リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第1回トイレリフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
私はよく「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われました。現場で思わぬ事態に遭遇した時、大慌ての私に現場の人たちが「ドンマイ!」の意味でかけてくれた言葉です。でも、予測をしながら現場調査ができるほど場数を踏むには、一体何年かかるのかなぁと、逆に気が遠くなったものです。
その経験から、工事現場にありがちな「見えない必要工事」を集めてみることにしました。こんな時どういう工事が必要になるのか、また現場調査の時にリスクを予測することが出来るのか、工事現場の場数を踏まずとも読めば理解できるよう、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
第1回目はトイレリフォームについて。便器交換だけのつもりが床の補修も必要になったという事例や、入り口段差を解消する工事でありがちな事例を紹介します。
《事例 3》
男性が立つ場所だけ床が弱くなっていた
床張り替えで安心するべからず!
特に何の問題もなさそうなトイレですが、便器の前、ちょうど男性が用を足す位置の床が弱っていました。便器交換の工事で、職人が便器を持ちあげようとした時に床がフワッと沈み、初めて異常に気が付いた…という話です。床の仕上げ材を新しくする予定ですが、見た目はきれいになっても床の強度は戻りません。
【解決策は?】下地材の部分補修
床の補修が必要になります。傷んでいる部分を切り取り、同じ厚みの下地材をはめてビス留めをします。上からパテで平らに仕上げ、CFシートなどの仕上げ材を貼ります。または、床の高さが上がってもよければ、床材を重ねて張ることで強度が増します。
【どうすれば事前にわかる?】床の強度チェックは必須
施主へのヒアリングでは拾いきれない情報もあるので、現場調査のチェックリストに、床が弱りやすい場所を書き込み、忘れずにチェックするようにしましょう。
トイレ床はコンパネの上にCFシートを貼っている床が主流で、コンパネの上にフローリングを張っている廊下や居室の床に比べると強度が劣ります。男性の立ち位置の問題ばかりではなく、例えば天井照明の電球を交換するために便器の上に乗り、降りる時にドンと着地したら、床下の根太にまでヒビが入ってしまう心配もあります。
[こんな現場もあります]
一見タイル貼りで丈夫そうな床だが…
トイレの床がタイル仕上げの場合、床はしっかりしていると思いがちです。しかしイラストのように床下が空洞になっていて、コンパネの下地にモルタルを塗り、タイルを貼っているだけという例が多く、タイルの床でも男性が立つ位置が弱っていることがあるので注意が必要です。
リフォマガ2023年5月号掲載
⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓
0コメント