リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第11回 床リフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
今回のテーマは「床」。床は人や家具、全ての重さを受ける部位なので、工事で解体をする時には安全面においても問題がないか確認する必要があります。床がフカフカする場合はその原因を突き止めないと、リフォームをしても同じことの繰り返しになってしまいます。事前に床下の状態をチェックして、解体してびっくり!という事態を防ぎましょう。
《事例2》
カーペットを外したら、床がへこんでいた
フローリング増し張りの予定だが、このまま工事して大丈夫?
昭和50年頃に建てられた戸建て住宅で、床の増し張り工事が始まりました。既存の床は、当時人気だったパーケット(寄せ木)柄です。実は現場調査のときから不思議に思っていたのですが、床材の上にカーペットが3枚も重ねて敷かれています。
しかしその謎はすぐに解けました。カーペットをめくって床を歩き始めた途端、かかとがズン!と沈み、「わあっ」と思わず大声をあげてしまいました。施主は、「そうそう、そこね、歩いちゃダメなのよ」と笑いをこらえています。そのためにカーペットを何枚も重ねていたのか…と腹を立てつつ、このまま工事を進めていいものか、いや一旦工事をストップしないとダメだろうと頭を抱えてしまいました。
【解決策は?】傷んでいる箇所を補修してから増し張りを
まずは傷んでいる箇所の確認を。根太にヒビがいっていないか調べるためにも、床下に入って、状態をチェックする必要があります。根太の損傷がなければパーケット材を支えている下地合板とともに新しい床下地に交換しましょう。また、床下に入った際に、カビ臭さや湿気がないか、もし湿気を感じたら、床下換気口が物で塞がっていないかなどの点検をして改善策を検討する必要があります。
▲既存の床は新しい床の下地となるためしっかり補修する
【どうすれば事前にわかる?】カーペットを何重にも重ねている理由など、不審に思うことはヒアリングする
寄せ木のパーケット材は、下地合板に貼りつけてあります。下地合板が湿気などで弱ってくると、パーケット材も沈んでしまいます。建設時期により、根太と根太の間の寸法が455mmと広い場合は、このようなケースもあると考えた方がよいでしょう。とはいえ、カーペットを何重にも敷いてあるなど不審に思うことがあれば施主に尋ねることが第一です。
既存の床の上に長尺のフローリングを増し張りすることで、床がしっかりと根太に固定されて補強されますが、下地となる既存の床が傷んだ状態のままでは床鳴りなどの不具合につながります。そうしたことからも、調査時に既存床の状態をチェックすることが大切です。床下の湿気や腐れを確認するには床下の調査が欠かせません。
▲床下に入り、根太のヒビや、湿気の有無などを確認
[こんな現場もあります]
床下の異常な湿気の原因は、隣家の排水管からの水漏れだった
床の状態が悪くなり、築20年で建て替えることになった戸建て住宅での話です。その住宅が建てられた時期は昭和40年頃で、根太の上には下地合板は張らずに直接フローリングが張られていました。築20年ともなると床も傷んでくる頃ですが、歩くのも怖いくらいフローリングが沈んでいたそうです。それも、よく歩く場所に限らず、全体の床が弱っているのです。床下を見ると、大引きや根太はヒビが入っていないものの、ジメジメしていて全体の木部が傷んでいたとのこと。結局20年で建て替えることになったそうです。
そもそも建て替える原因となった床下の異常な湿気は何だったのか。家を解体して気が付いたそうですが、実は隣家の排水管の亀裂から、排水が流れてきていたとのこと。隣家は少し盛り土をしているため、漏れ出した排水が低いところに流れてきたのです。建て替え工事の時にまた同じことにならないよう、隣家の排水管も修理してあげたという、本当に気の毒な話でした。
リフォマガ2024年3月号掲載
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