オンラインのマナーは対面時と特段変わらないと話す、リフォーム専門コンサルティングの越光雅也さん。ただし「通信」という環境なので、聞こえづらかった時の合図や、途絶えてしまった時の再入室法などの事前説明は対面以上に大事だという。越光さん流の配慮の行き届いたオンライン商談術を伺った。
名刺で自己紹介と自己PRを同時に行う
「まず言いたいのが、会えるのなら会ったほうがいいということ。どちらでもいいと言われたら行くべきです」と越光さん。1回会った人から電話相談を受けることが増えるように、最初に会って人柄を知ってもらえば安心感を与えられ、その後オンラインに移行してもスムーズなのだ。見積もりの軽微な修正などで、顧客が「わざわざ来られるのも…」ということだったら、オンラインを活用する。オンラインの使用は状況や相手の都合に合わせて、メリハリをつけることが肝心だ。
オンライン商談のマナーは対面時とほぼ変わらない。初めての相手だったら、まずはバーチャル名刺を出して自己紹介。そこに自分が何者かという情報が入っていることがポイントだ。
「肩書や保有資格だけでなく、自己PRになる情報をもっと盛り込むといい。例えば『社内で成績1位を獲った』という情報でも、そんな人物が担当してくれるのが顧客としては嬉しいし、安心材料になる。もしかしたら相見積もりで迷った時の最後の一押しになるかもしれない」。
自己紹介が済んだら、越光さんは「はじめに」ということで、打ち合わせの所要時間やルール、ツールの使い方などを伝える。
「リアクションはオーバーにとお願いして、実演してみせると笑いが起きる。この導入自体がアイスブレイクの役目も果たすのです」。
▲「自分が何者か」を端的に示す名刺は必須
初対面の時、オフラインで名刺を出さなかったら失礼に当たる。これはオンラインでも同じこと。その感覚が大事だと越光さんは言う。名刺には会社や自らの情報を、ホームページと同じような構成で一覧にして載せる。
▲まずはルールや使い方を提示する
出だしでルールや使い方を提示すると、オンライン商談でのふるまい方が理解でき、相手は安心する。NG項目も伝えられ、不測の事態にも対応してもらえるなどいいことづくめだ。
口に出さずに背景で会社をアピールできる
進行は対面時のようにスムーズに。パソコン操作に夢中で沈黙になってはいけない。資料をストーリーに沿って1つのパワーポイントにまとめておくのがおすすめだ。
「オフラインで売れる人はオンラインでも同じ。エスコートがうまければ売れるはずです」。
「録音録画機能」を使えば議事録は必要なくなり、会話に集中することができる。
「営業マンの9割が議事録を書かないというデータもあり、記録がないことが多くのトラブルにつながっています。録画機能は非常に画期的なのです」。
顧客が思っている単語と口に出した単語が違うという言い間違いも案外あり、証拠として本人に確認してもらうのにも役立つ。毎回録画を渡す必要はなく、齟齬が生じたらその部分だけピックアップして見せれば十分だという。
名刺は個人のPRだったが、背景には会社のアピールになるものを入れるといい。おしゃれなショールームがなくても、白い壁に事例紹介の額やパース、「工事補償保険〇億円まで」といった保証書などを写し込めば立派なアピールになる。事務所内にオンライン商談用背景を1度つくってしまえば、毎回使用できて便利だ。パソコンを置く位置も墨出ししておけば手間取らない。
現在、Zoomの使用が一般的だが、顧客の負担を減らすために、普段使っているツールが何かを聞いて、全て対応できるようにしておく。
「今はLINEでも画面共有ができますし、スカイプだってFaceTimeだっていいのです。柔軟性を持ちましょう」
お話をうかがったのは…
▲GRiMZグリムズ代表 越光雅也さん
会社員時代に住友不動産リフォームで、営業マンとして全国売上1位を2度獲得。最年少で管理職に就任、支店の売り上げを4年で6倍に伸ばし、神奈川や東京の支店長を歴任。買取リノベ再販会社の専務取締役を経て、企業にリフォームを教える専門コンサルティング会社のGRiMZを設立。
リフォマガ2020年9月号掲載
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