リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第5回 キッチンリフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
キッチンリフォームでは、壁付けから対面にするなどレイアウト変更をする現場が増えています。レイアウト変更なら通常はキッチン交換と同時に床を新規にしますが、位置を変えずにキッチンのみ交換する場合は床を既存利用することも多いでしょう。そこで今回は、床を既存利用するキッチンリフォームの現場でありがちな「解体あるある」を集めてみました。
《事例 3》
冷蔵庫下の床が傷んでいた
ノーチェックだった冷蔵庫の下
現地調査の時にマニュアル通りにチェックをしていても、チェックリストに記載されていないため見過ごされてしまうことがあります。「キッチン工事あるある」の盲点の一つが冷蔵庫下の床です。
キッチン交換工事が始まり、冷蔵庫を移動しようとしたら「床が沈んで前に引き出せない!」という騒ぎになった現場がありました。冷蔵庫は少し後ろに傾けて後輪で動かすタイプで、重さが後ろに集中するため無理に引き出すと危険だということになりました。そこで家具を移動する時に使用する家具滑りを使って慎重に移動。床に穴を開けずに移動できましたが、フローリングの床は水がしみ込んだような黒ずみが広がっている状態でした。
【解決策は?】巾木に傷を付けないよう
長年にわたって水がしみ込んでいると、床材の下まで腐っていることがあります。床材をめくって、下地の状態をチェックします。時には壁を隔てた隣室まで被害が及んでいることも。シロアリの被害はないか、どこまで補修する必要があるかを確認してから床補強と床の補修をします。巾木と床のきわ際を切り取る作業をする時は、イラストのように、マルチツール※の先にきわ際切り用の刃をセットして丁寧に作業するとよいでしょう。
▲巾木に傷をつけないよう丁寧に床を切り取る
【どうすれば事前にわかる?】床の黒ずみや水のにじみをチェック
冷蔵庫の水漏れにはいろいろ原因があるようですが、使用している人でも気が付かないほど少しずつ漏れているので、現場調査でも見落としがちです。特に水がしみ込むような床材を使用している場合は、黒ずみや水濡れがないか、床に目を光らせましょう。また、冷蔵庫は20~30年前と比べて容量が増し、重量も重くなっています。建築当時の床の強度が弱い場合もあるので、床下をチェックする必要があります。
▲冷蔵庫下の水のにじみ
[用語解説]マルチツール
マルチツールは、最近よく使用されるようになった工具です。先端の刃を交換することで、「切る」「削る」「磨く」といったさまざまな用途に使用することができます。床を切るにも、ざっくりと切る時に使用する刃や、今回の事例のように、巾木を傷つけることなく壁際に差し込んで床をカットできる刃もあります。メリットが多い工具なのでさまざまなシーンで使用されていますが、デメリットもあります。現場の状況にあった工具選びで作業効率も上がることでしょう。
▲刃を替えるだけでさまざまな用途に使える
マルチツールのメリットとは…
- 刃を交換すれば多用途に使える。
- 先端の替刃の種類が豊富なため、1台でさまざまなシーンで使用できる。
- 細かい作業に適している。
マルチツールのデメリットとは…
- 広範囲の作業は作業時間が長くかかる。
リフォマガ2023年9月号掲載
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