対面とオンラインを細やかに使い分け リフォームの質も成約率も向上!

オンライン商談攻略法

ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」等を用いたオンライン商談は、今後さらに必要となってくるはずだ。移動不要で場所に制限がなく、商談の効率化やペーパーレス化を実現できるなどメリットだらけだが、オンラインならではの注意事項もある。オンライン商談を積極的に取り入れ、成功を収めている先駆者たちに、失敗しないオンライン商談法を聞いた。



対面とオンラインを細やかに使い分け
リフォームの質も成約率も向上!

30万円以上の案件には複数名のチーム制で臨むというリフォーム専門店のアクト。そこで、営業マンだけ顧客と同席し、設計担当や現場担当はオンラインで商談を行うなど、オンラインを上手に取り入れることで全体の品質が上がり、成約率もアップしたという。


オンライン活用案件は成約率90%以上をたたき出す

20年も前に、自社でテレビ会議システムを開発したアクト。現在のようなオンライン商談も想定していたが、当時は顧客のネット環境が整っておらず、主に店舗間のコミュニケーションツールとして使用していた。現在は、互いの店舗を映した映像を常時事務所で流すスタイルを取り、「ちょっと相談したいんですけど」「〇〇さんいますか」といったやり取りは、電話ではなくオンラインで行う。朝礼や店舗間打ち合わせも動画で行い、全社で距離を感じさせないコミュニケーションが取れている。

そんな土壌もあり、4月上旬の緊急事態宣言を受けて、同社ではいち早くオンライン商談を取り入れた。オンラインを使った案件の成約率は90%以上と、対面のみだった時よりも成果を出している。Zoomの使用を提案し、全社の環境づくりをした中嶋麻菜さんに、その活用法や成功の秘訣を聞いた。



ショールーム内で素敵な背景を選んで打ち合わせ

インテリアの提案も行うショールームは、普段は顧客に足を運んでもらい打ち合わせするサロンの役目を持つ。雰囲気が伝わる一角を選び、オンライン商談の背景として使用。



リアクションは対面時の3倍程度でちょうど良い

「そもそもアクトでは20年前、人材不足を補うためにオンラインを使い始めたと聞きます。今、その効果を実感しています」と中嶋さん。例えば見積もりを見せて、変更が1つもなく契約というケースは少ない。軽微な修正でもこれまでは「見積もりを直して再度お持ちします」となったが、オンラインならその場で修正して見せられる。単純に1回打ち合わせ回数が減り、時間短縮できるわけだ。

同社では30万円以上の案件では、様々な角度の知恵を生かした提案を目指し、営業・設計・現場のチームによる担当制を取る。オンライン商談によって、打ち合わせ時に営業マンのみが顧客宅を訪問し、設計者は事務所から、現場担当は別の現場から、必要な時間のみ参加するという形を取れるようになった。

「図面のここを変えたいとなったら、営業マンが接客している間に設計者が直して、打ち合わせ時間内に提示することもあります」とチームプレーが光る。

メーカーのショールーム見学も、スタッフや施主など関係者全員で行く必要はなくなった。営業マンと夫婦のどちらかが現地に行き、他方はオンラインで実況してもらえば情報は共有できる。プランなどを詳しく検討したい時は設計とオンラインでつながり、相談することもできる。スタッフ各人の浮いた時間はプランニングなどに回せ、質の向上にもつながっている。

「現地調査と仕上げを決める際はやはり対面が良く、オンラインは万能ではありません。でも、見積もりやプランなど平面の打ち合わせはオンラインでほぼ可能です」。

中嶋さんがオンライン接客で気を付けるのが、ゆっくりはきはきと話すこと。また、微妙な温度感や表情などは伝わりにくいので、対面時の3倍ぐらいを意識する。

オンライン商談の様子は録画機能で残せるため、議事録代わりになる。さらに、同社では新人に見せる教育用の資料として今後活用することも考えているという。


例1:営業のみ訪問し、設計と現場はオンライン

顧客宅へは営業マンのみが訪問し、必要な時間帯だけ設計者と現場担当がオンラインで参加。顧客宅への往復時間もないため拘束時間が大幅に減り、その時間を別のことに使える。


例2:多店舗で最強チームが組めるようになった

これまでは顧客が住む地域の店舗内でチームを組んでいたが、オンライン商談ならチーム編成は遠方のスタッフを含めて自由自在。案件に合う人材を揃えて最強チームを結成できる。


例3:妻だけがオンラインでショールーム見学

足の悪い妻だけオンラインで参加。実物のリアルな雰囲気を感じながら、具体的な打ち合わせもできる。設計者も仕様の相談など必要な時のみオンラインでつながれば良い。


例4:実家のリフォームに長男がオンライン参加

いずれ同居をしたいという長男が遠方に住む場合、オンラインなら帰省を待たずに相談ができる。親世代はネットが苦手だとしても、子世代ならば活用してもらいやすい。



お話をうかがったのは…

▲頚城建工 住まいのリフォーム専門店アクト(本店 新潟県上越市)新潟所属 中嶋麻菜さん

大学院まで心理学を学び、2014年4月にアクト入社。やわらかい雰囲気と的確な言葉遣いが特徴で、顧客の潜在的な要望も見逃さずに真に喜ばれる提案を目指す。リフォームスタイリスト1級と唎酒(ききざけ)師の資格を持つ。社内のオンライン商談の土台作りを担当した。



リフォマガ2020年9月号掲載



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