リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第11回 床リフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
今回のテーマは「床」。床は人や家具、全ての重さを受ける部位なので、工事で解体をする時には安全面においても問題がないか確認する必要があります。床がフカフカする場合はその原因を突き止めないと、リフォームをしても同じことの繰り返しになってしまいます。事前に床下の状態をチェックして、解体してびっくり!という事態を防ぎましょう。
《事例3》
床の断熱材がほとんど落ちていた
床からの冷気が気になり点検したが、これでは寒いはず
フローリングの増し張りをする現場でのことです。寒い時期ではありましたが、それにしても床が冷たいと感じていました。着工前に念のため床下を確認すると、床裏の断熱材が外れてパラパラと地面に落ちていたのです。「これじゃ寒いはずだ」と施主もびっくり。予定していたフローリングの増し張り工事を中断して、対策を練ることになりました。大工は「床下から断熱材を入れなおすことは施工上大変なので、きちんと断熱材を入れるためにも床材をはがしてやり直した方が良い」と言います。しかし施主は、「費用を抑えて断熱材を入れる方法をとってほしい」とのこと。さてどうすればよいでしょうか。
【解決策は?】床をはがさずに断熱材を入れるなら、落下を防ぐ施工を
床下に入って断熱材を入れる工事は、作業スペースの問題だけでなく、根太間に隙間なくぴったりと納まるように断熱材をカットしてはめ込むという大変な作業です。隙間があれば十分な断熱が期待できないばかりか、床の振動で再び落下する恐れがあります。基本的な対策は後付けに適した方法として、根太間にはめ込んだ断熱材を板で押さえて留める方法がとられています。
▲断熱材の落下防止のために板で押さえつける方法
【どうすれば事前にわかる?】現場調査の時に床下の確認をする
このケースの場合は寒い時期で、床の冷え方が尋常でないことから床下を確認してみることになりました。もし寒い時期でなければ断熱材の不具合に気が付かなかったかもしれません。施主も暖かい季節なら、床が冷えることすら忘れているかもしれません。現場調査の時に床下の状態を確認すると、張り替えを視野に入れて検討するなど、より良い提案ができるでしょう。床の断熱材は建設時期によって厚みに違いがあるうえ、古い建物になると、ウレタンの断熱材がバリバリに割れていたり、断熱材自体入っていないこともあります。床のリフォームの機会に床下を点検して、着工してからあわてて策を練ることがないようにしたいものです。
[用語解説]耳付き断熱材
断熱材を木部にタッカーで固定することができるよう、薄い不織布の耳が付いているものがあります。壁用の断熱材に使用されることが多いですが、床用の耳付き断熱材もあります。素材はポリウレタンフォームといったポリエステル樹脂の素材です。断熱材にはさまざまな商品がありますので、現場の状況に合わせて選ぶことができます。
▲耳付きの断熱材は、タッカーで大引き、根太に固定することができるため、床の張り替えなら使用可能
リフォマガ2024年3月号掲載
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