今、プレゼンに長けた営業パーソンはどんなことを心がけ、実行しているのだろうか。本特集では、様々なツールやテクニックを用いたプレゼンで、プランの魅力を余すことなく伝え、他社との差別化を叶えて成果を上げている4事例を取り上げる。最新の営業ツールを用いたり、あえて手描きパースを駆使したりとその手法は多様だ。
共通フォーマットと専用ツールで全社的に時短&クオリティアップ
新築の営業時代に専用ツールを使っていた山本亮さんが提案し、ARCHITREND ZEROを導入して半年のリビングサーラでは、全社的な提案の質の底上げに成功している。
リビングサーラの使用ツール
3次元建築 CAD「ARCHITREND ZERO」
住宅設計の業務効率化のための機能が充実。間取りを入力すると立体モデルを自動生成し、各工法に準じた詳細図面作成や設計計算、CGパース作成などを行う。福井コンピュータアーキテクト製。
ソフトで作成した図面とパースで提案の質がUP
愛知、静岡を中心に展開するリビングサーラでは、2022年3月にARCHITREND ZEROを導入。導入半年で、プレゼンシートの作成の仕方が大きく変わっているという。
それまで大幅な間取り変更がある大型案件の図面は設計担当に依頼していたが、営業自身がソフトで描けるようになり、スピードアップしたうえ、提案の質も上がったのだ。
シートの共通フォーマットの基本形は守りながらも、細かいつくり方には個性が光る。
ソフト導入前には、完全な手描き図面を作成していた熊谷悠紀さんは、ソフト作成のデジタル図面の大枠をプリントしたうえで、手で描き込んで仕上げるハイブリッド型に進化させた。
デジタル派の山本さんは、色付けしたデジタル図面を用い、同じくソフトで作成したリアルなパースを付けて、格段にわかりやすい提案ができるようになった。各人がツールを自分なりに活用することで、営業全体の底上げに成功しているのだ。
リビングサーラのプレゼンシート「共通フォーマット」
リフォームテーマを必須で入れる表紙
表紙にその家のテーマを入れることで、出だしでリフォームの方向性が施主に明確に伝わる。タイトルの付け方にも、営業の個性が出るのが面白いところだ。
リフォームの意義をビジュアルで伝える
「リノベーションでワクワクを。」というキャッチコピーが象徴するように、人物が入ったイメージ画像とテキストで、リビングサーラが考えるリフォームの意義を提示。
リビングサーラの特徴を最後に説明
ヒアリング力、工事品質、提案力の3つを会社の強みとして挙げている。「詳しく尋ねる方と、さらりと流す方とに分かれるので、最終ページに入れました」(熊谷さん)。
手描き派・熊谷さんの場合
《図面はハイブリッド型》
1. 選び抜いたイメージ写真を散りばめる
この事例では要望に合わせて、木が多いナチュラルなイメージ写真で統一している。デザインはもちろん、間取りや配置が極力同じようなイメージ写真を選び抜いている。
2. デジタル×手描きのハイブリッド図面
CAD図面の壁や窓、水回り設備など大枠をプリントし、そこに手描きで家具や植栽などを描き入れて、色付けする。「手描きでは壁の厚みの差や、窓の詳細を再現できないので、この形に落ち着きました」。正確性と手描きの暖かみの両者を感じられるハイブリッド図面だ。
3. 温もりが感じられる手書きの解説
ポイント解説も全て手書きで、ぬくもり感をUP。
《パースは2種類を使い分け》
レンダリングなしのシンプルパース
「立体感や空間の開き方などは、シンプルなパースでも十分に伝わります」。上の事例では、施主が残すことになる筋交いの見え方を気にしていたので、計4つの複数アングルで見せた。
レンダリングありのリアルパース
「リアリティのあるパースだと、顧客の反応はやはり大きいです」。顧客がそもそもリフォームするかどうか微妙という時など、よりインパクトを与えるために採用。上の提案は見事受注に至った。
デジタル派・山本さんの場合
《専用ツールでクオリティが大幅UP》
1. イメージ写真も併用
パースで内装イメージを伝えられるようになったので、ソフト導入後は要所でイメージ写真を使用。事例では、テラスを付けた場合のイメージ写真を入れている。
2. ARCHITREND ZEROで自ら作成した図面
導入前の不動産物件のような図面から、これだけ見やすい図面をつくれるように。「設計者なしの営業単位で、大型案件を精度高く提案できる点も大きいです」。
3. パースはレンダリングありでこだわる
「絵を描くスキルがない」と語る山本さん。その分、パース作成には力を入れる。事例ではLDKのキッチン側、リビング側の2面からの美しいパースを載せた。
お話をうかがったのは…
リビングサーラ(本社 愛知県豊橋市)サーラプラザ豊橋 くらすデザインチーム
熊谷悠紀さん
大学の建築学科卒業後、間取りや内装にまつわる仕事をしたいと考えて、地元で知名度のあるリビングサーラに入社。現在6年目で営業職として活躍中。全社的な施主のモチベーションを上げるヒアリング法の確立に携わり、プレゼンにも力を入れている。
山本亮さん
新築の注文住宅の営業などを経て、これからのリフォーム需要増加を見据え、2年前にリビングサーラに入社。「法人相手の仕事などと比較すると、自宅をリフォームするお客様は思い入れが強く、ぶつかることもあるが感謝もしてもらえる。やりがいのある仕事です」。
リフォマガ2022年11月号掲載
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