リフォーム解体新書~手すりを付ける計画の壁がGL工法だった

リフォーム現場のトラブル解決

リフォーム解体新書

第2回トイレリフォーム(後編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回紹介するトイレ工事の内容は、特殊な事例ではありますが、どれも実際にあった話です。特に事例6の「手すりをつける計画の壁が、GL工法だった」の例は、マンションで起こりがちな問題です。このような場合には「想定と異なる状況に対し、どう提案するか」を前もって準備しておけば慌てずに済むでしょう。



《事例 5》
手すりを付ける計画の壁がGL工法だった

施工説明書に「GL工法の壁にはアンカーボルトで固定」と書いてあるが…

GL工法とは、コンクートの壁に下地組みをせず、GLボンド(注)という特殊なボンドで直接石膏ボードを張り付ける工法で、マンションで多く採用されています。ただこの工法は、手すりを固定する際に下地が無いため困ることがあります。例えば、手すりを設置しようとした職人が「コンクリートにアンカーを打っていいの?」と慌ててしまうことがあります。手すりの施工説明書に「GL工法の壁にはコンクリートにアンカーボルトを打って固定する」とあっても、マンションではコンクリート壁は共有部分のため、多くの場合アンカーを打つ許可が下りないからです。

(注)GL ボンドは吉野石膏の商品名


【解決策は?】石膏ボードを剥がして下地を作る

石膏ボードを剥がして木組みの補強下地を作る方法です。コンクリートに貼りついているGLボンドの団子を取り除き、木組みで壁下地を作ります。この時、手すりの取り付け位置に補強材を入れておきます。石膏ボードを打ち付け、クロス仕上げをして完成しますが、以前よりも壁面が室内側に押し出される(壁がふけてくる)ため室内が少し狭くなるデメリットもあります。このようなケースに備えて提案できる方法を考えておくと安心です。最近では石膏ボードを剥がすことなく手すりの固定位置の壁裏を固めるといった商品もあります。

▲手すり位置に補強材(下地)を入れる


【どうすれば事前にわかる?】壁をコンコンと叩いて確認する

下地組みのないGL工法は、1970年代に開発され、その後のマンションブームに乗って急速に普及した工法です。これに対してLGS工法は軽量鉄骨の下地を組み石膏ボードを打ち付ける工法です。マンションでコンクリート壁に石膏ボードが貼ってある場合は壁を少しずつずらしながら叩いて下地の有無を確認しましょう。コンクリートのように硬い音がする箇所がところどころにある場合はGL工法と考えられます(硬い音が無ければLGS工法)。またLGS工法の場合は磁石が反応しますが、GL工法の場合は反応しません。

▲GL工法ならところどころ硬い音がする



[こんな現場もあります]
タイルの団子張り(積み上げ張り)も空洞がある

壁がタイル仕上げのトイレでも、GL工法の壁のように裏側に空洞があることがあります。この場合も手すりを設置する時は空洞に注意して下地を探さないと、タイルが割れてしまいます。これは団子張りや積み上げ張りと呼ばれ、タイルの裏にモルタルを団子状につけて1枚1枚貼っていく工法で、古い住宅でよく見られます。窓枠などに竹の筒を縦に割ったような細長いタイルが張ってあれば団子張りのタイルです。

▲「タイル」の団子張りにも要注意



リフォマガ2023年6月号掲載



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