に廃棄に係る予算も必要


【どうすれば事前にわかる?】発泡スチロールも持ち上げて確認する

このように畳の下から大量の砂が出ることは、マンションや団地での工事でしばしば出くわすことがあります。畳の下に敷かれている発泡スチロールは、「ネダフォーム」という商品名がついており、断熱効果がある畳の下地材です。ただしネダフォームだからといって必ずしもその下に砂があるとは限りません。現場の状況などにより、砂ではなくモルタルでネダフォームをコンクリートスラブに固定している現場もあります。

現場調査の時に畳を上げてみて、下地材がネダフォームだった場合、さらにその下の状態も確認する必要があります。ここで注意したいことは、同じマンションであっても、棟が違うと工法にも違いがあるかもしれないということです。A棟で工事をした時にネダフォームがモルタルで固定されていたとしても、B棟では砂で固定されている可能性があります。念には念を入れて調査することが大切です。



[こんな現場もあります]
同じマンションでも棟や工事時期により施工内容が違う?

マンションの和室を洋室に変更する工事で重要ポイントとなるのが、畳を撤去したあとの下地の状態です。特に床のコンクリートスラブに直張りフローリングを施工する場合は、スラブの表面がきれいにモルタルで仕上がっているかどうかで費用と工期に違いがでてきます。表面がコンクリートのままでゴツゴツしている場合や、不陸があってそのままではフローリングを張れない場合は、モルタルで調整をする必要があります。モルタルが乾くまでの養生日も考慮するため工期も遅れてしまうでしょう。

上記で「ネダフォーム」の施工方法が同じマンションでも違う場合があると述べましたが、畳下の床スラブ仕上げの場合も、同様に棟の違いや工事時期の違いによって異なる場合があることに注意しましょう。



リフォマガ2024年4月号掲載



⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓

0コメント

  • 1000 / 1000