リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第18回 外壁リフォーム(後編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
外壁材でサイディング材が普及したのは1990年頃ですが、2000年を境にサイディング材の施工方法が大きく変わりました。変更前はサイディング材の裏に通気するための隙間を設けることが必須ではなかったのです。その頃施工されたサイディング材はすでに耐用年数を迎えていて、今後のリフォーム計画を立てる時期に来ていると言えるでしょう。事例4のように、外壁の傷んだところだけを張り替えるつもりが、サイディング材を剥がしてみたら、その状態の悪さにびっくりするかもしれません。建築時期を把握しておくなど、建物に潜む懸念材料を押さえておくことが大切です。
《事例5》
シーリングを打ち替えずに25年、すみばしら隅柱が腐っていた
まめに塗装をしていて綺麗な家だからと現調時に油断した
この家はおよそ8年ごとに塗装をしていて、築25年を迎えた今回、3回目の塗装をすることになりました。シーリングは2回目の塗装時に既存のシーリングの上から増し打ちしているとのこと。サイディングはチョーキングも少なく、まさか隅柱が腐っているなんて信じられないほど綺麗でした。異常に気がついたのはシーリング工事に着手した時です。家のコーナー付近のシーリングがぱっくりと切れていて、サイディングが膨らんでいます。サイディングを一部外したところ、あろうことか防水シートは破れ、出てきた隅柱は根元の方がボロボロになっていました。施主は「これ、直せるの?内側にキッチンがあるけど、どかさないとできない?」と真っ青に。答えに困ってしまいました。
【解決策は?】外壁側から隅柱を入れ替える
隅柱は1階から2階までつながっている通し柱です。柱がボロボロの状態では2階部分が不安定な状態になっていて、地震が来れば家のバランスが崩れてしまうでしょう。柱の入れ替えが必然であることを施主に説明して、追加工事の手配をします。入れ替え工事は外部からの工事で大丈夫なので、施主が心配しているようにキッチンを撤去することはありません。この事例のように1階の低い部分だけが傷んでいる場合は部分的に交換することが可能ですが、2階部分の腐れがあれば、1階から2階までまるごと1本を入れ替えることもあります。
▲柱の入れ替え工事は外側からできる
【どうすれば事前にわかる?】サイディング通気工法でも隅柱部分は直貼りになっている?
家の四隅にある「隅柱」は、1階から2階まで継ぎ目が無い「通し柱」が使われています。頑丈さが求められる「通し柱」はその他の「管柱」よりも太く作られています。一般的な木造住宅の場合、通し柱が120㎜角、管柱は105㎜の角材を使用しますが、実は柱の太さが違うことで困ることがあります。サイディングを通気工法で張る際に、隅柱にも通気層を設けようとすると、外壁に段差が生じてしまうのです。そのためイラストのように隅柱の部分には通気層を設けずに、直接サイディングを打ち付けているケースがリフォームの現場では多く存在します。柱に透湿防水シートが巻かれているとはいえ、熱がこもってシートが破れてしまうと、もう水の侵入を防ぐことはできません。サイディングの通気工法であっても、隅柱部分は要注意です。またこの事例のように、塗装のサイクルが短い家では、シーリングがまだ傷んでないからと打ち替えをしていないこともあるので、油断せずにチェックしましょう。
▲サイディングを通気工法で施工していても、隅柱の部分は直接サイディングを張っているケースも多い
[こんな現場もあります]
乾式目地は長寿命だが、劣化が進むと一気に剥がれることもある
乾式目地はサイディング同士のつなぎ目に埋め込む、いわばパッキンのような目地材です。ガスケットなどとも呼ばれています。現場施工のコーキングは10年くらい経つと劣化が進みますが、乾式目地は長寿命で、20~30年もつとのこと。しかし油断は禁物。耐用年数に達していなくても、紫外線を受けて収縮を繰り返すうちに、一気に浮いて剥がれてしまう例があるからです。剥がれたり切れたりしてしまうと、雨の侵入を許してしまいます。
▲乾式目地の剥がれと切れ
リフォマガ2024年10月号掲載
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