外装リフォーム提案講座~現場進行の注意点

ゼロから始める!かんたん外装リフォーム提案講座

昨今、競争が激化しているリフォーム業界だが、外装リフォームの領域は、リフォーム会社の営業がまだまだ手を付けられていないジャンルだ。外装リフォーム工事に適した春を前に、専門会社の外装提案の達人たちに、良い提案のためのいろはをQ&A方式で教えてもらった。



Q5 現場の進行で、特に抑えておきたいことは?

A. 塗料・工法の決定、色決め、トラブル対策など。


《色決め》

色が明るくなる想定で濃色系サンプルを準備[麻布 村上さん]

色決めは慎重に行う。3〜4回、納得するまで打ち合わせは重ねる。①好きな色をヒアリング、②デザイナーが作成した3パターンほどのシミュレーションを見てイメージを持ってもらう、③カラーサンプルや現物を用意して訪問。外で並べて決めてもらう。広範囲に塗料を塗るとサンプルよりも明るく見えるため、その説明をして、選んだ色より濃色系を用意することもある。

色が決まったら色決めシフト表(部位ごとに品番を書いた詳細表)に記入して、間違いがないようにする。家族で意見が違う時には、家にいる時間が長い、子ども、女性陣の意見を採用することが多い。


広い範囲に塗った際のイメージの共有を重視[ガイソー富山店 山口さん]

色は範囲が広がると明るくなる。CGでイメージを共有し、通常より大きいA4サイズのカラーサンプルを持参して、施主がイメージしやすくしている。打ち合わせをとことんやっても、どうしてもイメージと実際が少し違ったとなることはある。だが、「あれだけ打ち合わせして決めたんだから」と施主も納得してくれる。

2色使いを採用することが多く、ベランダだけ色を変えたり、1・2階で塗り分けたり、1本縦にラインを入れたり、ストライプにしたりする。


複数の色を使う場合CGを用いるとイメージしやすい

ガイソー富山店・山口さんの作成したCG。2階の薄い緑色が気に入らないということで、アクセントにベランダだけ濃い緑を採用し、外壁は1階と2階で濃さを変えた茶色でCGを作成。



《塗料・工法決め》

予算に合うように部分的に工法を変える[ガイソー富山店 山口さん]

地域柄、爆裂などの劣化が進んでいることが多く、2〜3年前まではカバー工法が主流で7割を占めた。だが、金属の値上がりで最近は塗装5:カバー工法5の割合になっている。例えば、数年前200万円だったカバー工法の事例は今だと250万円になる。そこで予算に合うように、部分的に張り替えて、後は塗装にするなどの工夫をしている。

▲最近では模様塗りという選択肢もある


屋根には外壁よりワンランク上の塗料を勧める[麻布 村上さん]

外壁塗装に耐用年数10~13年のシリコンを選ぶ人が6割。併せて屋根の塗装を行う場合、一番劣化が進む箇所なので、壁よりワンランク上の塗料をお勧めする。耐用年数20年が目安。

アルミやガルバリウムの上にはカバー工法を勧める。金額が張るイメージがあるが、廃棄物を出さずゴミの処分代がかからない、遮熱効果があるというメリットもあると説明する。

▲塗装に向かない材料もあるので、見極めが必要だ



《トラブル対策》

対応忘れを防ぐために即日対応を心掛ける[IPS 成瀬さん]

案件を常時10~20件ほど抱えているので、即日対応を心掛ける。自分の思う6割の出来で出す→フィードバックが来る→ブラッシュアップ。このほうが早くいいものになる。スピード感のある対応のほうが、トラブルにも発展しづらい。


1週間前に工程表を持って近隣ワンブロックに挨拶[麻布 村上さん]

知らない職人が出入りするストレスを考え、コロナ対策、近隣住民への迷惑などに配慮し、トラブルが起こらないようにする。着工の1週間前には工程表を持って、両隣やお向かいは必須でワンブロックほど挨拶にまわる。その際、洗浄日を伝えて洗濯物を干さないように依頼し、「何かあれば見に来てください」「言いに来てください」と伝える。



アドバイスをくれた外装のプロたちは…

IPS(ガイソー上尾店)●埼玉県上尾市 店長/外装アドバイザー 成瀬大輔さん

1980年生まれの42歳。大学卒業後、飲食店に約11年間勤務ののち、工務店やリフォーム会社で経験を積む。2020年にIPS入社。準備が8割、知識は広く浅くで十分、他社否定は絶対にしない等、確固たる仕事への姿勢を持つ。2022年度ガイソーアワード受賞。


郡山塗装(プロタイムズ郡山店)本社●福島県郡山市 リモデル事業部部長/本店長 影山剛志さん

飲食店勤務を経て、2018年に郡山塗装に入社。公共系の事業部から2019年4月に住宅リモデル事業部に異動。住まいを診断して、現状が「軽い風邪」「インフルエンザ」「今すぐ入院が必要な重篤な状態」といったわかりやすい説明を心掛ける。


ガイソー 富山店(オリバー直営店)●富山県富山市 主任/営業/外装アドバイザー 山口航平さん

新潟県出身、富山県で大学時代を過ごす。海上自衛官として3年間勤務ののち、リフォーム会社のオリバーに入社し、ガイソーに配属される。施主に信頼される誠実さを大切にし、資料の準備に余念がない。2023年1月に新規オープンのガイソー高岡・射水店店長に昇進。


麻布 本社●愛知県春日井市 社長代理/工事管理/営業部長 村上直樹さん

内外装のリフォーム経験30年。主にゼネコンの下請けをしていた10年前に池田社長に声をかけられ麻布に入社。直接顧客と対面し、顧客中心で考えることに責任とやりがいを感じている。スムーズに最短で完工するために段取りを重視し、細めな連絡を心掛ける。



リフォマガ2023年3月号掲載



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