リフォーム解体新書~エフロ除去作業中にタイルのヒビを発見

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第18回 外壁リフォーム(後編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

外壁材でサイディング材が普及したのは1990年頃ですが、2000年を境にサイディング材の施工方法が大きく変わりました。変更前はサイディング材の裏に通気するための隙間を設けることが必須ではなかったのです。その頃施工されたサイディング材はすでに耐用年数を迎えていて、今後のリフォーム計画を立てる時期に来ていると言えるでしょう。事例4のように、外壁の傷んだところだけを張り替えるつもりが、サイディング材を剥がしてみたら、その状態の悪さにびっくりするかもしれません。建築時期を把握しておくなど、建物に潜む懸念材料を押さえておくことが大切です。



《事例5》
エフロ除去作業中にタイルのヒビを発見

タイル貼りの外壁はメンテナンスフリーだと思っていたが

外壁の1階部分が湿式タイル貼り、2階がモルタル外壁という戸建て住宅で塗装工事が始まりました。タイル部分は白くこびりついたエフロ(エフロレッセンス)の除去、それ以外は塗装をするという工事内容です。まずは高圧洗浄に先立って、1階タイルのエフロを除去する工事から始めました。専用の洗浄液を使ってブラシで落とすという作業です。「タイル外壁はメンテナンスフリー」と聞いていたので、汚れ落とし位に気軽に考えていました。ところがエフロを落としていくと、タイルにヒビが入っていることに気付いたのです。「これってこのまま終わらせたらまずいのでは…」と、頭を抱えてしまいました。


【解決策は?】タイル裏のモルタルにもクラックがあると考えられる

エフロの原因となる雨水の侵入は、タイルの目地からばかりではありません。タイルのヒビから入り込むことも多いのです。エフロが出ているからといって、すぐさま建物に影響が出るわけではありませんが、放っておくと、モルタル下地のクラックが大きくなったり、金属部分が錆びて膨らんでしまうこともあります。タイルのヒビの補修には、専用のシールを貼るなどの簡単な方法もありますが、基本的にはタイルを剥がして下地モルタルのクラック補修をし、その上で代替品のタイルを貼ることです。足場がある内に作業できるように工程を組みます。

▲タイルを剥がしてモルタル下地のクラックを補修


【どうすれば事前にわかる?】エフロの出口は目地かタイルのヒビ

タイル外壁などに見られるエフロ(エフロレッセンス)は、目地やタイルのヒビから流れてきます。よく観察すると、タイルのヒビの形に白い筋が見えるかもしれません。ヒビがあればタイルの張り替えを伴う工事が発生する可能性があるので、事前調査の時にチェックしておきましょう。気になる箇所には目印をつけておきます。エフロが出ていない箇所にもヒビがあるかもしれないので、一通り確認した上で新たに貼るタイルの枚数をチェックするようにします。



[用語解説]エフロ(エフロレッセンス)

エフロ(エフロレッセンス)は白い華が咲くことに例え、「白華」と呼ばれます(ちなみに建築現場では「鼻たれ」と呼ばれています)。白く見えるのは、モルタル中のカルシウムが表面化し、変化したものです。

エフロ(白華)現象が起こりやすくなるのは、おもに気温が低くなる冬期や湿気の多い梅雨時期です。エフロが出たからといってすぐさまタイルの下地が弱くなるわけではありませんが、見栄えがわるくなることや、ヒビを補修するため洗浄します。



リフォマガ2024年10月号掲載



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