同じマンションの施工実績によってオンライン相談でも具体的にアドバイス

オンライン商談攻略法

ウェブ会議システム「Zoom（ズーム）」等を用いたオンライン商談は、今後さらに必要となってくるはずだ。移動不要で場所に制限がなく、商談の効率化やペーパーレス化を実現できるなどメリットだらけだが、オンラインならではの注意事項もある。オンライン商談を積極的に取り入れ、成功を収めている先駆者たちに、失敗しないオンライン商談法を聞いた。

同じマンションの施工実績によって
オンライン相談でも具体的にアドバイス

6月に電子契約を導入するなど、オンラインに力を入れ始めているマツドリフォーム。近隣マンションの施工実績が多数あり、比較的物件の事前情報を集めやすいため、新規顧客のオンライン相談を増やそうと、専用ウェブページも設けて攻勢をかけている。

▲オンライン商談動画をYouTubeに投稿

専用ページでは簡潔にオンライン相談について説明されており、「オンライン相談の様子（動画）」をクリックするとYouTubeに飛び、3人の営業マンの商談の風景が流れる。下段にスクロールしていくと予約フォームがあり、申し込みやすい流れになっている。

遠隔地とのオンライン商談経験から
全社的に積極的導入を決める

2年ほど前にアメリカ在住の施主とスカイプで打ち合わせを行い、遠隔地との商談にオンラインは有効だと感じていたという濱田泰之さん。当時は現地調査と1回目の見積もりを出すまでを対面で行い、仮契約の段階で施主がアメリカに行くと、オンラインに移行して詳細を詰めていった。

「まだ画面共有機能はなかったので、仕様決めは施主が一時帰国した際に行いましたが、本帰国すると速やかに工事に入れたのは大きかったです」。

ネットに詳しい設計者に教わりながら濱田さんは四苦八苦したというが、その成功体験があったため、マツドリフォームではコロナ禍においてオンライン商談を積極的に取り入れることにした。テレワークも始まって会議もオンラインで行うことになり、社内のパソコンには、全てオンライン会議用カメラを取り付けたという。

▲静かなショールームでじっくり打ち合わせ

オンライン商談は静かな環境で、お店の雰囲気も伝わるショールームで基本的に行う。濱田さんは同時に話さないことと、言葉を区切ってゆっくりと、表情豊かに話すことを心がけている。

専用ページを設けて問い合わせを気軽に

現在のオンライン商談数は、全社で月に3、4件といったところ。この商談数を、新規の問い合わせ客を対象としたオンライン相談会を開催して、増やしていきたいと考えている。そこで、新たに会社のホームページに「オンライン相談」専用ページを設けて、予約制で受け付けている。実際に、中古マンションの購入を検討しており、リフォーム費用の概算を知りたいという相談も寄せられた。

「よく工事をしているマンションだったこともあり、図面を用意して1時間ほどかけて具体的なアドバイスができました」。

現地調査せずに新規案件にオンラインで対応する場合、図面や写真など事前情報をどれだけ集められるかが勝負になる。マツドリフォームは近隣にマンションが多く、施工実績が200件以上の大規模マンションが4棟あるなど、多数の施工実績でアドバンテージがあった。

オンライン商談は、既存顧客にもコロナ対策として提案し、違和感なく運用できている。

「画面共有の機能はやはり便利。図面を共有して、カーソルで説明している個所を示しながら話せるのがいいです」。

また、録画機能は議事録に書ききれない内容が保存できる点がメリットだという。

「逐一見直すことはしませんが、話しながら書き留めきれなかった要望を、後で見返せば確認できます」。

▲後付けのカメラやマイクで環境を整える

（上）相手に伝わりやすいように大きな身振りで説明をする。音環境に配慮して、スタンドマイクとイヤホンを使用。また、目線の高さに合うようにパソコンを設置している。

（下）事務所の自席からアクセスすることもある。

お話をうかがったのは…

▲マツドリフォーム（神奈川県川崎市）管理建築士／リフォームアドバイザー 濱田泰之さん

花屋に勤め、花を飾る空間づくりまでしたいと、32歳で内装の職人兼現場監督に。以後23年間リフォーム一筋。設備の老朽化や地震対策とお気に入りのデザインを両立させ、永く暮らせる「大好きな我が家」の提供を目指す。資格に2級建築士、既存住宅状況調査技術者など。

リフォマガ2020年9月号掲載

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