リフォーム解体新書~玄関庇(ひさし)の天井付けライトに水がたっぷり溜まっていた

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第17回 外壁リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回紹介する「開けてびっくり事例」は、外壁リフォームにつきものの雨水に関係するものを集めました。外壁は面積が大きいこともあり、事前調査の時に全ての壁をチェックするのは大変な作業です。でも不具合を見逃してしまうと、着工後に工事がストップすることにもなりかねません。特に雨被害に関することは、大工や防水業者、屋根業者、電気業者の手を必要とするような追加工事が発生することもあります。そうした事態を回避するためにも、事前の調査時にチェックするべきポイントを押さえておくことが大切です。



《事例3》
玄関庇(ひさし)の天井付けライトに水がたっぷり溜まっていた

庇の屋根からの雨漏れか?

塗装前の準備で玄関前の庇についている天井シーリングライトのカバーを外した時の話です。乳白色のカバーに手をかけると、中で何かが揺らめいています。と、次の瞬間、「ざーっ」と水が流れ出て、危うくカバーを落とすところでした。その量はカバーの半分くらいあったかと思います。「もしかして雨漏れの水?こんなに溜まっていて、今までよく漏電しなかったなぁ」

築35年になるこの家の庇の屋根部分は金属屋根で、今回塗装する予定になっています。もちろん雨漏れ検査をしてからの話ですが、「雨漏れ箇所を補修すれば、予定通り塗装工事を進めてもよいのかな」と、判断に困ってしまいました。


【解決策は?】施主に状況を説明の上、電気業者に漏電の確認を依頼する

室外室内を問わず、このように照明器具に雨漏れ被害があった場合、必ずスイッチを切ったことを確認の上、処理をしましょう。塗装工事でこのような事態になった場合、雨漏れ箇所の補修だけで終わらせるのはNGです。施主に状況を確認してもらい、電気業者の調査が必要だと伝えましょう。電気器具や電気配線には電気が漏れないように絶縁処理が施されていますが、経年劣化などで電気配線に水が染み込むことがあり、非常に危険です。雨漏れ補修と電気配線の工事を行い、安全を確認した上で塗装工事を進めましょう。

▲雨漏れ補修だけで終わらせるのは危険。電気系統の確認が必要


【どうすれば事前にわかる?】築年数が経っている家の庇の天井付けライトに注意!

玄関前に大きくせり出した庇の真ん中に、大きな天井シーリングライトが付いている、このような住宅で築年数が30年も経っている場合、庇の屋根の状態が悪ければ雨漏れしている可能性があると考えましょう。雨漏れというと、天井から雨がポタポタ垂れてきたり、天井に雨のシミがでるという印象がありますが、この事例のように、天井灯の電気配線を伝って照明カバーに落ちてくる場合は全く気付かなかったということもよくあります。カバーに水が入り込むと水の重さで軒天に傾斜ができるため、雨水はどんどん入り込むばかりです。もし居住者から、庇の照明が点かないという話を聞いたなら、漏電※を疑って、必ずスイッチがOFFになっていることを確認してから調査しましょう。

▲庇の屋根からの雨漏れは、照明カバーに流れ込むと気付きにくい



[用語解説]漏電

漏電は、電線の絶縁物(電気が外に漏れないように遮る物質。塩化ビニールなど)の損傷や劣化などに起因する現象で、絶縁機能が悪くなった箇所から電気が漏れて電気機器の金属などに流れてしまう状態のことを言います。この事例で問題になった照明器具は、屋外用のものは防水性が高い素材で覆われていますが、これも劣化が進むと防水性が低下しますので、漏電の心配が無いとは言えません。雨水には不純物が含まれていて、漏れた電気の通り道となる恐れがあります。また雨水が入り込んだ器具は再利用しないようにします。



リフォマガ2024年9月号掲載



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