リフォーム解体新書~沓摺り撤去工事 内外で床の高さが違った

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第1回トイレリフォーム(前編)


ドキッとする“解体あるある”を集めました

私はよく「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われました。現場で思わぬ事態に遭遇した時、大慌ての私に現場の人たちが「ドンマイ!」の意味でかけてくれた言葉です。でも、予測をしながら現場調査ができるほど場数を踏むには、一体何年かかるのかなぁと、逆に気が遠くなったものです。

その経験から、工事現場にありがちな「見えない必要工事」を集めてみることにしました。こんな時どういう工事が必要になるのか、また現場調査の時にリスクを予測することが出来るのか、工事現場の場数を踏まずとも読めば理解できるよう、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

第1回目はトイレリフォームについて。便器交換だけのつもりが床の補修も必要になったという事例や、入り口段差を解消する工事でありがちな事例を紹介します。



《事例 2》
沓摺り撤去工事
内外で床の高さが違った

沓摺りの取り付け方法は細部まで見るべし!

段差を解消してバリアフリーにするため、トイレ入り口の沓摺りを撤去する工事。トイレの中と廊下は同じフローリングで仕上げてあって、一見フローリングの上に沓摺りを取り付けているように見えます。簡単に取り外せるものと思っていたら、沓摺りは床に埋まっていてなかなか外せません。しかも撤去した後に床高を測ったら、内外のフローリングに段差があることに気が付きました。この現場の場合、新築の時に先に沓摺りを設置したあとでトイレ内の床組みをしたと考えられます。そのため同じ仕上げ材を使用していても部屋ごとに床高が違ったのかもしれません。


【解決策は?】見切り材で段差解消

このケースでは部屋間の床に高低差があったということで、数ミリ程度の段差なら、への字の見切り材を入れるなどして段差を解消します。

もし大きい段差がある場合は、床の増し貼りや床の組み直しをしてどちらかの床の高さを調整することもあります。廊下の床を高くすると各部屋に影響がでるため、トイレの床の高さを上げるか下げるかで調整するのが一般的です。

▲溝を平木で埋めた後に、への字の見切り材を取り付けた例


【どうすれば事前にわかる?】コンベックスで正確に計測

同じ床材で一見同じ高さに思えてもトイレの内外で床高が違うこともあります。それは廊下の床組と別のタイミングでトイレの床組をすることが多いからです。形状が複雑な沓摺りの場合は特に内外の段差を計測しにくいですが、目測ではなくコンベックスやL字スケールで正確に測ることが大切です。

また一般的にトイレの入り口ドアに使用されている沓摺りは、埋め込み式(床に埋まっている)が多いのですが、床を仕上げたあとに取り付けている場合もあります。後者の場合は沓摺りと床の境にコンベックスの先端などを差し込むとひっかかりがあることで判断できるでしょう。

この場合床同士の高さは揃いますが、沓摺り撤去後の床に隙間があくため、床を切って平らな見切り材を入れる必要があります。

▲段差を測る時に真横から写真を撮ると、目盛が読みやすい



【用語解説】沓摺りと敷居

「沓摺り」は開き扉の下枠のことで、「敷居」は引き戸の下枠です。敷居はイラストのようにレールがついています。

「敷居」の方が馴染んでいるせいか、開きドアの下枠のことも「敷居」と呼ぶことが多く、トイレの入り口をバリアフリーにする時も、「敷居を撤去する」と言ってしまいがちです。

現在の開き扉は室内の換気のためにドア下に隙間が開いていますが、古い家ではドアが隙間なく閉まるように、沓摺りにも戸当たりがついてる例が多いです。

▲沓摺りの断面

▲敷居の断面



リフォマガ2023年5月号掲載



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