リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第1回トイレリフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
私はよく「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われました。現場で思わぬ事態に遭遇した時、大慌ての私に現場の人たちが「ドンマイ!」の意味でかけてくれた言葉です。でも、予測をしながら現場調査ができるほど場数を踏むには、一体何年かかるのかなぁと、逆に気が遠くなったものです。
その経験から、工事現場にありがちな「見えない必要工事」を集めてみることにしました。こんな時どういう工事が必要になるのか、また現場調査の時にリスクを予測することが出来るのか、工事現場の場数を踏まずとも読めば理解できるよう、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
第1回目はトイレリフォームについて。便器交換だけのつもりが床の補修も必要になったという事例や、入り口段差を解消する工事でありがちな事例を紹介します。
《事例 1》
便器を外したら床が傷んでいた
毎日使っていても気付かない「腐食」を疑おう!
便器を外した時に床が腐っていることに気が付いた…ということがあります。便器の周囲の床に水漏れ跡もない、いわば隠れた水漏れです。単純に便器を交換する予定でも、固定する床下地が傷んでいたら新しい便器を設置することができません。
トイレの水漏れの原因はいろいろありますが、気が付かないうちに便器の下でジワジワと床の腐食が進むというケースは、排水管と便器の接続部分からの水漏れが原因であることが多いです。
【解決策は?】床張り替えorフランジ交換
このケースは、床下排水管と便器の接続部分の土台となるフランジ(イラスト参照)と、接続部分を密着させるガスケット(Pシール)が経年と使用頻度によって隙間が開いてしまい、排水が漏れ出して、床が腐食したものと考えられます。解決策としては、
①傷んだ床を一部剥がす。
②床補修をしてからパテで均した後にCFシートなどの仕上げ材を貼る。
③フランジを交換して便器を設置する。
という工程になります。なお近年の便器は排水接続方法が改善されているため、このような水漏れは少なくなってきています。
【どうすれば事前にわかる?】フランジボルトのサビチェック
排水管との接合部でジワジワ漏れるケースは、床と便器の隙間にシミが出ない限り、毎日使用している人も気付かないうちに床の腐食が進行する恐れがあります。便器がぐらつく、座ると沈むといった、体で感じる不具合が出れば、すでにフランジと便器は固定されていない状態と考えられます。
下のイラストのように、便器についている卵型のキャップの周囲にサビがついていれば要注意。キャップを外し、フランジを固定しているフランジボルトが錆びていれば、排水まわりから水漏れして床が腐食していることを疑いましょう。ちなみにフランジボルトがボロボロに錆びていたら、便器を外すのも大変です。
リフォマガ2023年5月号掲載
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