リフォーム解体新書~腐食と思い剥がしたフローリング、実は傷んでいなかった

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第12回 床リフォーム(後編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。今回紹介する事例は、現場調査時にしっかりと確認すれば「開けてびっくり」という事態を防ぐことができたものばかりです。事前に現場の問題点を把握していれば、床を開けてから工事をストップするようなことが起こらなかったでしょう。床工事で工事が中断すると、住む人が安全に生活できなくなります。戸建て住宅なら床下の確認を、マンションならコンクリートスラブの状態を把握することが大事です。



《事例6》
腐食と思い剥がしたフローリング、実は傷んでいなかった

この黒ずみはワックスの塗り重ね?剥がす必要なかった?

「フローリングが黒くなってしまったため張り替えてください」と依頼があって現場を確認したところ、ダイニングキッチンの床が黒ずみでまだら状態になっていました。特に隅の方は真っ黒です。これはフローリングが大分腐食しているなと思い、「そうですね。キッチンのまわりは床も傷みやすいですからね。張り替え時期にきていますね」と、張り替え工事を請け負いました。

ところが解体当日。フローリング材をバリバリと剥がしはじめたところ、思ったよりもフローリングはしっかりしています。そこで手にとってよく見ると、真っ黒になっているのは表面だけで、フローリング自体は腐食していなかったのです。「表面が黒くなっているだけ?剥がす必要なかった?」と、あわててしまいました。


【解決策は?】フローリング解体前ならワックス剥がし工事の提案もできるが…

フローリングにワックスを塗り重ねることでフローリングがまだらに黒くなることがあります。特にキッチンまわりは油や埃が混じり、フローリングの中まで黒くなっていると勘違いして張り替えを計画することも実際にあります。

このようにできた黒ずみの場合、ワックスを剥がすことできれいになることが多いです。とはいえ、フローリングは20年ほどで新しくするのが理想ですので、真っ黒になるまでワックスを塗り重ねたフローリングはリフォーム時期を迎えているものと考えられます。施主に状況を説明の上工事を進めていきましょう。

▲ワックスの塗り重ねによる黒ずみなら、ワックス剥がしできれいになることが多い


【どうすれば事前にわかる?】見た目の判断だけでなく、黒ずみの原因を確認

施主は黒ずみの原因がワックスだと知っていても、汚れたら張り替え一択と思い込んでいることもあります。「フローリングが黒くなってしまったので張り替えてください」という話があっても、黒ずみの原因がワックスの塗り重ねによるものとわかれば、「ワックスを剥がす工事でフローリングがきれいになることもありますが、年数的にもリフォーム時期にきているので張り替えられますか」と念のため他の選択肢があることを伝えることもできるでしょう。ワックスと油が入り混じった黒ずみは、手で触れてよく観察すると、長年塗り重ねたワックス汚れだとわかります。ワックス剥がしできれいになるものか、専門業者に確認してもらうのも良いでしょう。



[こんな現場もあります]
ペットゲージの下に注意

工事のため荷物移動している時に、床の不具合が見つかることがあります。その一つがペットのゲージの下。ゲージの下に敷かれたマットを取ったら、その下のフローリングが腐っていたというものです。マットは汚物などの汚れからフローリングを守るものと思いがちですが、ジクジクと常に湿っている状態のマットを敷き続けると、フローリングが腐食してしまうのです。リフォームの現場調査ではペットゲージをどかしてまで確認をしないため、着工時になってびっくり!となりがち。見落としてしまわないように注意が必要です。

▲ゲージの下に敷かれたマットを外したら、フローリングが腐っていた…



リフォマガ2024年4月号掲載



⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓

年間購読(毎月15日発行、購読料 ビューアー版8,800円・雑誌版11,000円)のお申込はコチラ

バックナンバーのご購入はコチラ

リフォマガのご案内はコチラ

0コメント

  • 1000 / 1000