最新プレゼン手法徹底解剖~寸法が正確な「営業パース」でスピーディ&正確にプラン共有

今、プレゼンに長けた営業パーソンはどんなことを心がけ、実行しているのだろうか。本特集では、様々なツールやテクニックを用いたプレゼンで、プランの魅力を余すことなく伝え、他社との差別化を叶えて成果を上げている4事例を取り上げる。最新の営業ツールを用いたり、あえて手描きパースを駆使したりとその手法は多様だ。



寸法が正確な「営業パース」でスピーディ&正確にプラン共有

以前は見積書のみでリフォーム提案を行っていた赤木製畳では、完成予想図をリアルに伝えることができるパースを取り入れることで、受注する案件の質が変わってきたという。


原さんの使用ツール「手描きパース道具」

小池瑠璃子さんが提唱する「営業パース」のための道具。専用の升目入り下敷き、A4のコピー用紙、バインダー(現場用)、ボールペン、コピックペン(色付け用)、三角スケール。



現調時にパースを描くと施主が即決しやすくなる

月に6〜7件の相談を担当する赤木製畳の原仁美さん。現地調査や提案の際に活躍するのが、小池瑠璃子さん提唱の手描きの「営業パース」だ。

営業パースは、オリジナルの升目の下敷きを敷いて紙に描く。そのため縮尺を合わせることができ、線が自然とバランス良く描けるのが特徴だ。

「提案のためのパースは絵画とは違う。美しさよりもリアルを重視する」と原さんは小池さんに習った。さらに工夫するのは、動きのある人物やペットを入れること。これでリフォーム後の暮らし方までもが伝わるのだ。

現調時にパースを描くと、施主は「これでお願いします」と即決することも多く、改めての見積もりが不要になる。「もっとこんなふうにならんかな?」と、顧客から具体的な提案が出ることも。プランを一緒に考えるツールにもなっているのだ。

パースを描くのは40分以内を心掛ける。1時間以内で着色して、コピーして持っていける状態にできるという。



現場でもパースを貼ってイメージを共有

原さんは現場にも施主に渡したパースを貼る。「職人さんも人間。パースからそこで暮らす人のことを想像して、仕上がりにも微妙な差が出ると思うんです」。

ある時パースを貼り忘れた現場に行くと、既に自社職人が渡したパースを貼っていた。想いが伝わっていたと感じ、嬉しかった瞬間だ。



《押し入れリフォーム》

収納の内訳を感覚的に伝える

押し入れにハンガーパイプを付けたいという依頼に対し、現場でさっと描いたパース。2本のパイプの間隔や、収納ボックスを置いた状態が感覚的に理解できる。

1. ハンガーパイプが2本の時をシミュレーション

パイプが1本だとゆとりがあるが収納量が少なく、2本だと収納量が多いが部分的に出し入れしにくくなる。このメリットデメリットはイラストだと伝わりやすい。

2. タンスのものが収まり切る収納ボックスを提案

部屋に置いてあるタンスの収納量を見て、ハンガーパイプには吊り切れないと判断。「例えばニトリのボックスをこれだけ置くと、外のタンスをなくせます」と具体的に説明した。



《LDKリフォーム》

壁が残るからこそ可能なプランを提出

LDKをひと続きにする際、抜けない柱が生じた。そこで柱を含む壁の一部を残し、その壁があるから可能となるプランを提出した。

1. 抜けない柱を残し逆に活用する方法を提示

一部残した壁が、リフォーム後にどう見えるのかを施主が気にしていた。そこで、新たに造作棚やインターフォンを設け、裏には既存の食器棚を置くという壁の有効活用法を提示。

2. 手持ちの家電を収納できる棚を提案

家電類は現地調査で寸法を測り、実際に置ける量を計算して棚を描いた。「この通り置こうとして幅が足らないというのではダメ。イメージ+リアルであることが大事なのです」。


昔ながらの間取りを現代向けに変更

独立した廊下がある昔ながらの間取りで、キッチンが狭かった中古マンション。そこで、廊下の壁をとっぱらい、広いLDK空間を確保するプランを提案した。

3. 廊下をなくした時の広がり感を見せる

着工前の打ち合わせの段階では、今ある廊下の壁がなくなった状態は想像しづらい。そんな時にパースならば開放感を視覚的に伝えることができる。

4. 一般的なダイニングテーブルを入れた時の余裕度がわかる

ニトリや無印良品などの標準サイズのダイニングテーブルの寸法で実際に描き込んで、椅子を置いた時にどれぐらいの余裕がとれるかを見せている。営業パースは、この寸法のリアルさが肝なのだ。


穏やかな時間を感じさせるパース

キッチンと隣の部屋を一体にして広いLDKにしたいという要望を受け、畳スペースのあるLDKを提案。丸くなった猫から穏やかな時間が流れるのを感じられる。


母娘と猫が仲良く暮らすイメージを共有

営業パースでは、寸法の正確さのほかに、施主に未来の暮らしを想起させることも重視する。仲良し母娘のために、キッチンに立つ母親と、少し離れてくつろぐ娘と猫を表現した。

5. 畳スペースの良さを視覚的に伝える

畳の上で足を伸ばしてテレビをみる娘と、その近くで思い思いに過ごす猫たち。畳スペースを採用すればこんな暮らしが訪れるという期待感が高まる絵だ。



《寝室の押し入れリフォーム》

依頼を発展させた収納計画をパースで伝える

押し入れにハンガーポールを付けたいというシンプルな依頼を受けた事例。ヒアリングによって真意がわかり、それを発展させた収納計画を提案、受注に至った。

1. 収納の詳細をイラストで提案

部屋のタンスを処分したいと聞き、押し入れをクローゼットに変えて、細かい物が入る棚も併設することを提案。施主は言葉だけではピンと来なかったが、後日パースを見せ即採用となった。

2. 今はまだないベッドを置いた未来を表現

将来、布団をベッドに変えるというのがリフォームの理由だったので、未来予想図まで描いた。



《空き部屋の収納計画》

空き部屋の3カ所に具体的な収納を計画

雑多に物が置かれた広い空き部屋を、物を整理して収納できるウォークインクローゼットにすることに。2つの壁面と、部屋の中央の3視点のパースを作成した。


隣のキッチンのパントリー収納

隣にあるキッチンは物が溢れたような状態だったため、部屋の一部をパントリー的に使うことを提案した。実際の持ち物や用途を考慮した収納計画のパースになっている。


部屋の中央にスーツ類をかけるポールを設置

部屋の中央にはジャケットや、ズボンを半分に折ってかけられる二段のハンガーポールを設定。上部には箱を置いて帽子などを入れられるようにした。


パントリー収納の向かいには長物掛けを配置

キッチンから一番遠い壁面には、コートやワンピース、礼服などの長物掛けを配置。中央と長さが違い使い分けが明確なので、整理して収納でき、目当ての服を見つけやすい。




お話をうかがったのは…

赤木製畳(岡山県総社市)原仁美さん

祖父が畳屋を開業し、父の代で障子や襖も扱い出す。約10年前に兄が三代目に就任し、リフォーム事業を開始。事務だった原さんも現場同行し、自然と打ち合わせやプラン作成をはじめる。LIXILの勉強会で小池瑠璃子さんの「営業パース」に出会い、手描きパースによる提案に目覚める。



リフォマガ2022年11月号掲載



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