リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第17回 外壁リフォーム(前編)
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
今回紹介する「開けてびっくり事例」は、外壁リフォームにつきものの雨水に関係するものを集めました。外壁は面積が大きいこともあり、事前調査の時に全ての壁をチェックするのは大変な作業です。でも不具合を見逃してしまうと、着工後に工事がストップすることにもなりかねません。特に雨被害に関することは、大工や防水業者、屋根業者、電気業者の手を必要とするような追加工事が発生することもあります。そうした事態を回避するためにも、事前の調査時にチェックするべきポイントを押さえておくことが大切です。
《事例2》
外壁の膨らみを指で押したら水が出てきた
凹凸があるサイディングパネルなので、膨らみに気付かなかった
タイル調のサイディングを塗装する工事でのびっくり体験です。築24年のそのお宅は、今回が2度目の塗装工事でした。足場が建ったので、改めて外壁のチェックを行っていたところ、なにやらプクッと膨らんでいる箇所を発見。凹凸が深いデザインのサイディングなので、最初はデザインの一部かと思っていたのですが、よく見ると塗膜の膨れのようです。しかも1カ所ではありません。いやな予感がして指で押してみたところ、中から出てきたのは「水」。「え、水が出てきたけど、もしかして中にも水が入っている?塗装工事は始めてもいいの?」と心配になってしまいました。
【解決策は?】膨れを削り取る
確かに外壁の水膨れを発見すると、建物内部まで水が入り込んでいるのではないかと心配になるでしょう。念のため、その周辺にサイディング材にまで及ぶヒビ、またシーリングの切れがないか確認をして、必要があれば補修します。
この事例のように、前回の塗装から10年以上経った家では、塗膜の水膨れの現象が起こりがちです。劣化が進んで薄くなった塗膜に雨水が入り込み、行き場がなくなった雨水が外壁材と塗膜の間に留まってしまうのです。下地の処理として膨らみを削りとってから塗装工事を行います。塗膜が新しくなれば再発しません。
▲念のため、膨れの周囲にシーリングの切れやサイディング材のヒビがないか確認を
【どうすれば事前にわかる?】足場がかかってからでも遅くないので、外壁を間近で見てチェックする
外壁塗装面に見られる膨らみは、劣化した塗膜からの雨水の侵入だけではありません。外壁材のヒビ割れ箇所から水が侵入する可能性もありますので、原因を明らかにする必要があります。足場がかかったら、外壁の不具合を間近でチェックしましょう。また、塗膜の膨れ現象は、塗装したばかりの塗膜でも起こることがあります。塗装をした時期によって原因に違いがあります。
どうして塗膜の裏に水が入ると膨らむの?
塗膜が劣化して薄くなると、小さな塗膜の亀裂や穴から雨水が侵入しやすくなるということは理解できますが、こんなに膨らむまで水が入り込むものなのでしょうか?実は少量の水が入り込んだだけでも、風船のようにプクッと膨れるのです。
▲水が蒸発する時、塗膜が風船のように膨れる
塗膜が膨らむサイクル
①塗膜と外壁材の間に水が進入する。
②水が下まで流れることができず、行き場を無くしてしまう。
③外壁が熱せられると、水が気体になる。
④気体になると体積が増えるため、塗膜が中から押されて膨らむ。
⑤膨らんだ塗膜にまた雨水が進入し気体になって更に膨らむ。
リフォマガ2024年9月号掲載
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